第一章 「旅立ち」 第三十一話 「長政の葛藤」
「天眼 風をみる」
第一章 旅立ち
第三十一話 長政の葛藤
お菊が眠りについた一刻(二時間)程後、 長政は、夢と現の狭間を、
まどろんでいた。
長政は、夢を見ていた。 乳母の「お初」の夢である。
長政の母は、体が細く、病弱で血の巡りも悪く、「乳」が出なかった。
そこで長政は、小笠原家に仕えていた乳母、お初に、四つまで育てられたのである。
お初は、大柄な体型で、胸も大きく、乳の出もよい。 神経質な「母」に対して、
お初は、優しく、おおらかで細かい事は、あまり気せず、 笑うとまるで「お多福」
のような顔になった。
長政のお初の記憶は、その「お多福」の顔、「ふくよか」な胸、そして、
ほんのり甘い乳の味である。
安心を与えてくれる笑顔と柔らかな胸の感触は、長政の意識のもっとも
深い所に宿している・・・。
「夢」の中で、長政は、子供に戻っていた、 お初の右の乳房を小さな右手で触りながら
左の乳首を口に含み、懸命に乳を吸っている・・・。
だが、いくら吸っても乳は出ない。 ひもじさを満たしてくれるはずの乳が出ない。
子供に戻った長政は、(このままでは、死んでしまう・・。)と思い、
懸命に乳を吸うが、やはり、出ない。
そのうちに、長政の意識が現に傾き始めた・・・。
口には、懐かしい感触と左手にもやわらかい胸の弾力が徐々伝わってきた。
「夢」の感触が、現実に戻っても続いている・・・。
長政は、お菊の右の乳首を懸命に吸っていたのだ。 左手は、お菊の左の乳房を揉んでいた。
意識が戻った長政は、「ぎょっ!」として、瞬間的に飛び起きた。
お菊は、額に汗をかきながらも、寝入っている。
長政「おき・・・・、」
「お菊」と叫びそうになるのを、止め。 寝ぼけた頭が、考える・・・。
長政(何故? お菊が隣に寝ているのだ・・、そうか、寝る部屋がふたつで、四人であるから、
一部屋に二人ずつじゃが、「お菊と龍気」、もしくは、「お菊と玄海」の相部屋では、
まずいから、「わしとお菊」の相部屋になったのじゃな・・。
ちょっと考えれば、解りそうなものじゃが、酒のせいで頭が廻らなんだ・・、
こりゃ、うかつじゃった・・・。 それにしても・・・・。)
そこまで、考えると、今度は、先程までの、口と手の「感覚」が蘇ってくる・・・。
さらに、蚊帳の中は、お菊が発する、 「女の香り」が長政の鼻に優しく入ってきた、
いや、長政が、夢と現の狭間に居た時から、この「女の香り」は、絶えず、 長政の鼻孔を刺激して
いたのである・・・。
気がつくと、長政の男根は、痛い程に脈うっている。
長政(こりゃ、いかん! おさまりがきかん!)
目の前には、襦袢の前がはだけ、両方の乳房が、あらわになっているお菊が居る。
長政もまた、そのふくよかな胸から、目を離す事が出来ず、見入ってしまった。
若い十六の健康な男である。 ある意味、自然な反応が長政を苦しめる
そこで長政は、「忍者の里」で会得した、 精神修行・・・・「禅」の所作にはいる。
座禅し、手は左手の上に右手を置き、親指の先を触れさせる。
目を半眼にして、 深く、ゆっくりな呼吸で「無の境地」に精神を導く・・・。
驚異的な精神力である。
普通であれば、「本能」のまま、精を放ってしまってもおかしくない状況の中、
ものの四~五分で、長政の男根は、鎮まり落ち着きを取り戻した。
乱れていた心も平静を保ち、 暫くの間、瞑想した後、目を開けると、お菊の襦袢を元に戻し、
布団をかけてやり、 自らも、布団に入り、何事も無かったように
朝まで寝入ったのである・・・。




