家族。
翌朝。
わたし達は騎士団の人たちに別れを告げアストリンジェンの街へと戻った。まあね、マリカ達はもう少しこの近辺の調査をしてから帰るらしい。
ギルドの報酬も騎士団からの礼金を上乗せして貰えるって話でアジャンさんはホクホク顔だ。
「明日は休みにするからね。ギルドへの報告だけしたらあとは自由だよ」
「ひゃっほー。姉さんわかってるー」
「アタクシは別に疲れてなんか居ませんわ」
「まあね。昨日の戦いはマリアが来て初めての大掛かりなものだったからね。疲れたろ? マリア」
「はう。ありがとうございますごめんなさい」
確かに。疲れてないと言ったら嘘になる。
それも、肉体的にというより精神的に、だ。
だから。素直に、おやすみは嬉しかった。
ギルドに完了報告を済ませたらあとは解散。アジャンさんとジルはなんだかんだで仲が良い。今日は二人で呑むのだと街に繰り出して行った。
アマリエは図書館に行くという。中央にある図書館ではなく下町にあるそれは、中古の魔導書なんかがけっこう揃ってるアマリエお気に入りの場所だ。わたしも今度行ってみたいなと言ったら、アマリエの顔がぱっとほころんだ。
そのあとすぐにツンとした表情に戻って、
「なら、しょうがないからアタクシが案内して差し上げますわ。初めてで迷って、司書さんに迷惑かけてもいけませんからね」
そう言って。プイって横を向いた。
ほおが少し赤くなってたの、わたしは見逃さなかったけど。
「ただいま帰りましたー」
「おかえりーマリア。早かったのね」
「ええ、思ったよりも早く片つきました。みなさん凄かったんですよ」
「聞きたい聞きたい。おはなし聞きたい」
「まあまあカリナ。マリアも疲れてるでしょうからまた後にしましょうね。お疲れ様マリア。お茶にしましょうか?」
「ありがとうございますマリーベルさん」
お台所のテーブルに腰掛けて三人でお茶にする。わたしがギルドの横のお店で買ったお土産のお煎餅を摘みながら今回の討伐の顛末をダイジェストで話す。
あ、わたしが倒れたところは端折ったし魔物を倒したのはアジャンさんの大魔法だし、そこのところはそう強調しておいたけどね。
でも。ああ、いいな。こういうのも。
なんだかね。普通の家族みたいなこの感じ。
わたしが大聖女様に勧められてギルドで冒険者をする事になった時、マリーベルさんは泣いて反対してくれた。
危険だから、と。
お仕事なら此処を手伝ってくれればいいのよ、と。
でも。
わたし自分の出自の事は伏せたけど、どうやら自分の中には大きな魔力がある事、それを制御できないとこの場所まで危険に晒す可能性があることを、大聖女レティーナ様から聞いた話として伝えて。
もう学校に通える歳じゃない事や実戦で鍛えるのは冒険者が最適だということを話しなんとか納得してもらった。
もちろん此処を出て行くつもりでそう話したんだったけど。
それでも。
マリーベルさんは、「本当に貴女に帰る場所が出来るまで、此処をおうちだと思って。このまま一緒に暮らしましょう」と、そう言ってくれた。
フラム様やマイヤーさんも積極的では無かったけど賛成してくれて。
その好意に甘える事にしたあたし。
ほんと、ね。ありがとう。マリーベルさんもカリナも他の子供達もみな、大好きだよ。
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