15 王都を散策する_25
* *
「エイコッ! ここが、王都一大きな市場なのだっ!」
私(英子)はフィルマに、先ず一番に市場へと案内された。
「へぇ~~っ、凄い広いのねぇ~~っ!!」
「フフゥ~~ンッ!」
見渡す限り、人、人、人、……。
多くの客で賑わい、小規模な店が立ち並ぶ。
海鮮から肉類、季節の野菜に至るまで、……。
ホンと、色とりどりの様々な食材が陳列されていた。
へぇ~~っ。これだけの規模なら、フィルマが私に見せたがったはずだわ、……。
ここにいるだけで、このヤムントという国が如何に豊かかとワカるような気がした。
「ホンと凄いわねっ! 何だか、東京の築地市場と大田市場が合わさったみたい!」
「ツキ、……ジ? シジョウ? オオタ? イチバ?」
私の率直な感想に、フィルマが不思議そうな顔をして言葉を反復する。
「あぁ、ごめんごめん。ワカんないよねっ、私のいた東京での話が、つい口に出ちゃった。でも、……さ。ホンと、広い市場なのねっ!?」
「ふむっ! エイコには、この国が豊かで素晴らしいことを見せたかったのだっ!」
見上げるほどの愛国心。
郷土愛の塊のようなセリフがスラスラと出てくる辺り、……。
さすがは、次世代のエリート官僚候補。
国王の瀬田さん直々の、英才教育様々なのかなぁと思われた。
私は学生の頃、主任教授の方針で都内各地の市場に見学に回った。
人間の本質は「食」から、……。
そんなコンセプトで、東京の各地の市場で撮影許可を得ると、いくつかのグループに分かれて動画映像や写真撮影、録音、関係者へのインタビュー等々。
その臨場感を全て記録する勢いで、学生達は情報収集に励んでいったものだった。
私もそんな学生の一人で、……。
早描きのラフスケッチで、次々と小さなスケッチブックの余白を埋め尽くしていく、……。
こんなこともあった。
都内某所、湾岸エリアの食肉市場の見学は、稼働箇所には立ち入りできず、学生達には不評だったんだけど、……。
「あの牛さん、もの悲しい顔をしているよ、……」
そう言って、私に意見を求めてくるクラスメイト。
「……」
とは言ってもなぁ、……。
次々と各所からやってくるトラックの荷台から、時おり顔を出す成畜の顔。
動物は涙を流さないけど、悲しい顔をする。
でも、……ね。
生命を食らわないと、私達は生きてはいけない。
私は見学の許容される範囲で、その様子を記録し続けた。
後の学年末の進級考査で、教授陣を前に合同のプレゼンを行ったのだけど。
もしかすると、……さ。
その時から既に、私の態度や行動が逐一マークされていて、……。
この学生なら適正ありと、斎木さん達役所の上層部とウチの大学とで話し合いが行われていたとしたら、……さ。
ワッと、市場の活気のある音が戻ってきた。
今、目の前では、大量の鶏に似た鳥が生きたまま籠に容れられていて、……。
客が所望すると、店員はその場で首根っこを掴んで取り出すと、スパンと刎ねた。
「ひぃっ!」
フィルマは小さな声を立てて、私の腰の辺りに抱き付いて身を隠す。
まぁ、……。そんなことはないか。
「魁!断筆姉さん!!」をお読み頂き、ありがとうございます!
英子の作家魂や、仲間たちとの冒険を楽しんで頂けたら嬉しいです!
この物語を気に入って下さったら、☆評価やブックマークで応援して頂けると、作者の励みになります!
英子と一緒に次の展開を盛り上げるため、ぜひ力を貸してください!✨




