生きている施設。
結局奥まで見て回ったもののこのフロアにはそれ以上の収穫は無かった。
わたし達が見つけられなかっただけかもしれないけどね?
そもそもあのタコのような怪物はどうやって生きてきたのか。そこのところだって定かじゃない。
もしかしたらどこかに抜け道があるのかもだけれどそこまで念入りに調べている暇はない、かな。
さっきのエレベーターを見る限りでさえまだここには六つのフロアがあるはずだ。
それを調べていかないと。
分かれ道の部屋に戻って次は真ん中の階段の扉をあけ、降りていく。
階段はコンクリートのような硬さで先程のフロアの床のようなアルミっぽさは無かった。
かなり長い階段をひたすら降りるとどうやら終点? でも、次の階かと思ったらそれはただの踊り場で、そこで百八十度回頭、また下に降りる
皆、無口なまま階段を降りているけれど気は張り詰めていた。
そして。
今までに経験したことのある魔物のいるダンジョンや、迷宮とは様子が違っていることも感じて。
そもそも遺跡調査っていう名のダンジョン探索は、普通、風化した遺跡に巣食う魔物が住ういわば魔物の巣とでもいう場所だ。
それか魔溜まりを中心に湧く魔獣の巣になっているか、どちらにしてもそういった魔物魔獣等との戦いが避けられない物だ。
それなのに。
ここは、そもそも生きている? っていうか、遺跡が風化していない。
壁にしてもたぶんこの空気、空調にしても、どうやらこの設備が設備として生きている状態だ。
もう持ち帰る情報としてはこれだけでも充分報酬が見込めるだろう。
この奥にどんな危険があるか、ではなく、もう既にこの設備自体が魔道王国時代の魔ギアや魔道具、オートマタの技術の秘密に匹敵する。
今のこの時代、魔道王国時代の技術でさえロストテクノロジーと化していて新しくつくることさえ出来ないのに、こんな施設を調べた所でどうなるのかわたしみたいな素人にはわからないけど。ね?
さあ、やっと次のフロアに到着したみたい。
下に降りる階段と繋がっている踊り場には今度はちゃんと上の部屋と同じ扉があった。
ここを開けるとまた分かれ道の部屋があるのかな。
先頭のアジャンさんが慎重に扉を開けた。
その部屋の眩しさに、一瞬目が眩む。
そこは先程のフロアの部屋よりもさらに広いドーム状の天井に覆われたホールだった。
天井全体が照明の役目を果たしているのか、かなり明るい。
そのホールの中程まで進んだ時、空中から警告音のような音が鳴り出した。
身構えるわたし達。
ビービーと鳴る音に混じり、
『侵入者よ、ここから立ち去りなさい、さもないと排除します』
と、機械のような声が三回繰り返された。




