EPISODE.213話〘特殊素材採取――巣城迷路の大捜索、待ち受ける衝撃〙
ミラーアジロの巣城大捜索編・前編
をお送り致します。
最後まで読んで頂けたら幸いです。
激闘の末、勝利したトレンたちはナナたちと合流した。
すでにリョウたちも到着していた。
しかし、トレンの姿を見た瞬間――。
[[[トレン!!?]]]
全員が息を呑んだ。
トレンの身体には、冥界王アリジロとの死闘による激しい傷跡が残っていた。
すぐにトレンはテントへ運ばれ、ローリエナとシーラレイによる治療回復が始まる。
その一方で、ギールオルドラとレガクロスは互いに視線を合わせる。
何かを決意したように、ギールオルドラが口を開いた。
[みんなに伝えたいことがある。だが……リョウ以外は一度テントの外へ出てくれ。]
メンバーたちは、その真剣な表情からただ事ではないと察する。
ナナたちは納得できない様子だった。
しかし、ギールオルドラからトレンが重傷を負うほどの激戦だったことを聞き、渋々ながらも頷いた。
そして、ギールオルドラはテント内へ傍聴障壁を展開する。
さらに外部から内部の様子を確認できないよう、ガードミラーを追加した。
半魔人化やヴィグロッガズの存在――。
今はまだ、知られてはいけない情報だった。
[これで大丈夫だ。ここにいる六人以外には、俺たちの会話は聞こえない。]
[どういう事? ギールオルドラ。余程の事情なのは分かるわよ。]
[しかも、俺とシーラレイもそれは感じ取れる。]
[すまない。詳しい話はトレンの治療回復が終わってから全て話す。]
[分かったわ。シーラレイ、トレンの治療回復を続けましょう。]
[ええ。トレンがここまで酷い怪我を負うなんて……余程の相手だったのね。]
ローリエナとシーラレイは、トレンの治療へ集中した。
そして――。
治療回復を開始してから一時間後。
トレンがゆっくりと目を覚ます。
[ん……ローリエナ……さん?]
[トレン、目を覚ましたのね。治療回復をしたから、もう大丈夫よ。]
[シーラレイさん……レガクロスさん……リョウ……]
トレンはゆっくりと身体を起こそうとする。
[無理するなよ、トレン。相当な怪我だったみたいだな。]
その言葉に、ギールオルドラは事情を説明する。
このテント内にいる六人以外には聞こえないよう、傍聴障壁とガードミラーを展開した理由を伝えた。
[そうだったんですね。その方が助かります。]
[トレン、どういう事っすか?]
[今から俺とギールオルドラさんが、キングミラーアリジロから順番に説明します。]
そして――。
トレンとギールオルドラは、キングミラーアリジロとの戦いから全てを語り始めた。
巣城の奥から現れた冥界王ハーデスキングミラーアリジロ。
偽りの姿から変化した本当の姿。
魔獣四天王――魔獣ハーデスミラーキングだったこと。
そして、トレンがヴィグロッガズの力を借り、完全魔人化へ至った経緯。
全てを話した。
レガクロス、シーラレイ、ローリエナは驚きを隠せなかった。
一方、リョウは半魔人化から完全魔人化へ至ったことに驚きながらも、どこか納得していた。
そして――。
トレンと合流できなかったことに、僅かな後悔を滲ませていた。
[……という訳なんだ。]
[トレンを支えながら何とかみんなと合流したんだが、途中で意識を失ってしまってな。]
ギールオルドラは静かに事情を説明し終えた。
トレンもゆっくりと口を開く。
[俺は魔獣四天王の事は知らなかったんです。ギールオルドラさんから話を聞くまでは……。]
少し間を置き、拳を静かに握り締める。
[半魔人化では到底勝てない相手でした。何度攻撃しても届かず、一方的に追い詰められました。]
その時の戦いを思い返すように目を伏せる。
[その時、ヴィグロッガズが宿る武器が突然輝き始めたんです。そして俺は完全魔人化しました。]
[ですが……完全魔人化については俺自身も分かっていません。だから詳しい説明は出来ません。すみません。]
トレンは静かに頭を下げた。
もちろん、全てを話した訳ではなかった。
ヴィグロッガズとの会話や真・奥義については、リョウにさえ話すつもりはなかったのである。
[そうだったっすね。暗黒女王と戦っていた時、巣城の奥から異常過ぎる威圧を感じていたっすからね。]
リョウは当時の状況を思い返しながら静かに頷く。
その場にいた六人は顔を見合わせた。
そして話し合った結果、この件については今は伏せておく事で意見が一致する。
半魔人化。
完全魔人化。
そしてヴィグロッガズの存在。
不用意に話せば、無用な混乱を招くだけだった。
そのため、ナナ、マイ、ナギサ、バレグの四人には、この特殊指名依頼が終わるまでは話さないことに決めたのである。
空気が少し和らいだところで、レガクロスが静かに口を開く。
[さて、トレンの治療回復も終わった事だし、本来の目的へ戻るとしよう。ミラーアリジロの蜜を探すぞ。]
[そうっすね。レガクロスさんの言う通りっす。]
リョウも静かに頷いた。
トレンも身体を起こし、ローリエナとシーラレイへ深々と頭を下げる。
[ローリエナさん、シーラレイさん。本当にありがとうございました。]
ローリエナは優しく微笑む。
[いいのよ、トレン。お礼なんて気にしなくていいわ。]
シーラレイも微笑みながら続ける。
[そうよ。私たちは自然とトレンやリョウたちを支える立場なんだから。それに従魔たちも無事だったしね。]
その言葉にトレンも安心したように微笑んだ。
ギールオルドラは周囲を確認すると、静かに手をかざす。
[それじゃ解除するぜ。]
傍聴障壁。
そしてガードミラー。
二つの障壁が静かに消えていく。
待機していたナナたちと再び合流すると、一行は改めてミラーアリジロの巣城へ向かったのであった。
改めて巣城を見渡したナナは、思わず声を漏らした。
[改めて見ると凄いわね。これがミラーアリジロの巣城なのよね。]
[本当よね……。]
マイも周囲を見渡しながら静かに頷いた。
ナギサは気持ちを切り替えるように前へ出る。
[さて、巣の中へ入って目的の蜜を探すわよ。バレグ。]
[了解です、ナギサ。トレン、リョウ、ナナ、マイも協力お願いします。]
[[[[了解!!]]]]
ギールオルドラが前へ出た。
[敵が現れたら俺たちとレガクロスたちに任せな。]
こうして一行は、ミラーアリジロの巣城へ足を踏み入れた。
トレンとリョウは同時に【捜査】と【鑑定】を発動する。
[凄いな……まるで迷路だな。]
[ここからは手分けして探そう。]
[そうっすね。今のところ残党はいないっすけど、警戒しながら探すっす。]
[それなら俺たちも護衛として協力するよ。]
こうして一行は、それぞれ四つの班に分かれて探索することに決めた。
トレン班。
リョウ班。
ナナ・マイ班。
ナギサ・バレグ班。
トレン班とリョウ班には【翠烈陣氷帝】のメンバーが護衛として同行する。
ナナ・マイ班とナギサ・バレグ班には【炎國乃黎闘翠】のメンバーが護衛として同行し、それぞれ警戒しながら広大な巣城の大捜索を開始した。
だが、この時――。
トレンとリョウはまだ知らない。
捜索を進める中で、誰も予想しなかった衝撃の光景を目の当たりにすることになるのであった。
ミラーアジロの巣城大捜索編・後編
をお送り致します。
次回もお楽しみに。
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