鋼の蜘蛛。
「このまま帰れるわけがないだろうよ!」
だよね。アジャンさんならそういうと思った。
「まだ何にも手に入れてませんわ」
「このままおめおめ帰ったら、それで俺たちお役御免だよな。面白くねえ!」
アマリエも、ジルも。
「やれるところまで行くぞ!」
「「「おー!」」」
アジャンさんのその掛け声に、わたしも一応そう答えとく。
ホールの正面の壁が横に大きく開く。
そこにあったのはウジャウジャと蠢く黒い塊。細長い脚が何本も生えている、まるで蜘蛛のような形をした何か、だった。
全部で10匹はいるだろうか?
本体の大きさは小型犬くらいあるけどそこに長い脚がついてうにうに動いている。
ちょっと気持ち悪い。
金属質な黒い脚は鋭い爪も付いていて殺傷能力も高そうだ。ほんとだったらあんまり関わりたくないようなそんな怪物。
「オートマタ、か」
アジャンさんがそう呟いた。
へ? ってことはこれってロボット?
っていうかアジャンさん、これ、知ってるの?
「リーザさんったらあれが何かわかるのかしら」
「いや、似たようなものを前に見たことがあるだけだけど。たぶん、そうなのだろう」
はうあう。
わたしはオートマタっていったら人型のお掃除ロボみたいなお手伝い用しか見たことなかったけど、こんなのもあるのか……。
先頭の一匹がじりじりとこちらに近づいてきたと思うと、脚を縮め溜めをつくった。
ドン
と、跳ねてこちらに飛んできたそれに向けて右手の剣を振り下ろすアジャン。
ガン! と装甲に当たる音。
でも。
「痛ぁっ!」
ガンガラガッシャん。
その蜘蛛の化け物が吹っ飛んでいったのは良かったけど、たぶんあれは切れてない。
剣を持った右手をかかえ痛みを堪えてるアジャンさん。
と、対照的に、
吹っ飛んだ先で普通に起き上がるその蜘蛛。
「はは。流石にこれは簡単には通してもらえそうにないな」
そう苦笑するアジャン。
まさかの無傷のその蜘蛛が再び脚を縮め溜めを作るのが合図になったのか、他の蜘蛛たちも同じような姿勢になったかと思うと奴らは一斉に飛びかかってきた。
「ウインドウォール!」
わたしはとっさに風の壁の呪文を唱え目の前の蜘蛛を防ぐけれどそれを掻い潜り何体かの蜘蛛が迫る!
足元に顕現した黒猫姿のノワールがわたしを庇うように目の前に迫った蜘蛛の1匹に飛びかかった。
「きえー!」
隣ではジルが剣を突くようにその蜘蛛の腹に突き出し。
「ライトニングっスピア!」
アマリエは光る槍を放つ!
「ニードルアタックフルショット!」
アジャンさんのニードルアタックはその無数の釘を連射で打ち出して。
「ウインドウォール! トルネードブリザード!」
わたしも風の壁に吹雪の嵐を加え打ち出す。
わたし達は蜘蛛たちを分散させ、なんとか各個撃破していった。




