EPISODE.207話〘特殊素材採取――巣城に君臨するキングとクイーン〙
光銀薬草と光氷輪花、二つの特殊素材を採取し終えたトレンたちは、次の目的であるミラーアリジロの蜜を求め、ミラーアリジロの生息地へ向かうのであった。
[ミラーアリジロは単独なら問題ない。だが、普段は十体ほどで群れを作って行動しているからな。]
[問題はミラーアリジロの巣だよ。女王がいたら厄介どころじゃ済まない。]
[そうなんですか? ミラーアリジロの女王は、そんなに危険な相手なんですか?]
[ああ。ヤツが現れたら仲間のミラーアリジロを次々と呼び寄せるんだ。だから非常に厄介なんだよ。]
ギールオルドラたちは、ミラーアリジロの危険性についてトレンたちへ詳しく説明した。
[さて、この辺りにヤツらがいるはずだ。ここから先は十分気を付けてくれ。]
トレンとリョウは、ナナたちに聞こえないよう小声でスキルを発動した。
その瞬間、二人は予想外の反応を捉えた。
二人はすぐさまギールオルドラとレガクロスへ報告する。
[ギールオルドラさん、レガクロスさん。最悪な事態です。]
[どうした、トレン。リョウ。最悪な事態とは?]
[【捜査】で二体の強力な反応を確認しました。]
[!!……まさか、女王がいるのか?]
[でも、もう一体の魔物は何なんだ?]
リョウの次の一言で、【炎國乃黎闘翠】と【翠烈陣氷帝】のメンバー全員が戦慄するのであった。
[クイーンミラーアリジロと、キングミラーアリジロがいるっす。]
[[[[[なっ!?……なんだと!!]]]]]
その報告に、その場の空気が一瞬で張り詰めた。
誰もが言葉を失い、その場に重苦しい沈黙が流れた。
[どうしたの? トレン、リョウ。何かあったの?]
トレンとリョウは、どう説明するべきか一瞬迷っていた。
すると、ローリエナが静かに口を開いた。
[トレン、リョウ。私が説明するわ。安心して。]
ローリエナはナナ、マイ、ナギサ、バレグの四人へ向き直る。
そして近くに強力な魔物の気配があること。
さらに、その正体がクイーンミラーアリジロとキングミラーアリジロという二体のボス級魔物であることを、落ち着いた口調で詳しく説明した。
バレグが青ざめた表情で口を開いた。
[そんな……ミラーアリジロの巣にキングとクイーンがいるなんて……それじゃ……]
[特殊素材の場所に、厄介なボス級魔物がいるってこと?]
ナギサも信じられないという表情を浮かべる。
[そんな……二体同時に戦うって事?]
すると、トレンが四人へ静かに伝えた。
[ここは俺とリョウが前に出る。ナナたちは途中までは一緒に来てくれ。そこから先は俺とリョウが戦う。その位置で隠れていてくれ。]
すると、シーラレイとローリエナが口を開いた。
[トレン、リョウ。私とシーラレイが四人を守るわ。]
[ええ。後方支援をしながら遠距離魔法で援護するわ。]
[それなら私も残るわ。それとミューレイミも一緒よ。]
[そうね。私も含めて四人でナナたちを守るわ。トレン、リョウ、安心して。]
[それじゃ残りはトレンとリョウと共闘だな。そうだろ、ギールオルドラ。]
[そうだな。ヤツら二体同時に出て来る可能性があるからな。]
[みなさん……協力お願いします。行きましょう。]
[[[おう!!]]]
こうしてトレンとリョウは、ミラーアリジロの巣の近くまで向かうのであった。
巣の近くまで接近したトレンとリョウは、その巨大な巣を目の前にして驚いていた。
[なんだ、この大きさは……。巣っていうより城だな。]
[そうっすね。キングとクイーンがいる、まさにミラーアリジロ王国っすね。]
[俺たちも、ここまで巨大な巣を見るのは初めてだな。そうだろ、ギールオルドラ。]
[ああ。相当な数がいるぞ。]
巣の周囲を警戒しているミラーアリジロだけでも、軽く百体はいた。
[リョウ、話がある。]
[何っすか? トレン。]
トレンは、小声である提案をリョウへ伝えた。
[その提案、乗るっすよ。]
するとレガクロスとギールオルドラが二人へ話しかけた。
[おいおい、俺たちにも何を話していたのか聞かせろよ。]
[そうだよ。二人だけで抜け駆けはさせないからな。]
[わかりました。みなさんにも話します。]
トレンはリョウへ伝えた作戦を、全員へ説明した。
するとレガクロスが笑みを浮かべる。
[その提案、俺たちも乗った。そうだろ? ガッサ、オーガロ。]
[だな。面白いじゃん。]
[よく思いつくな、お前ら。]
そしてギールオルドラも口を開いた。
[何だよ、二人だけで美味しいところを持っていく気か? 俺たちも混ぜろよ。なあ、ヴァイザー、デルタス。]
[トレンはいつも俺たちを気遣い過ぎるんだよ。本当に悪い癖だ。]
[全くだ。リョウもトレンと同じ悪い癖だけどな。]
[わかりましたよ。それじゃ俺たちと従魔たちが先に仕掛けます。その後はお願いします。]
[[[[[[おう!! 任せな!!]]]]]]
そして、その作戦が開始された。
トレンとリョウが先に仕掛ける。
[[我が名はトレン(リョウ)。汝に命ずる。我が魔力と生命を捧げ、汝を解放し召喚する――協力四属召喚!!【リヴァイアドラゴン】!!]]
巨大な魔法陣が展開され、水龍リヴァイアドラゴンが姿を現した。
直後、大波が発生する。
さらに水龍の口から放たれた水圧光線が大波を貫き、巨大な渦となって周囲のミラーアリジロたちを次々と飲み込み、蹂躙していく。
続けてトレンとリョウは、それぞれ従魔へ指示を飛ばした。
[レイディア!! 【雷魔術・極】派手に放ってくれ!!]
[ニーナシュン!! 【聖魔術・極】思いっきりやるっすよ!!]
レイディアは新たに習得した【ライジンヴォールショットガン】を放った。
同じくニーナシュンも、新たに習得した【ホーリーダスト・ガン・スラッシャー】を放つ。
水によって雷撃はさらに威力を増し、聖属性の無数の弾丸が周囲を容赦なく殲滅していった。
さらに別々の巣穴から次々とミラーアリジロが現れた。
だが、それを待ち構えていたレガクロス、ギールオルドラ、ガッサ、オーガロ、ヴァイザー、デルタスが迎え撃ち、あっという間に殲滅していく。
しかし――。
次の瞬間。
巣の奥から、クイーンミラーアリジロとキングミラーアリジロが姿を現した。
[[ギィィィィィィィッ!!]]
キングとクイーンの咆哮が森林樹全体へ響き渡り、その威圧感に周囲の空気が震えた。
[みんな下がれ!!]
[現れたな。トレン、リョウ、どうする?]
[二手に分かれて戦いましょう。多分ヤツらは連携して攻撃してきます。]
[トレン、自分はクイーンをやるっす。]
[わかった。キングは俺がやる。]
するとギールオルドラがレガクロスへ声を掛けた。
[レガクロス、ガッサ、オーガロはリョウの方へ。]
[わかった。]
[俺とデルタス、ヴァイザーはトレンの方だ。]
[[了解!!]]
[さあ、いくぞ!! キングとクイーンの討伐開始だ!!]
[[[[[おう!!]]]]]
こうしてキングミラーアリジロとクイーンミラーアリジロとの戦いが始まるのであった。
次回もお楽しみに。
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