表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「天眼 風をみる」   作者: 魔法使い
74/173

第二章 「胎動」 第二十一話 「大きな存在」


「天眼 風をみる」


 第二章 胎動


  第二十一話 「大きな存在」


  龍気の行き先は、「永光寺」の道願の所であった。  


 以前、お菊さんを助けてもらった時に、「熱さまし」の


  良い薬があると、 聞いていたからである。


  龍気が永光寺に着くと、それを予見していたかのごとく、


 道願が表で待っていた。





道願「龍気殿、ほれ、「熱さまし」の薬じゃ、


    わしが特別に調合した


   「薬」じゃからの、よく効くぞ。」


   道願は、龍気が事の事情を説明する前に、


    こう言って龍気に「薬」を渡した。


龍気「道願殿・・・、 かたじけない、事情を説明する所なれど、


    総てを解っておられるようじゃ・・・、


    後ほど、ゆっくりとお話しいたす、これにて、御免!」


道願「いや、暫し待たれよ! 」


   そう言うと、道願は、お菊が病に倒れた時に与えたような、


   ほんのり赤い「光の玉」を手のひらで創り出した。


道願「龍気殿、右の手のひらを出しなされ、」


    言われるままに、龍気が右の手のひらを出すと、


    道願が作った「光の玉」を龍気の右手にそっと落とした。 


    不思議と、その赤い光の玉は、龍気の手のひらの上で、


    「フワフワ」と浮かんでいる。


    それは、どんなに風が吹いても、龍気の手のひらから、


     離れようとしない。 


道願「これは、お鈴ちゃんの生命力を強くする「紅玉」(こうぎょく)じゃ、


    その薬を飲ませたら、 傷の所に、この紅玉を近づけなされ、


    紅玉は自然と、その傷に溶け込むはずじゃ、


    後は、ゆっくりと寝かせてやればよい。


    案ずるな一晩寝れば、随分良くなるはずじゃ」


龍気「なんとお礼を言ってよいか・・・、 


    感謝のあまり、言葉が見つかりませぬ・・・。」


道願「よい、よい、早くお鈴ちゃんを「楽」にしてしんぜよ・・・、」



龍気「うむ・・、それでは、御免!」


    龍気は、右手の「紅玉」をそっとにぎり、


    お鈴とお菊のもとに走った。  


  

    旅籠では、 お鈴が「熱」を出していた。 


    傷の毒が体を廻り、「熱」となって現れたのである。


    お菊は、添い寝していた途中で、あまりの熱さで目が覚めた。


    薄い布団が、お菊とお鈴の汗で、しっとりと濡れるほどであった。


     お菊は、水桶で手拭いを絞り、お鈴の額や脇の下などを丁寧に拭き、


    冷やすのだが、冷たい手拭いがすぐに、 自分の体温より、


    熱くなってしまう。 


    お菊は、その度に何度も、手拭いを水桶で絞るのだが、


    その水桶の水も何度か取り替えるほどであった。    


     お鈴の「悪寒」は、この熱が出る、予兆であった。  


     龍気は、過去の経験から、怪我をした後は、「熱」が


     出る事が解っていた。 


     その為の「熱さまし」の薬である。


   

      龍気が旅籠に戻ると、お菊の顔が和らいだ。 


      龍気の存在が、お菊にとって、さらに大きくなっている・・・。


お菊「お帰りなさいまし、龍気様・・・。」


龍気「うむ、お鈴の様子はどうじゃ?」


お菊「はい、熱が高く、顔が真っ赤です。 


   先程から、手拭いで冷やしておりますが、


    熱がどんどん、上がっているようです。」


龍気「やはりな・・・、 お菊さん、すまぬが、薬を飲ませるゆえ、

  

    新しい水を持ってきては、くれぬか」



お菊「はい、わかりました」


    お菊が、湯呑みで、水を持って来ると、


     龍気は、お鈴を抱きかかえ、話しかける。


龍気「お鈴、聞こえるか、「薬」じゃ、道願殿に頂いた薬じゃ、


    これを飲めば、楽になるぞ、飲めそうか?」



    お鈴は、もうろうとした意識の合間で、


    「コクリ」とうなずき、口を開けた。


    龍気は道願にもらった丸薬を口に入れると、


    湯呑みの水をお鈴の口につけた。  


    お鈴は、「ごくごく」と一気に、水を飲むと、


     「フーッ」と息を吐き、また、意識が闇に落ちた。


    龍気は、お鈴を床に寝かせると、右手の中にある、


    「紅玉」をお鈴の右目に近づけた。


お菊「龍気様、その光る、赤い玉は、何ですの?」 


   龍気の手のひらで「フワフワ」と浮いている、


   不思議な玉を見ながら龍気に問う。


龍気「これは、道願殿が、「創って」くれた、「紅玉」と言う玉で、


    お鈴の体を守ってくれるはずじゃ、


     先日、お菊さんが、病に倒れた時にも、道願殿が同じような


    「玉」を創ってくれての、それでお菊さんの病も治ったのじゃ。 


    きっと、今回もお鈴を助けてくれるはずじゃ」


    そう言うと、龍気は、そのほんのり光る 「紅玉」を、


    お鈴の傷ついた右目に近づけた。


    不思議な事に、「紅玉」は、意思を持っているかのごとく、


    お鈴の瞼を通り抜け、右目の中に「すーーっと」溶け込んだ。  


    その瞬間、お鈴は、体を「ピクン」と震わせたが、


    その後は、何事も無かったように、深い眠りについた・・・・。  


     心なしか、呼吸も少し、楽になっているようにみえる・・・。



龍気「さて、道願殿の話では、一晩寝れば、かなり楽になるはずじゃ、


    後は、見守るしかない・・・。


    今のうち、お菊さんも、少し休んで、おくと良い。 


    わしも、しばらく、休ませてもらう・・。」


お菊「はい、龍気様、わかりました。 でも、私はもう少し、お鈴ちゃんを


    診ていますので、龍気様は、お休み下さい。


    何かありましたら、起こしますので・・・。」


龍気「そうか・・、 では、お言葉に甘えよう・・、」


    そう言うと、龍気は部屋の柱にもたれ掛け、意識を半分残して、


    「眠り」についた・・・。


    さすがの龍気も、「疲れた」のであろう、何かある時は、


     半分意識を残し、すぐに起きれる「眠り」についていたつもりが、


    お菊さんと言う、「安心感」が、あったが為か完全に


     寝入ってしまった。


    お菊は、そんな、龍気の様子を見て、もう一組、布団を敷くと、


    起こさないように、そっと龍気を布団に寝かせた。


    本来であれば、寝ている時に、誰かに触られる前に、

 

    目が覚めるのであるが、 この時は、お菊に布団に寝かされても、


    起きなかった。   


    それは、龍気にとっても、お菊の存在が、大きくなっている


    現れでもあった・・・。


    お菊は、寝ている龍気とお鈴の顔を見て、「私」は「信頼」されている。 


     そう、強く感じるのであった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ