はかなげな少女。
にゃぁ!
わたしの右手の先から飛び出してきたドラこがこちらをみて鳴いた。
はう。今、普段わたしの身体、っていうか魂の中に潜り込んでいるドラこ。てっきり寝てるもんだと思ってたのに。
——ああ、お前、オプスニル、か? いや、本体では無いな。分身か?
え? シルヴァ?
——ああマリア。このねこ竜玉の魔・ギア、オプスニルの分身じゃないかな?
はう。ドラこが魔ギア?
「にゃぁ」
——うん。たぶんそう。だけどここに居るのは本体じゃないね。
え、と……。本体っていうのはたぶんマリアンヌの中にいるんだと思うけど……。
——そっか。理解した。ラギレスのカケラ、他にもいるってことか。
ラギレスのカケラ?
——そう。ラギレスのカケラ。
って何?
——前の主、セリーヌ・ヴァインシュタインもそうだった。ラギレスの魂を持った者。
え? ラギレスってもしかしたら伝説の大賢者様のお名前のこと?
——んー。マリアの言う伝説の大賢者っていうのはたぶんセリーヌの事。セリーヌは、セリーヌ・マギレイス・ラギレスと呼ばれていた。
えー? じゃぁ、あなたの前のご主人が伝説の大賢者、ラギレス様だっていうの!?
——そうなる、かな。
って、と、いう事は、だよ?
この今のわたしの姿、この華奢な少女がラギレス様だっていう事!? ちょっと信じられない。
だってよ?
ラギレス様って言ったら最強の大賢者で大聖女で、魔王も倒しちゃうくらいすごい人、なんだよ?
それがこんな猫みたいな華奢なかわいい少女だなんて!
「にゃぁ?」
はう。ひょっとしてドラこ、わたしをわたしとして認識してない?
不思議そうな顔をしてこちらを見てる。
まあ、そうだよねこんな姿。
マトリクス、って言ったっけ?
——ああ、ラギレスのマトリクス。彼女の姿のキオクだ。
それがなんだってわたしに被ってるのよ!?
——俺を身につけたから?
って、これ、元に戻るんでしょうね!? はう。このままじゃ困る!
——俺を外せば戻るが……、ああ、俺もマリアの中に潜るとしよう。
はう?
——マリアの中、魂の中に潜る。用事があれば呼び出してくれればいい。ではな。
そう聞こえたのが最後。額に当てていたサークレットは跡形もなくその場から消えた。
で、わたしの姿もどうやら一瞬で元のクローディアの容姿にもどったみたい。
なんだかキツネにつままれたような気分。ドラこもやっとわたしだと認識して安心したのか、自分からわたしの手にぐりぐり頭を擦ってきた。
でも。
確かにね。あんな華奢でかわいい容姿。ちょっと憧れるけど。
マリアクエストの主人公には容姿のスチルは無かったけど、もしかしたらあんな感じだったのかも。はかなげでかわいい少女。そんな、ね。
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