15 王都を散策する_21
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トラヴィス伯爵は、上位貴族だ。
しかも、反王党派の重鎮でもある。
斎木さんと私(英子)は、伯爵領に一日だけ滞在する予定はあったものの、……。
あくまで、伯爵領は移動の経由地という位置づけだった。
そもそも、斎木さんも私も日本人で、日本政府の役人で……。
王直属の人間であり、王党派という扱いになるのだと思う。
だから、伯爵側からの晩餐会のお誘いがなければ、決して顔を合わせることもなかったのだと思う。
それが、夕刻になって急遽呼び出しを受けると、斎木さんは一気に活動を再開する。
こちら側も指導官(メンター役)の斎木さんが動くとあらば、私も事前研修で教わったとおり、特別な対応を求められることとなった。
伯爵側は、前日のバルディ男爵邸でのゴブリン襲撃を、既に察知していた。
斎木さんによると、おそらく男爵邸のメイドか執事の中に、伯爵から送られた間諜がいたのではないかという。
男爵が襲撃を防ぎ切った翌朝、伯爵側は早馬を何頭も潰しながら、その情報を得ることに成功する。
斎木さんの運転するパジェロ(自衛隊車両)が伯爵領に入るや否や、さっそく接触を試みてきたというのが、その真相なのだろうって話だね。
相手は上位貴族故に強かで、……。
手練手管、様々なやり方に慣れている人物だ。
そんな伯爵が斎木さんを招いたのは、余程のことだったのだろう。
魔物達の暴走に、絶えず悩まされ続けてきた地方貴族達。
そんな一人でもあるトラヴィス伯爵は、今回斎木さんが使用した日本製のライフル、その攻撃力に注目したのは当然と言えるだろうね。
私は、斎木さんから奥方様、ご息女様の歓心を得るように行動することが求められた。
これは今さら言いたくない話なのだけど、……。
私は、斎木さんから「美の伝道師」という役割を求められている。
日本発の最新式の化粧術を、中世のこのヤムントの上流社会に齎すこと。
時にはメソッドだけでなく、その化粧品も分け与えること。
更には、……。
ヤムントではまだ貴重な宝石や宝飾具を使って、女性達を誑し込むことが求められていたんだよね。
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