リーザ・アジャン。
触手を全て切断し、残るのが本体、頭の部分だけになったところでアジャンさんが飛び込みその手に持ったドラゴンスレイヤーを上段から打ち下ろす。
剣先に纏った光が長く伸びその頭部を両断した所で怪物は動きをとめた。
「マリア!」
振り向きざまにわたしの名前を叫ぶアジャン。
「はい……。ごめんなさい……」
「なんで謝るの? っていうかマリアなんだよね? どうしたのその姿」
「なんだか縮んでません? マリアってアタクシより大柄に見えてたのに今は同じくらいデス?」
「っていうか可愛くなってない?」
「バカ。ジル。他に言うことあるでしょー?」
はうあう。
「ほら、マリアったら顔が真っ赤になってる」
「はうう、ごめんなさい……」
「もう、謝る必要なんか無いから。それよりも、ありがとう。マリアのおかげで助かったよ」
「そそ、リーザさんの言う通りよ。さっきの魔法アタクシにも教えてくださいな」
はう。
なんだかみんなが笑顔になって。
この姿、受け入れてもらえたのかな? なら、嬉しい、な。
☆☆☆☆☆
「じゃぁそのティアラ、っていうかサークレットのせいなのかい?」
「ええ、これ、昔の大賢者様が所有していた魔ギアらしいんです。お店で偶然見つけて」
「すごいデスね。魔・ギアなんてそうそう持ってる人も少ないのに」
「ですよね……。シルヴァ・メーティスって名前で、以前の所有者はセリーヌ・マギレイス・ラギレス様だったそうで……」
「え?」
「それって伝説中の伝説の大賢者様じゃないデスか!」
「もしかしてその姿ってラギレス様のお姿? なのか?」
「はう。ジルさん。そうみたいなんです……」
「ばあちゃんに聞いたことがある。シルヴァ・メーティスって言ったら魔道王国時代に王女セリーヌ・ラギ・レイズ様が所有してた筈の魔・ギアだよ……」
え? アジャンさん?
「ばあちゃんはそのまたばあちゃんから聞いたって言ってた。あたしのご先祖様ってそのセリーヌ様と一緒に戦った仲間だったんだよ」
「え? アジャンさん?」
——そうか。彼女の子孫なのか。
はう? ノワール何か知ってるの?
——ああ。直接会ったわけじゃ無いけれどそもそもセリーヌ・ラギ・レイズはラギレスの前世だから。
えー?
前世って、前世って、ラギレス様って生まれ変わってるわけ?
——君だってラギレスの生まれ変わりだろう?
ち、ちがうもん。
わたしの前世は久能貴子。日本人だったんだから。
「もしかしたらマリアには魔導王国のセリーヌ姫様の血が流れてるのかもしれないね」
「はう。アジャンさん……」
ごめんなさいアジャンさん。そりゃあ先祖を辿ればレイズ王家にだって繋がるけどたぶんそういう事じゃないんだろうなぁ。
「とりあえずその姿でいる間はいつもよりも高度な魔法が使えるって考えていいんデス?」
「ええ、たぶん。マナのコントロールがしやすいのと大賢者様の魔法術式の記録がこのメーティスの中に残ってるんです」
「はう! ウラヤマシイ……」
「しょうがないよアマリエ。魔ギアったら主人を選ぶらしいから。主人以外にはただの冠さ」
「もう、ジルったら一言多いのですヨ!」
「さあ。そろそろ次の扉に行こうか?」
アジャンさんの声に皆は立ち上がり、準備をはじめた。
「サーチの結果は変わりませんケド……。次は真ん中の扉デスかね……」
「ああ。今度はまずあたしが扉を開ける。ちゃんとシールドしておくから、皆で扉の向こうを見てみてくれないか?」
「了解です」
「おっけー」
「わかりました」
油断は禁物だけど何かあるかもと思えば慎重になれる。
わたしたちはアジャンさんが開ける扉の向こうを凝視した。




