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飯テロ⑨香り爆弾

結局カレーの香りが一番強い説。

「今からみんなで【サンラータンまん】を作ります。」

「「「【サンラータンまん】?」」」


みんなの疑問も無理はない。黒酢料理を知らないのだからもちろんサンラータンも初めて聞く言葉だろう。兎に角みんなに作り方を教えながら作っていこうと思う。まずは餡作りだ。


【サンラータンまん】


材料

(サンラータン餡)

・豚肉

・椎茸

・木耳

・竹の子

・卵

・鶏がらスープ

・醤油

・砂糖

・黒酢

・塩

・胡椒

・唐辛子

・ごま油

・片栗粉

(皮)

・薄力粉

・強力粉

・砂糖

・塩

・お湯


「はい、豚肉、椎茸、木耳、竹の子は下茹でして細切りだったよね?」

「ありがとうございます!流石ですね、綺麗に切れてますね。」

「伊達に店を切り盛りしていないわ。こんなの朝飯前よ。」


褒めて照れた様子のフィーハさん。何故がラジャールさんが嬉しそうにしている。

俺は早速鍋に鶏がらスープを入れ、煮立ったところで細切りにした豚肉、椎茸、木耳、竹の子を入れていく。灰汁を取りながら丁寧に煮詰めていき、全体的に味が染み込んできたら水溶き片栗粉を多めに入れて硬めにとろみをつける。溶き卵を混ぜ入れたら火を止め、黒酢をたっぷり入れる。最後にごま油で唐辛子を煮詰めた自家製ラー油を垂らせばサンラータン餡の完成だ。


「はい、楽。皮の準備できたよ。」

「リアありがとう。」


俺は皮作りをリアに頼んでおいた。薄力粉、強力粉、砂糖、塩を混ぜたものにお湯を少しづつ混ぜてまとまったら30分寝かせておいたものだ。


「でもそれ、まだ結構ゆるいよね?どうやって包むの?」

「安心しろ、リア。ちゃんと考えてある。ここで、秘密兵器の登場だ。」


俺達は連れ立って店の外へと出た。外にずらり並ぶのは蒸す準備万端の蒸籠達。


「準備できた。」

「こだまサンキュー!モハウクさんの方は米の準備できてますか?」

「おう、しっかり水を吸って柔らかくなってるぞ。」

「いい感じですね。ありがとうございます!」


俺は米の余分な水を切りエティの前に並べていく。


「エティ、お前の出番だ。得意のミキサー魔法でこれをドロドロにすり潰してくれ。」

「おぉ!オラ得意だぞ!」

「クルは?クルは何するの?」


クルもお仕事が欲しくておねだりしてくる。かわいいな。


「クルは重要な仕事があるぞ!エティがすり潰した米を机に並べた布の上にはけで薄く、丸く伸ばしてくれ。」

「クル!楽しそう!」

「そうかそうか、よかったな、クル。こだま、クルが塗った布を蒸籠でジャンジャン蒸してってくれ!」

「分かった。」


勘の良い方はお気づきだろう。俺が作っているのは、そう、【ライスペーパー】だ。あの生春巻きの皮に使われるやつ。俺はこの【ライスペーパー】でスープを包み【サンラータンまん】の中に入れるつもりなのだ。


【ライスペーパー】


材料

・米

・水


十分に給水させた米をドロドロにすり潰し、布の上に薄く伸ばし蒸す。後は乾燥させれば完成だ。

タピオカ粉を使ったりもする店もあるらしいから、機会があったら試してみたい。

今回はすぐ使うから軽く乾かすくらいに留めておく。


「へーこりゃ不思議だな。まるで紙みたいだ。」

「この【ライスペーパー】で餡を包み、端は水でのり付け。これなら匂いも具材も漏れないです。」

「なるほどな、よし!みんな手分けして具材を包むぞ!」


【サンラータンまん】の餡を包むのはみんなに任せて、俺は念には念をの具材を作ろう。


「エティのアイディアを採用して追加の具材を作るか。」

「おぉ!カレーか!?おら、カレー食べる準備万端だぞ!」

「こだまのハンバーグつき。」

「クルはね、クルはね、いちご。」


スプーンを両手に掲げるエティ。その横でこだまもスプーンを両手に並んでいる。

君たち両手で食べるつもりかい?

そしてクル、いちごはカレーには合わないと思うぞ?いや、レトルトのいちごカレーが存在するらしいし、意外と合うのかな?


「ま、まぁ兎に角作るか。」


【カレー餡】


材料

・豚挽肉

・玉ねぎ

・鶏がらスープの素

・醤油

・ごま油

・カレースパイス


豚挽肉とみじん切りした玉ねぎをよく炒め、鶏がらスープの素、醤油、ごま油少々、カレースパイスを入れて馴染ませる。

鶏がらスープの素は、予め鶏がらスープを作っておいて、それをフリーズドライしておいたものだ。こっちでは買えないので見様見真似で自作してみた。

そしてカレースパイス、今回はターメリック、レッドチリ、クミン、コリアンダーをブレンドしてみた。

これで、ドライカレー風の餡が完成だ。

俺は肉まんの皮を薄く伸ばし、サンラータン餡を包んだ【ライスペーパー】を置き、その上にカレー餡を乗せて包んでいく。そして蒸籠にどんどん詰めていく。


「よし、蒸し終われば【サンラータンまん】の完成…。」


こだまがじーっと見つめてくるので、慌ててカレー餡の材料を最初から混ぜ合わせて焼いた、カレーハンバーグも作成。こちらもサンラータン餡に重ねて包んでいく。

こうして試作品の【サンラータンまん】が完成した。


「できた!ちゃんと食べた瞬間黒酢爆弾が香るか、食べてみよう。」

「うまうまうまうま。」

「カレーうまいぞ!でもスプーンはいらなかったんだぞ!」


こだまもエティもフライング気味でうまそうに食べてるが黒酢は?


「うん、外側からは黒酢は感じない。でも食べたらカレーと黒酢の香りが広がる。」

「そうだな。でもカレーの香りがちょっと強くて黒酢の香りが半減してる気もするな。」

「確かに。サンラータン餡だけのも作ってみたんですが、そっちは?」

「こっちは…知ってるからかな?ほんのり黒酢の香りがするかも。でも、サンラータンすっごく美味しい!黒酢って結構美味しかったんだねー。」

「そうじゃろ、そうじゃろ!黒酢は美味いし体にいいし、究極の調味料じゃて!」


リア、モハウクさん、フィーハさん、ラジャールさんからも味は合格点をもらえた。しかし、確かにカレーの香りは黒酢爆弾の威力を半減してしまう可能性がある。

俺はカレー餡を諦め、皮にカレーパウダーを練り込んでみた。


「うん!これなら食べる前に黒酢は香らない。でも食べたらすっごい黒酢。これならいけるかも!」


何度か配合を試作した結果、香りに敏感だというフィーハさんからも合格がでた。こうしてカレー風味の皮にサンラータン餡を入れた【サンラータンまん】改、【カレー香るサンラータンまん】が完成した。


「よし、後はこれをジャンジャン作ってジャンジャン食べさせるだけだが…どうやってみんなに食べさせる?」

「……………え?」

「楽、まさかお前そこまで考えてなかったな?」

「……………てへ?」

「「「可愛くねーーーー!!!!」」」

「まぁばら撒き方は後で考えるとして、まずは数を作らなきゃだな。楽、配り方考えとけよ!」

「えーーーーーーー…。」


面倒なことを押し付けてモハウクさん達はさっさと【カレー香るサンラータンまん】作りに取り掛かった。こんなでかい国の国民みんなに配るなんて無理難題じゃないか。いっそ街中に黒酢ぶちまけた方がいい?いや、鼻つままれて終わるだけか…。ってか、敵はどうやって国中の人に服従香の香りを嗅がせたんだろう。


「楽、クルが泣いてる。」

「え、え、泣いてる??」


悶々と考えていたらリアが耳打ちしてきた。慌てて振り向くと、クルがこだまの頭の上でプルプルしていた。

そしてこだまはそんなクルに気付いてないのか、ハンバーグ入りを頬張っている。エティも夢中でカレー入りを食べていた。


「ど、どうしたクル??」

「クルのいちご…。」

「い、いちご?」

「ハンバーグもカレーも作ってもらえたのに…。」

「だ、大丈夫だ!クルのいちごはこれからだぞ。」

「ほんと?」

「も、もちろんだ。デザートは最後のお楽しみだろ?」

「ほんと?」

「お、おう。ちょっと待ってろ!」


慌てて食材を準備する。黒酢牛乳といちごジャムと寒天。苺入りの黒酢牛乳に少し寒天を混ぜてジュレを作る。あとは、カスタードがあってもいいな。【黒酢いちごとカスタードまん】だ。


【黒酢いちごとカスタードまん】


材料カスタード


・卵黄

・牛乳

・砂糖

・薄力粉


作り方は非常にシンプル。まず、卵黄と砂糖を白っぽくなるまですり混ぜる。続いて薄力粉を混ぜる。そして沸騰直前まで温めた牛乳を少しづつ入れながら、ダマができないように気をつけながら混ぜ合わせていく。布で濾しながら鍋に入れ、中火で混ぜながら火にかけていくだけ。コツはとろみがつきはじめたなと思ったらあっという間に固まってくるので焦がさないように丁寧に混ぜ続けるだけだ。甘味作りは難しいって言われるけど、俺はあまり失敗したことない。レシピ通りに忠実にやるかどうかだから自慢にはならないけど。


そんな感じでカスタードが完成。牛乳もジャムを入れ中火にかけて温めたら寒天を控えめに入れて混ぜる。しっかり寒天が溶けたら火を止めてから黒酢を混ぜ入れ冷やす。後は混ぜてジュレ状にしたら完成だ。牛乳が入ってるからかジュレというよりふるーちぇに近い感じになった。うん、これなら包んでも大丈夫だろう。時短のためにこだまに冷やしてもらったのであっという間だった。


最後は皮生地にジュレ、カスタードを入れて蒸しあげれば【黒酢いちごとカスタードまん】が完成。


「クル、できたぞ!クルのいちご!」


クルが食べやすいように小籠包サイズで作った【黒酢いちごとカスタードまん】を手渡すとクルは嬉しそうにかぶりつく。


「おいしい!」

「そうかそうか、よかった、よかった。ゆっくり食べるんだぞ。」


おいしそうに頬張るクルにほっと胸を撫で下ろす。こだま達もどうせ食べるだろうからどんどん作るか。


「おぉ、これも美味しいねぇ。」

「あー、疲れた体にしみるぜ!」

「わしは黒酢もっと多くてもよいぞ!」


いつの間にかモハウクさん達まで食べていた。


「このカスタード?っていうのの中に黒酢といちごの入れれば黒酢の香りがわからなくなると思うの。これもメニューに加えましょ!」

「確かに、甘いのに目が無いやつらもいるし、作ってみるか!」


どうやら作戦メニューに加えることにしたらしい。こっちのメニューも作り方を教えてあげることになった。これで飯テロの準備は万端だ。しかし問題は、どうやって街の人達に配るかだな…。

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