EPISODE.133話〘託された意志と新武器〙
武器を完成させた俺は、リョウの製作の様子を見に向かった。
だが、そこで目にしたのは――常識を遥かに超えた、とんでもない武器だった。
[なっ!?……なんだよ……その武器は……]
ちょうど作業を終えたところだったリョウが、俺の視線に気づいて顔を上げる。
[ふぅ~……あ! トレン、ちょうど完成したところっすよ]
[リョウ……お前、素材に何を使ったんだ?]
恐る恐る尋ねると、リョウは指を折りながら平然と答えた。
[え~と……【風烈緑麗鉱石】【轟爆風鉱石】【地鉱石】【鋼鉄鉱石】【翡翠鉱石】……あとは【剛風雷鉱石】と、魔人クライザーヴァイザの角を二本っすね]
[ちょっと待てぇぇぇぇぇ!? 魔人クライザーヴァイザの角だと!?]
あまりにも規格外な素材に、俺の叫び声が工房へ響き渡る。
[そうっすよ。槍を製作するなら相性が良さそうだったんで。それに……まぁ、何でもないっす]
リョウは途中で言葉を濁した。
だが、俺はあえて深く聞かなかった。
きっとリョウにも、あの戦いに対する想いがあるのだろう。
[……ところでリョウ。その武器、性能もヤバいんじゃないか? 【鑑定】はしたのか?]
[もちろんっす。見ます?]
なぜか妙に落ち着いた様子のリョウから槍を受け取り、俺は【鑑定】を発動した。
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武器:【轟緑麗炎雷ヴァイザランサー】
レア度:★10 品質:★10
耐久:60000
効果: 攻撃1300 腕力700 体力500
スキル:
【魔人速】【超闘神速】
【魔闘昇煉撃烈破】【魔人剣】
【魔人烈脚剣舞】【魔衝撃波】
【魔闘魂】【真・牙突一閃】
【神光速剣】【縁雷八卦】
【虚空牙突】【虚空一閃突き】
奥義: 【魔慟黎暗黒烈破】
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……凄まじい性能だった。
まさか魔人素材を使い、いきなりここまでの武器を完成させるとは思わなかった。
[……まさか、お互いに魔人の角を素材に選ぶとはな]
[え!? トレンさんもっすか!?]
俺は完成した拳武器を見せ、その【鑑定】結果をリョウへ共有した。
それを見たリョウが、驚いた表情で問いかける。
[もしかして……魔人ヴィグロッガズとの戦いで……?]
やはり、リョウも同じ事を考えていたらしい。
俺も静かに頷いた。
[ああ。リョウの思ってる通りだよ]
俺は完成した武器へ視線を向けながら、静かに続ける。
[ヴィグロッガズは、実際に戦ってみて分かった。決して純粋な悪ではなかったんだ。戦いには勝ったけど……最後に、自分の意志で角を俺へ託してくれた]
そっと武器へ手を添える。
[だから俺は、この武器と共に戦っていこうと思う]
その言葉を聞いたリョウは、小さく笑った。
[そうだったんすね。自分も同じっすよ。お互い、相手への最大の敬意を込めて武器を作ったってわけっすね]
[……そうだな]
敵として戦ったはずなのに、不思議と嫌な感覚はなかった。
むしろ、どこか誇らしさすら感じていた。
[これで準備は完了だ。二日後はいよいよ指名依頼だな]
[そうっすね。何が起きてもいいように、予想外への対策もしておかないとっす]
[ああ。俺たち、なぜか毎回トラブルに巻き込まれるからな……]
[それ、トレンさんの『予感運』が当たりすぎるせいっすよ(笑)]
[おい、変なフラグを立てるな(笑)]
俺たちはその後もしばらく従魔たちとの団らんを楽しみ、ログアウトして眠りについた。
ログアウト後のホームでは、植えられたばかりの『四精霊の樹木』の苗が、静かに新芽を伸ばしていた。
それを見守る従魔たちも、どこか嬉しそうに跳ね回っている。
だが――トレンたちは、まだ知らない。
指名依頼の前日、とある大事件が起きる事を――。
次回もお楽しみに
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