EPISODE.166話〘水の精霊の里の未確認素材と超幻希少鉱石〙
翌日、東条はいつも通りジョギングをこなしていた。
帰宅後、軽くシャワーを浴び、朝食を食べ終えると、西石へ連絡した。
[もしもし、東条先輩。どうしました?]
[ちょっと頼みたい事があるんだけど]
俺は七瀬社長と井野秘書に、“地の精霊の里”の事を誰にも話さないで欲しいと伝えて欲しいと頼んだ。
理由を説明すると、西石も理解してくれた。
[……という訳なんだ。そう伝えてくれないか?]
[了解っす。自分も東条先輩と同じ意見だったっすから、よかったっすよ。それじゃ連絡してからログインするっす。]
[ああ。オレも西石から連絡が来たらログインするよ]
俺たちはそう言って電話を切った。
一方、西石は東条から事情を聞いた後、井野秘書へ連絡した。
[もしもし、西石です。井野秘書、今大丈夫でしょうか?]
[はい、大丈夫ですけど、どうされましたか?]
[実は仕事ではなく、VRMMOの件でお願いがあるんです。地の精霊の里を誰にも教えないで欲しいっす]
[どういう事?]
西石は事情を説明した。
プレイヤー達が自力で探すべき事、そして精霊の里を守りたいという想いを伝え、最後にこう言った。
[もし精霊の里が荒らされるような事があったら、例え七瀬社長や井野秘書が相手でも、自分と東条先輩は精霊の里を守る事を選ぶっす。それだけは伝えておきます]
[わかったわ。七瀬社長にもそう伝えておくわ]
[ありがとうございます。よろしくお願い致します]
西石は電話を切った。
[…さて、東条先輩に連絡してログインするか]
西石は東条へ連絡を入れ、その後ログインした。
俺は西石から“井野秘書へ伝えた”と連絡を受け、ログインした。
すると、西石も同時にログインして来た。
[リョウ、済まないな。マイ達に伝えてくれて感謝するよ]
[大丈夫っすよ。自分もトレンと同じ意見だったっすから。それで昨日言ってた、水の精霊の里で採掘・採取した素材がどうしました?]
[ああ。実は採掘・採取してから、素材を確認してなくてな。ちょっと協力して欲しいんだよ。かなり量があるから一人じゃ無理なんだ]
[確かに、従魔達も手伝っていたっすね。今からやりますか?]
[ああ、やろう。今から水の精霊の里の素材を出すぞ]
俺はマジックボックスから素材を取り出した。
鉱石類、植物類、その他素材――。
改めて見ると、とんでもない量を採掘・採取していた。
[結構あったな、こりゃ……]
[そうっすね。従魔達も手伝っていたっすからね。まずは分類するっすか]
[そうだな。そうするか]
振り分け作業を始めようとした、その時だった。
『四精霊の樹木』から従魔達が降りて来て、俺達に気付き駆け寄って来た。
[何をしてるのでしょうか? トレンさん]
[エアネスか。前に水の精霊の里で採掘・採取した素材を確認してなくてな。今取り出して整理する所なんだよ]
[それなら、私達も手伝っていいでしょうか?]
従魔達は頷いている。
[わかった。採掘と採取で分けてくれ]
[はい、わかりました]
エアネス達は皆へ伝え、作業に入った。
俺達も振り分けを進めた。
二時間後――。
鉱石類、植物類、その他素材へ振り分けが完了した。
改めて見ると、かなりの量だった。
[さて、まずは少なかった“その他素材”から【鑑定】するぞ、リョウ]
[了解っす]
俺達は鑑定を行った。
――――――――――――――――――――――
【水属性結晶】
【水精霊の雫】
――――――――――――――――――――――
[ペルナギ、サクメ。里では珍しいのか? これは]
ペルナギとサクメは首を横に振り、エアネスへ何かを伝えていた。
[その二つは、結晶はアクセサリー素材、雫はアイテム製作素材に使うそうです]
[そうなんすね。それじゃ次は採取素材を【鑑定】するっす]
[ああ、それじゃやるか]
俺達は採取素材を鑑定した。
――――――――――――――――――――――
【水薬草】×60
【水魔草】×50
【水属肥料】×50
【水属水草】×30
【生命の雫花】×10
――――――――――――――――――――――
[凄い量を採取してたな、こりゃ]
[そうっすね。大精霊ウンディーメード様も確認した上で了承してくれたっすからね]
だが、その時だった。
ペルナギとサクメが突然、驚いた様子で慌ただしくなった。
エアネスが二人を落ち着かせ、事情を聞いていた。
そして――。
エアネス自身も驚愕していた。
俺達はその反応を見て、嫌な予感を感じ取った。
[リョウ……エアネス達の反応、明らかにおかしいぞ]
[まさか、この中にヤバい素材があるっすか?]
[エアネス、どうしたんだ?]
エアネスの返答に、俺達は驚愕する事になる。
[【生命の雫花】は、年に一度しか咲かない幻の超希少素材です。精霊達でも見つけるのが難しいのです]
[[……え? ……えええぇぇぇぇぇ―――っ!?]]
はい、運営案件確定。
普通なら回収されてもおかしくないレベルだ。
俺達は急いで運営へ問い合わせを送った。
五分後――。
運営から返答が届いた。
――――――――――――――――――――――
【お問い合わせありがとうございます】
【問い合わせ頂いた素材ですが、確認した所、正規ルートで採取されていますので問題ありません】
【引き続きプレイをお楽しみ下さい】
【運営より】
――――――――――――――――――――――
ちょっと待てよ!!
おかしいってホンマに!!
普通ならこんな数、見つかる訳ないだろアホンダラ!!
なんでやねん!!
なんでそうなるんだよ運営さぁぁぁぁん!!
心の中で三連射ツッコミを放つトレンであった。
[運営からの回答、どうだったっすか?]
俺は運営からの返答をリョウへ見せた。
[…は? ……えええぇぇぇぇぇ~!? 嘘でしょ!? 正規ルートっすか!? んな訳あるか――い!!]
リョウの初“三連射ツッコミ”を見て、俺は少し満足していた。
[最後に鉱石類を【鑑定】するぞ]
[了解っす。こっちも嫌な予感しかしないっすよ]
俺達は鉱石類を鑑定した。
――――――――――――――――――――――
【水鉱石】×50
【翠氷鉱石】×20
【水硬鉱石】×40
【水霊結晶鉱石】×25
【水縁極鉱石】×25
【水黎氷鉱石】×30
【水極鉱石】×30
【水氷岩黎轟極鉱石】×20
【水轟極霊氷縁黎雫鉱石】×15
――――――――――――――――――――――
……明らかにヤバそうな鉱石が二種類あるんですけど。
これ絶対アウト案件やんか――い!!
ペルナギとサクメが慌ててオロオロし始めた。
もう察した。
これで確信した。
[ペルナギ、サクメ。この二つの鉱石のどっちなんだ?]
俺は、
【水氷岩黎轟極鉱石】
【水轟極霊氷縁黎雫鉱石】
を見せた。
すると、二人は【水轟極霊氷縁黎雫鉱石】を指差した。
やっぱりかぁぁぁぁぁ――――い!!
なんでそうなるんだよぉぉぉ!!
俺達にどうしろってんだ!!
超幻希少鉱石をよぉぉぉ!!
もうエエわ!!
運営さぁぁぁぁぁん!!
心の中で三連射雄叫びツッコミを放つトレンであった。
[リョウ、水の精霊の里へ行くぞ。この鉱石は返還する]
[了解っす。自分もそう思うっすよ]
[それじゃ、ガルロード、ギーガルス、ファヴァン、ヴァルーラ。留守番頼んだぞ]
トレンとリョウは従魔達の頭を撫でてから、再び水の精霊の里へ向かうのであった。
次回もお楽しみに
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これも、ひとえに読んで頂いてる皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
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