EPISODE.105話〘死闘の果て、西エリアへ〙
南エリア・バザドルの街脱出編を
お送り致します。
本日2話分を投稿致します。まず1本目の投稿です。
最後まで読んで頂けたら幸いです。
トレンはバザドルの街から離脱し、シーラレイたちのいる場所へ【ワープ】を使って合流した。
[トレン! みんな無事だったのね。良かった……!]
[シーラレイさん、リョウの状態は?]
[気を失ってるだけよ。安心して。リョウは、私たちを護りながら最後まで戦い続けていたわ。本当に凄い集中力だった。]
[そうそう、魔人二人も倒したんだぜ。マジで凄かったぞ。]
[…そうでしたか。とにかく、ここを離れましょう。]
[そうね……私も嫌な予感がするの。]
その瞬間だった。
[…!? ちっ!【プロテクシールド】! 【ガードウォールバリア】!!]
トレンは即座に防御魔法を展開した。
同時に空気が震え、凄まじい殺気が周囲を包み込む。
[【ワープ】!! みんな、早く中へ!!]
[わかったわ! みんな急いで!!]
【炎國乃黎闘翠】のメンバーたちは次々とワープの中へ飛び込んでいく。
従魔たちも続き、その場に残ったのはトレンだけだった。
すると、闇の奥から低い声が響いた。
[…下等人間ごときに【魔人四天王】が殺られるとはな。所詮、捨て駒に過ぎなかったか……クズどもが。]
[…テメェ、今なんて言った? 仲間をクズだと!?]
トレンの怒りが一気に爆発した。
集中力はさらに極限へと高まり、周囲の空気が歪む。
[仲間? ハハハハハッ! バカか貴様は。魔人など俺様の奴隷に過ぎん。]
[……許さねぇぞ!! ハァァァァァァァァ!!]
[我に勝てるわけがないだろう! 下等人間が!! 【魔神爆烈雷電波】!!]
凄まじい雷撃がトレンへ放たれる。
だが――
トレンの姿は、すでにそこには無かった。
[なっ!?]
一瞬で背後へ回り込んでいたトレンは、全力の一撃を叩き込む。
[喰らいやがれぇぇぇ!! 最終双剣型秘奥義!! 【四神龍夢幻覇斬鉄無双】!!]
二つの双剣が元の双剣形態へと変化する。
右手に【黎極黒神龍双剣】、左手に【黎極白神龍双剣】。
二つの神龍双剣を携え、トレンの渾身の秘奥義が炸裂した。
[グォォォォォォォォォ!!]
敵は大きく吹き飛ばされ、地面へ激突する。
[…ズドォォン!!]
しかし、トレンの追撃は終わらない。
[我が名はトレン。汝に命ずる――聖なる光の加護を受け、その力を我に与えよ!! 光魔術奥義!! 【アルティメットホーリーエクストリングレイン】!!]
無数の光弾が雨のように降り注ぎ、敵を容赦なく貫いていく。
[グァァァァァァァァ!!]
トレンは荒い息を吐きながら敵を見据えた。
[…本当は殲滅したかった。だが、深追いは危険か……。十分ダメージは与えた。離脱する!【ワープ】!!]
トレンは追撃せず、その場から即座に離脱した。
残された敵は、激しく怒り狂う。
[…グハッ……クソがぁぁぁ!! 下等人間がァァァ!! この街ごと消し飛ばしてやる!!]
だが次の瞬間――
ガシッ。
別の存在が、その敵の顔面を片手で掴み上げた。
[おい……いつから貴様が勝手に指揮していた?]
[がっ……あ……!]
[…ブシャッ!!]
鈍い音と共に、頭部が握り潰された。
[死んだか。自業自得だな。持ち場を離れて勝手な行動をするからだ。]
[本当に愚かなヤツだ。]
周囲にいた者たちは冷淡に言い放つ。
そして、一人が静かに口を開いた。
[しかし、【魔人四天王】が全滅するとは予想外でした。どうされますか、【魔王様】? 追跡を?]
[いや、不要だ。追う必要はない。]
圧倒的な威圧感を放つ存在――【魔王】は静かに告げた。
[【魔神四天王】の欠員を補充せねばならん。魔界へ戻るぞ。]
[[[[ハッ!! 魔王様!!]]]]
巨大な魔界ゲートが出現し、魔王たちはその中へ消えていった。
一方その頃――
バザドルの街から離脱したトレンたちは、パラエムの街へ帰還していた。
到着した直後、トレンは突然その場へ倒れ込む。
[トレン!!]
レガクロスが咄嗟に支え、メンバーたちは急いでギルドホームへ戻った。
トレンとリョウは宿舎へ運ばれ、治療と回復を受ける。
二人が目を覚ましたのは翌日のことだった。
[…ここは?]
[【炎國乃黎闘翠】のギルドホームよ。パラエムの街に着いた瞬間、倒れたから驚いたわよ。]
[…そうでしたか。ところで、リョウは?]
[トレン〜、モグモグ……ぴょんっす。]
[食うか喋るかどっちかにしろよ……]
[す、スマンっす! でも、トレンも魔人四天王と戦ったんすよね?]
[…ああ。二人ほどな。]
トレンはどこか話しづらそうに視線を逸らした。
その空気を察したシーラレイが話題を変える。
[ところでトレン、合流するの遅かったわね?]
[…シーラレイさん。レガクロスさんたちを呼んでもらえますか? 全員揃ってから話します。]
[わかったわ。]
数分後、全員が集まった。
[どうした? 話ってなんだ?]
トレンは静かに口を開いた。
[実は……皆さんが先にワープした後、魔人四天王よりさらに上位の敵と遭遇しました。]
[[[[[!!?]]]]]
場の空気が凍りつく。
[戦闘になり、何とかダメージは与えました。ですが周囲にさらに四体の気配があったんです。加勢はしてきませんでしたが……俺は、あの時“終わった”と思いました。だから即座にワープで離脱しました。合流が遅れたのは、そのせいです。]
レガクロスたちは顔を見合わせる。
[……やはりか。]
[魔人より上位なら、ヤツらしかいねぇ。]
[トレン、その相手は――【魔神四天王】よ。]
[なっ!?]
トレンは目を見開いた。
[じゃあ、残り三体の気配と北側の異常な気配は……まさか……]
[ああ。【魔王】だ。]
レガクロスは真剣な表情で続けた。
[北側へ行かなかった判断は正解だ。今のお前たちじゃ勝てない。俺たちでも危険な相手だ。]
[…確かに、今の俺たちじゃ無理ですね。]
[自分もそう思うっす。魔人相手でギリギリだったっすから。]
するとレガクロスが静かに提案した。
[トレン、リョウ。お前たちは西エリアへ行け。]
[西エリア?]
[そこで、お前たちに足りないものが見つかるはずだ。]
[足りないもの……?]
シーラレイが説明する。
[トレンとリョウは、力が極端なのよ。攻撃力や覚醒は凄い。でも、身体能力の土台やバランスがまだ未完成なの。]
[だから西エリアで、自分自身を鍛えてほしい。]
トレンとリョウは顔を見合わせた。
[トレン、自分は行くっすよ。自分に足りないものを見つけたいっす。]
[勝手に即決するなよ。俺を置いていく気か? 一人で大丈夫か心配だな〜。]
[保護者か!! 子供扱いしないでほしいっす!!]
[[[確かに]]]
[なんでやねん!!]
その場は笑いに包まれた。
激しい死闘を越えたあとだからこそ、その時間はとても穏やかだった。
翌日。
トレンたちはレガクロスたちと別れ、自分たちのホームへ戻る。
[それじゃ、西エリアへ行く準備をするか。]
[了解っす!]
準備を終えた二人はログアウトした。
[ふぅ……結構疲れたな。西エリアか……。レガクロスさんが言ってた、スヴァログの街ってどんな場所なんだろうな。]
トレンはそう呟きながら、静かに眠りにつくのだった。
もう1話を夕方に投稿致します。
次回から新エリア・西エリアの街・スヴァログの街編をお送り致します。
これまで読んて頂いてる皆様、評価して頂いてる皆様
本当にありがとうございます。(`・ω・´)ゞ
これも、ひとえに読んで頂いてる皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
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