EPISODE.201話〘未知の壁を越えて――未知の領域を胸に刻み〙
引続き、その後のストーリーをお送り致します
最後まで読んで頂けたら幸いです。
それぞれの戦いを振り返りながら、メンバー達は自分達の未熟さを痛感していた。
そして次に――。
【炎國乃黎闘翠】のメンバー達が静かに語り始める。
[次は俺たちだな。]
[俺たちは氷輪竜サーベラーグルガとの戦いに挑んだ。]
[だが、シーラレイ以外の全員が、戦う前から迷いを抱えていたんだ。]
[そうね。]
[私も迷いがあったわ。]
[戦う前からね。]
[でも、シーラレイだけは最初から分かっていたのよ。]
[ああ。]
[俺たちもシーラレイに言われて理解していたつもりだった。]
[だが実際に戦闘が始まると、俺たちは前の戦いと同じ事をしていたんだ。]
[慢心していた。]
[力に溺れていた。]
[しかも、メンバー全員がバラバラな状態だった。]
すると、シーラレイが静かに口を開いた。
[私は、あの状態で勝てる訳がないと思ったわ。]
[だから禁忌奥義を使ったの。]
[トレンと同じやり方でね。]
その言葉に、アージェラが即座に反応する。
[シーラレイ!?]
[あの禁忌奥義を使ったの!?]
[よく生還出来たわね……。]
[あの奥義は魔力や生命力だけじゃない……。]
[最後には“自分自身”を捧げる禁忌奥義なのよ!!]
[[[[[なっ!!?]]]]]
レガクロスメンバー達や、他のギルドメンバー達も戦慄する。
しかしシーラレイは静かに首を振った。
[私は死を覚悟していたわ。]
[でも、これがあったから助かったのよ。]
そう言って、シーラレイはあるアイテムを取り出した。
その瞬間、全員が驚きを隠せなかった。
[それ……俺たちが渡した【ダミーの身代わり玉】か。]
[見事に粉々になってるっすね……。]
そう――。
シーラレイが瀕死状態で助かったのは、【ダミーの身代わり玉】のお陰だった。
もしトレン達が渡していなければ――。
シーラレイは確実に命を落としていた。
シーラレイ自身も、あの時は死を覚悟していた。
だがその瞬間、【ダミーの身代わり玉】が眩く光り出した。
そして身代わりとなる“もう一人のシーラレイ”が現れ、禁忌奥義を引き継いで氷輪竜へ攻撃を放ったのである。
もちろん、本物のシーラレイも爆風を受け、大ダメージを負った。
だが――生き残る事が出来た。
シーラレイは詳細までは語らなかった。
トレンとリョウは気付いていた。
だが、あえて何も言わなかった。
シーラレイの覚悟を尊重していたからだ。
[そうしてヤツは覚醒した。]
[俺たちはシーラレイの覚悟を受け取って、全員で集中しながら連携攻撃を仕掛けたんだ。]
[そして俺とオーガロで囮になって、レガクロスに気付かれないよう連続攻撃を続けていた。]
[ああ。]
[あの時、俺たち三人の感覚は異常なくらい研ぎ澄まされていたな。]
[そうだったな……。]
[ほんの一瞬だったが、“勝てる感覚”があった。]
レガクロスは、あの瞬間を思い返していた。
あの一瞬だけ辿り着いた領域。
だがレガクロスは理解した。
トレン達は、常にこの領域で戦っていたのだと。
そして、自分達はまだ未熟なのだと。
だからこそ――。
いつか必ず、あの領域へ辿り着きたいと強く誓った。
[本当にギリギリの戦いだった。]
[俺たちは慢心に溺れていた。]
[それでも、シーラレイのお陰で勝てたんだ。]
[そうだったっすね。]
[本当に壮絶な戦いだったんですね。]
トレンとリョウはそう呟きながら、【炎國乃黎闘翠】のメンバー達の話へ静かに耳を傾けるのであった。
そして【翠烈陣氷帝】のメンバー達が語り始める。
[最後は俺たちだな。]
[トレンたちと別れてから、俺たちは玄巌地翠ドルスダークドライガーへ挑んだ。]
[戦う前から、ローリエナとギールオルドラはトレンとリョウの言った意味を理解していたのよ。]
[でも、私たち三人は理解出来ていなかったわ。]
[だな。]
[俺とデルタス、ミューレイミは分かっていなかった。]
[俺たちは精神的に脆かったんだ。]
[トレンとリョウの護衛戦で戦ったデスダーグプッギを思い出した瞬間、体が拒絶した。]
[つまり、俺たちは全員“メンタル”が弱かったんだ。]
【翠烈陣氷帝】のメンバー達は、それぞれ精神面の弱さを語り始めた。
[ギールオルドラとローリエナは、トレンとリョウの言葉の意味を理解していた。]
[自分自身の弱さを認め、それでも仲間を信頼して連携する事。]
[俺たちは戦う前に、それぞれの弱さを理解したからこそ覚悟が出来たんだ。]
[そうしてヤツとの戦いに挑んだ。]
[予想以上に苦戦したが、何とか連携して戦い続けた。]
[そして、ヤツは覚醒した。]
[本来の姿を見た瞬間、一瞬だけ萎縮したわ。]
[でも、不思議な感覚になったのよ。]
[ああ。]
[あの感覚は俺だけじゃない。]
[ヴァイザー、デルタス、ミューレイミ、ローリエナ。]
[全員が集中し、自然と連携出来ていた。]
――その時。
ギールオルドラだけは、ゾーン領域を超えた“覚醒限界突破”の領域へ到達していた。
師匠ネイザーラルファ直伝の究極秘奥義を放った瞬間――。
ギールオルドラは、その威力が今までとは違う事に気付いていた。
だが同時に理解した。
トレンとリョウは、常にこの領域で戦っていたのだと。
その領域は、想像以上に身体への負担が大きい。
それでも二人は、当たり前のように戦っている。
ギールオルドラは痛感していた。
そして不思議な事に、自分自身もまた、その領域へ辿り着きたいと思っていたのである。
だが、その事を今ここで話すつもりは無かった。
[壮絶な戦いだったですね。]
[ギールオルドラさん。]
[ああ。]
[俺たちもギリギリの戦いだった。]
[一瞬でも恐怖を見せていたら、確実に殺られていた。]
[だな。]
[覚醒したヤツを見た瞬間、本気でそう思った。]
[でも、俺たち全員が“あの領域”で攻撃連携出来たから勝てたようなもんだ。]
[そうね。]
[私もそう思うわ。]
[誰かに指示される訳でもなく、自然と動けていたもの。]
[そして最後は、ギールオルドラの究極秘奥義で勝てたんだ。]
ギールオルドラ以外の四人もまた、ゾーン領域へ到達していた。
だからこそ、お互い自然と連携出来ていたのである。
そして四人もまた理解していた。
トレンとリョウは、常にこの領域にいるのだと。
だからこそ、自分達もまた――。
いつか、この領域へ辿り着きたいと思うのであった。
[……とまあ、こんな感じだ。]
[俺たちは全員、自分達のメンタルの弱さを痛感した。]
[でも、それを乗り越えたからこそ、ギリギリ勝てたんだよ。]
[みなさん、それぞれ気付いていたんですね。]
[自分たちが戦う前に言った意味を、ちゃんと乗り越えたんすね。]
ギルド四天王達は静かに頷いた。
すると、ギールオルドラがニヤリと笑う。
[さて。]
[本日の主役二人の話を聞こうじゃねぇか。]
[当然だろ。]
[俺たち全員、お前たちの戦いに興味津々なんだよ。]
[逃がすかよ(笑)]
[だな。]
[逃げないように背後についておくぜ(笑)]
[そうね。]
[魔法で拘束しようかしら(笑)]
[[なんでやねん!!]]
[[みなさん、俺たちをどうしたいんだよぉぉぉ――!!]]
[[アハハハハハハ!!]]
こうして、トレンとリョウ、そしてギルド四天王達は、冗談を交えながら轟風焔霊バルベムヴォルゼロドラゴンとの激闘を語り合うのであった。
次回もお楽しみに。
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