魔ギア。
「修道院のお仕事の手伝いとかはいいからたまには自分の好きなことしてゆっくり休日を楽しんでくださいな」
そんなマリーベルさんの言葉に甘えて街を散策に出たわたし。
お世話になってるんだもの、冒険者お休みのときくらい此処を手伝わなきゃ。そう思って支度してたらマリーベルさんがそう言ってくれたの。
お休みはちゃんと取るべきよ、って。
そんなこんなで何をしようか考えて。
わたしは街をみて回る事にした。
ウインドーショッピング?
あは。別に物を買うわけじゃないけどね? 見て回るだけでも楽しいよね。
それと。
図書館かぁ。行ってみたいな。
街の図書館はまだ行った事ないんだよねわたし。
アマリエが、ワタクシが案内しますわって言うから内緒で行ったら怒られそうで。どうしよっかなって思案しながら商店街を歩いて。
美味しそうなお菓子を見て。
かわいいお洋服を見て。
素敵な工芸品を見て回って。
そこで見つけたサークレット。
白銀に輝くそれ。まるで前世でおひめさまがよくつけていたような、そんな綺麗なサークレットが何故か投げ売りされていて。
わたしの手持ちで買えるくらいなお値段なのに。一品だけっぽいのに。誰も手に取ろうとしない。
どうして?
「お嬢さん、それ、気に入ったのかい?」
じっと眺めていたらそう店主さんに声をかけられた。
くまさんみたいなもさもさの頭のそんな店主さん。
「いえ、あの、なんだかすごく不思議で……」
「そいつはね、魔ギアなんだよ。持ち主を選ぶからね。主人が気に入らないといつのまにかその手元から消えてしまう。お金出して買っても自分のものになるかどうかわからなければ誰も買おうとはしないやね。どう? それでも買ってみる?」
ああ。
そういうこと、か。
魔ギア。聞いた事はある。
この世界における魔力の媒介者、ギア。
その集合体であり上位の存在。
その昔にこの星に存在した伝説の国、魔導王国ラスレイズ。
そんな時代の産物だっていう話?
あの伝説の大賢者ラギレス様は七つの魔ギアを所有していたって御伽話にもなってる、あれ、かぁ。
って、そんなものがこの現代に存在するのかどうかも怪しいけど。
でも。
買っても自分のものにならないかもなんて聞かされたらいくらお安いお値段でも躊躇われるよね。
だけど。
なんだかこの子、わたしに手にとって貰いたがってるような。
自意識過剰かもだけど、そんな気もしないでもないんだよね。
ままよ、うん、清水の舞台から飛び降りるつもりで買っちゃおう。
少しの間でもいい。手元に置いておきたい。
「おじさん、これ、くださいな」
「いいのかい? 無くなったって騒がれてもどうもしてやれないよ? もしこの店先に戻ってきていても、返す事はできないからね? それでもいい?」
「ええ。いいんです」
「返金は出来ないよ?」
「覚悟の上です」
「ならいいけども……」
店主さん、そのサークレットを紙の袋にいれて渡してくれた。お代は10ギル。ふつうに外食でお昼ご飯2回分だ。
穿った見方をすればこのおじさんに騙されてるって事も考えられないでもないけど、(袋開けたら空だった、とかね)そんな意地悪な詐欺をするようにも見えない。純朴そうな店主さんだし。
ありがとうございますとお代を支払って。
わたしはそのサークレットの入った袋を胸に抱えてそのお店を出た。
公園のベンチにでも行って中身を確認しよう。
そう思い、少し急ぎ足になった。
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