ハクア。
結局わたしはラギレスのマトリクスのまま魔道士の塔に入って行った。
もうマリカに見られてる訳だしわざわざ変身を解かなくてもいいしね?
わたしの後ろからついてくるイクシア様を見る周りの人、普通に会釈とかしてるっぽいけどどういう事?
っていうか大魔導師様って、そんな滅多に会えるような人じゃなさそうな気がしてたのに。
「そうだ、マリア。この人は導師ハクア様ね。魔導師協会の偉い人なの」
はい?
途中そんな雑な紹介をするマリカに驚いたわたしの目は彼女の顔とイクシア様の顔を行ったり来たりして。
イクシア様は不思議な微笑みを浮かべたまま。マリカはしごく真面目にそう言ってる。
って、もしかしてマリカ、この人がイクシア様だって知らないの?
「えっと、ハクア様?」
宜しいんですか? そんなニュアンスを込めてそういうわたし。イクシア様はええそれで良いんですよよ言いたげに二回頷いて、
「はい。ハクアとお呼びください。マリア様」
そうのたまった。
エレベーター? みたいな昇降機で最上階まで上がり、そして大聖女様のお部屋の隣、会議室みたいなところの部屋に入る。
ここがわたしの聖女修行用の部屋になってるんだけど、ハクア様も一緒にここまでついてくる?
パタンと扉を閉めたところでマリカ。
「今日はレティーナ様どうしても外せない用事があるからって、マリアの勉強はあたしが担当するからよろしくね」
そういいジェスチャーでわたしとハクア様に椅子を進める。
「ハクア様、もしよかったら少しご教授頂けると嬉しいんですけど」
と、そうハクア様にも声をかけるマリカ。
「よろしいですよ。では、何からお話ししましょうか?」
「はい。今日の予定はマナと魔力の関係、この世界の成り立ちから、ですかね」
「いいでしょう。マリアさんの為ならこの知識、存分にお役にたててくださいませ」
「ありがとうございますハクア様。あたし説明するよりぜったいハクア様の方がわかりやすいもの」
「そうでもないですよ? しかし、まあ。女神の御心のままに」
そう話すとすくっと立ち上がったハクア様。
テーブルに。向かい合って座ってるわたしとマリアの横、ちょうど中心線上に位置取って。
「では。全ての始まりからお話ししましょうか」
と、両手を天井に向かって高く掲げた。




