EPISODE.21話〘風纏いの無音戦術コンポ〙
今回、2話分投稿です。
まず1本目です。
ホームに戻って来た俺たちは、早速、鍛冶錬金工房の設置額を確認した。
どちらか片方の工房(鍛冶工房or錬金工房)のみなら30万G。
両方付き工房(鍛冶錬金工房)なら70万G。
さらに露店販売店付きだと100万Gだった。
俺たちはひとまず設置を保留にした。急いで導入しなくても問題ないと、二人で話し合って決めたのだ。
[とりあえず、ギルドランク5なのは商業ギルドだけだな。冒険者ギルドとテイマーギルドはランク3……先にテイマーギルドのランク上げに行くか? リョウ]
[そうっすね。ギルド長が言ってた件っすね。自分も冒険者ギルドだけランク5で、商業ギルドとテイマーギルドはランク3っす]
そうして俺たちは、先にテイマーギルドランクを上げる事にした。
トレン
討伐クエスト:ジャーベナモグ×5体討伐
報酬:5000G
リョウ
採取クエスト:蒼魔草×5納品
報酬:10000G
[じゃあ、依頼を進めますか]
[了解っす]
[ハイ、トレンさん]
[ワォン!]
まずはリョウの採取クエストの場所へ向かった。
場所は北東に広がる森林――アログロス森林。
ここでしか採れない素材【蒼魔草】が自生している。
[さてと、早速採取開始だ。スキル【捜査】! そして【鑑定】!]
俺は蒼魔草を探し始めた。
探すこと二時間――ようやく目的の素材を発見する。
[見つけたぞ! 蒼魔草だ、リョウ!]
[マジっすか!? 採取します! トレンさん、採取方法の指導お願いするっす]
[ああ、わかった。説明した後は自分でやってみな、リョウ]
[了解っす]
リョウは俺から素材採取のコツを教わりながら実践を始めた。
最初は何度か失敗していたが、徐々に感覚を掴み、最終的には俺の採取方法をしっかりマスターしていった。
ちなみに、リョウが失敗して傷付けてしまった蒼魔草×3は、俺がアイテムボックスへ収納している。
その後、数時間かけて――
リョウは蒼魔草×10を採取。
俺も蒼魔草×20を採取した。
なお、採取中に襲って来た敵は全て、エアネスとナイトディランが迎撃していた。
(ほぼ瞬殺だった。二人とも優秀すぎるよ……)
[さて、採取依頼も終わったし、次は俺の討伐クエストに向かうか。リョウ]
[そうっすね。採取依頼と討伐クエストの場所が、運よく同じ森林内ですからね]
そう、今回の採取と討伐依頼は、偶然にも同じアログロス森林だったのだ。
素材採取を終えた俺たちは、そのまま討伐対象の場所へ移動した。
[結構奥まで進みましたっすね]
[ああ。ジャーベナモグは、アログロス森林の入り口から約10km先の地中に生息してる。ヤツらは音に反応して地中から襲って来るから厄介なんだよ]
[前のクイーンカマキアリを思い出すっすね。それでトレンさん、今回はどうやって殲滅するんすか?]
[実はちょっと試したい事があるんだ。まずはジャーベナモグに察知されない位置まで進むぞ]
[了解っす]
俺はスキル【捜査】を発動し、ジャーベナモグの位置を探知した。
そして、敵に察知されないよう慎重に距離を縮めながら、1kmごとに石を投げて反応を確認していく。
[反応範囲は周囲500mか……結構厳しいな。でも、丁度試したい事ができそうだ]
[どうやって討伐するんすか? トレンさん]
[こいつを使うのさ]
[ああ〜、それなら納得っす。でも、どうやって使うんすか?]
[まあ見てなって。リョウ、ちょっとナイトディランを借りるぞ。指示を出すから頼んだ]
[了解っす]
俺はリョウからナイトディランを借り、あるアイテムを持たせた。
そして、エアネスと共にジャーベナモグ付近へ設置するよう指示を出す。
ナイトディランは風纏いによって足音を消しながら移動し、無事に設置を終えて戻って来た。
[設置完了しました、トレンさん]
[よし、これで準備完了だ。さてと……ジャーベナモグ討伐開始だ]
俺たちはエアネスに足元へ風纏いを掛けてもらい、静かに前進する。
[これなら足音が分からないっすね]
[ああ。ただし、今回は俺たちは攻撃しない。敵の攻撃範囲ギリギリまで進むぞ]
[えぇ!? 攻撃しないでどうやって殲滅するんすか!?]
[まあまあ、心配するなって]
リョウは疑問を抱きながらも、俺たちと共に進んで行く。
そして敵の察知範囲500m――その手前100m地点で身を隠した。
俺はリョウに、前方へ設置されたアイテムを指差す。
[!? アイテムが浮いてる!? なんっすか、あれ?]
[エアネスに風纏いで浮かせてもらってるんだ。解除して地面に落とし、音を立てる。そこへジャーベナモグが飛び出して来た瞬間、ダメージを与えるってわけだ]
[その浮いてるアイテムって……?]
[【デス・ポーション】だ]
そう――設置していたのは【デス・ポーション】だった。
以前、スクリューバード戦でも使用したアイテムである。
[スクリューバード戦の時に使ったアイテムっすか?]
[そうだ。空中戦で通用したなら、地中相手でもいけると思ってな。……エアネス、風纏いを解除してくれ]
[ハイ、わかりました。トレンさん]
エアネスが指を鳴らす。
すると、浮いていた【デス・ポーション】が地面へ落下し、その場で割れた。
さらに俺は石を投げ、ウィンドで転がる軌道を操作しながら、まるで誰かが歩いているような音を作り出す。
次の瞬間――!
地中からジャーベナモグが飛び出した。
だが、出現した直後、そのまま倒れ込む。
飛び出して来た場所一帯には、割れた【デス・ポーション】の液体が撒き散らされていたからだ。
後は動けなくなったジャーベナモグへ止めを刺すだけだった。
[…凄いっす。まさに殲滅アイテムっすよ、それ]
[予想以上の効果だな、こりゃ。さて、残り四体も片付けて街へ戻るぞ]
俺たちは残り四体も同じ方法で殲滅し、その後街へ帰還。
それぞれのギルドで納品と討伐報告を済ませた後、ホームへ戻り、一旦ログアウトするのだった。




