作り物の世界。
どれくらい時間が経ったのだろう。
最初の蜘蛛のオートマタの襲撃の後そのフロアをなんとか突破して二つほど階層を下に潜って来て。
その間にも犬のようなオートマタの襲撃がありわたし達はなんとかそれも撃退しつつ周囲の探索を続けた。
この古代の遺跡っていうか謎の施設に潜ってもう丸一日はとうにすぎたと思われるけれど誰も戻ろうとは言い出さなかった。
食事は携帯食を齧るだけ。水は幸い魔法で生成できるから問題はなかったけれど、とにかく眠くて疲労が溜まってる。
ちょっとフラフラだよどうしよう。
一人泣き言をいう雰囲気でもないから我慢してるけどほんと限界。
——ああ、ここは……、もしかしたらそう、なのか?
え? 何かわかるの? ノワール?
たどり着いたそこ、そのフロアに並ぶ無数のカプセル。
人が一人ちょうど寝られるようなそんなサイズのカプセルが見渡す限りの広さにわたって並んでる。
円筒のそれに半透明なフードが被さった、そんなカプセル。
『コールドスリープカプセル』
頭の中に浮かんだのはそんな言葉。
もしかして、これ、
あの例のイシスプロジェクトとかいうのの遺跡なの?
——ああ。たぶんそうだ。間違いない。俺が遥香姉さんに聞いた話そのままだ。
って、そういえば気になってたんだけどその遥香さんって誰? ノワール時々その名前出すけど。
——遥香姉さん、は、ラギレスのことだよ。彼女を俺が呼ぶときの名前。
なんでまた。遥香って日本人の名前でしょう?
——あれ? 言ってなかったっけ? 遥香って名前は君にとっての貴子と一緒。VR世界での名前だから。
はう? VR?
——イシスプロジェクトでコールドスリープ中のアリシア・ローレンの魂が辿っていた電脳世界、VR世界での君たちの名前だからそれ。
何? それ! どういうこと! VRって……、ゲームの、作り物の世界のこと?
わたしがわたしだって思ってた事が、全部嘘だって事?
わたしのこの自意識が、自我が、全部作り物の世界のものだっていうの!?
そんなの!




