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他の遺跡調査隊と遭遇

急に仕事が忙しくなり投稿が遅れてしまった…。

そろそろ別行動の仲間達が戻ってきて欲しくなってきました。

テンシたん研究所の隣の部屋は衣装部屋だったようだ。最初に通った時は何もない部屋だったが、マティが利用可能モードに戻したからか中央に大きなテーブルが現れていて、部屋の4角に試着室のようなボックスが置かれていた。中央ではアンジュがエティの説明を聞きながら何やら操作している。アンジュの手元、テーブルの上はまるでAR、インタラクティブに操作することで服のデザインなどが作れるようになっているようだ。リアルマイノリティリモート。触れられるのでトムもびっくりな技術だ。既にデザインがあらかた出来上がっているのか、甲冑をベースとして忍者テイストを取り入れた、しかしエティの忍者亀衣装のテイストもしっかりある服が描かれている。背中にはご丁寧に小さいながらも亀の甲羅形のリュック付きだ。羽があるから大きくできなかったのかもしれない。


「よし、これがいいと思うぞ!」


エティのゴーが出ると、アンジュは再びパネルを操作する。するとデータが送信されたのか試着室の上部が光ったかと思うと扉が自動で開く。そこに順番にテンシたんが入っていくとあっという間にホヤホヤのデザイン衣装を装着し出てくる。


「え、一瞬で衣装が完成したのか?どういう原理だ??素材は???」


俺はめちゃくちゃ驚いているのだが、誰も気にした様子がない。


「おぉ?楽!みろ、オラの衣装とお揃いにしたんだぞ!」

「すごいな。さながらエティ軍団だ。」

「おぉ!軍団名も必要だな!みんな一緒に考えるんだぞ!」


俺が驚く中、どんどん衣装を装着していくテンシたん。あっという間にエティのヒーロー衣装と同タイプのデザインの集団が完成した。これだけいるとショッカーみたいだけど。衣装が完成したら今度は軍団名を考え始めるエティ。


「よし、タート…」

「それはダメだぞ!」

「なんでだ?」

「世の中には触れてはいけない法律より恐ろしい著作権というものがあるのだ。」

「そうなのか?」

「そうだ。」

「それじゃ、ミニオ…」

「もっとだめだぞ!」

「じゃアベンジャ…」

「エンジェルズにしなさい。」

「えー普通すぎるぞ!」

「普通が一番。助けてもらった人も覚えやすいだろ?」

「オラらしさが足りないんだぞ!」

「でもエティ、ヒーローの時は仮面つけてるし、エティってバレちゃダメなんだろ?」

「おぉ!本当だぞ!忘れるところだったぞ!」


そもそも何故バレちゃいけない設定にしたのかわからないが、設定に救われなんとか思いとどまるエティ。結局エンジェルズと命名された。


「ところでエティ、呼んでない時はエンジェルズどこで待機させるんだ?ずっと一緒に行動したらエティがヒーローだってバレちゃうだろ?」


どちらかというと、俺が迷惑。しかしそこは伏せておく。物は言いようだ。


「おぉ!確かにそれはダメだな!」

「ご主人様ご安心ください。隊長の私だけは小さくなってご主人様と同行致しますが、他の者は私の空間で待機させます。」


そう言うとアンジュはアイテムボックスのような空間を作り出し他のメンバーをすっぽり入れてしまった。皆んなを入れ終わると、アンジェはふわっと宙に浮かびあがり、どんどん小さくなっていく。人差し指サイズにまで縮むと、そのままエティの方へ飛んでいき頭の上へ降り立つ。そして毛の間に潜って見えなくなってしまった。


「私はこのようにご主人様のお傍におります。必要な時は声をおかけください。」

「おぉ!まるで秘密道具みたいだぞ!」

「エティ、さすがに道具呼ばわりはどうなの?」

「アンジュ!」


俺のツッコミもお構いなしに、早速アンジュを呼ぶエティ。すると頭からポンと飛び出しそのまま一瞬で等身大に戻ったアンジュがエティの前で跪く。すごいことはすごいのだが、ちょっとノミみたい…。そんなことを俺が考えているとは露知らず、大喜びのエティ。何度もアンジュをしまっては呼び出してを繰り返していく。


「もうその辺でいいだろ?そろそろ通路も直ってるかもしれないし、残りの部屋も見ちゃわないか?」

「おぉ!他の部屋も行けるようになったのか?早速仲間を探しに探検だ!」

「さすがにもう仲間はいないと思うがな…。」


しっかりエティの頭の中(正確には頭の毛の中)にエンジェルズを収納し、他の部屋、生活ゾーンと遊戯ゾーン、ボツゾーンも調査しておくことにした。テンシたん研究所に戻ってみれば塞がっていた通路は無事修復完了となっていてマティがうるさく完了をアピールしてくる。


「こんなに早く修復できたってことはそこまで埋まってなかったってことなのかな?」

「いえ、ゼンチョウ500mカンゼンにフサがっていました。マティのシュウフクリョクはユウシュウなのです。」

「さいですか…。」


適当に返事を返しつつ最初にたどり着いたのは遊戯ゾーンだった。卓球台やダーツなどを想像していたが遊技場はゲームセンターのようあ場所だった。マティが使用可能にしてくれたからか、昔懐かしアーケードゲームのようなものがたくさん置かれていて、内容も某格闘ゲームや某パズルゲーム、恋愛趣味レーションなどラインナップが充実していた。体を動かす系のゲームはほぼなく、唯一マットコントローラーのようなものがあったがあまり使われた形跡がなかった。長年所有者不在であったのでわかるはずはないのだが、使ってなかったのだけは何故か感じられた。前所有者は確実に引きこもり、運動不足系だろう。


「好きなことして、好きなフィギュアに囲まれて、折角楽園作ったのに別の世界に呼ばれるって…前所有者って結構かわいそうかも。」


ここまで徹底して趣味の楽園を作ったのに別の世界へと行ってしまった前所有者。ちょっとかわいそうに感じてしまう。俺はゲームをあまりしないので、このスペースくらいはそっとしておこうかな。まぁ、俺以外にもここにきている人たちがいるようなのでそこまでは感知しないが。


エティもあまりそそられるものがなかったのかサクっと見ただけで遊技ゾーンを後にすることに。次に続く通路の先は生活ゾーンのようだ。しかし再び通路が塞がっていて行き止まりとなっている。


「オッケー、マティ。この通路は修復できる?」

「ゲンザイシュウフクチュウです。しかしこちらのツウロ、ドシャでウまっているのではなく、ツウロジタイがツブれていて、ジカンかかります。」

「えーそうなの?エティどうする?生活ゾーンあんま期待できなさそうだし諦める?」


生活ゾーンという響きからして面白そうなものはなさそう。無理して調べる必要もないのかなと。


「お!クルだぞ!」

「そうだな、クルもそろそろ帰ってくるかもしれないし…え?クル?」


エティが潰れて塞がった通路のわずかな隙間から奥をのぞいている。そしてクルが見えるという。


「ちょっと穴が小さすぎるぞ!穴を大きくするぞ!」


そう言うとハンドミキサー型の氷を産み出し、穴を開け始める。なにその魔法。家にあるハンドミキサーをまんまおっきくした感じ。初めて見る魔法に驚く俺だが、エティは使い慣れているのか、ミキサーでどんどん穴を大きくしていく。しばらくして穴が貫通したのか魔法を解くと、穴から本当にクルが登場した。


「エティ。楽。なんでここに居るの?」

「オラは楽と遺跡の探検してたんだぞ!クルは何してたんだ?」

「クルはお届けのお仕事!おじいさんとリックをここに届けてるの!」

「おじいさんとリック?」


クルに返事しつつ穴を覗いてみると、そこには入国の時に見かけたおじいさんと少年、それに何人もの騎士たちがこちらの様子を伺っていた。おじいさんも少年も入国の時に見かけた時より身なりが良くなっていて、騎士たちに連れられてと言うより騎士たちを従えている感じだ。


「クル、そちらの方がお友達?」

「うん、おじいさんとリック!」


そんなクルの声を聞き、おじいさんが近づいてきた。


「クルくん、そちらの方はどなたかい?」

「あのね、楽とエティなの!」

「おぉ、いつも話している楽殿とエティ殿ですな。初めまして、私はサルタンそしてこの子は私の孫のリックです。クルくんからいただいたお弁当、とてもおいしかったです。」

「それはそれはご丁寧に。クルがお世話になっているようで。」


保護者同士の挨拶みたいな挨拶をしているとクルが袖を引っ張ってくる。


「楽あのね、おじいさんはイルーヴァントの王様だんだよ!」

「えぇ!!お、王様!!!???」

「いえいえ、元ですよ。今は息子に全て任せてますので。」

「めちゃくちゃ偉い方じゃないですか!!く、クルがご迷惑おかけしていませんか????」

「クルはすごいいいやつですよ!僕たち毎日助かってるんです!」


恐縮しまくる俺に、リック少年、いや王子が嬉しそうに話に加わってきた。


「僕たちこの遺跡を調査してるんだけど、すごく遠くて大変だったんだ。でもクルが毎日俺たちを届けてくれるから大助かりなんです!」

「クル、届けてるって、人を届けてたのか?」

「うん!ホバーボードにブランコつけておじいちゃんとリックをお届けしてたの!」

「まさかタクシーしてたなんて…。」


どうやらクルは想像の斜め上の仕事をしていたようだ。聞けば遺跡調査は前王サルタンさんとリックが趣味でこっそりやっていることだったらしい。後ろに控えている騎士達は普段は姿を隠していて、リックは護衛されていることすら知らなかったようだが壁からの音に警戒して姿を表したそうだ。今まではサルタンさんとリック、クルだけで毎日この遺跡部屋ってきて少しづつ調べていたという。


「しかし楽さん達はどこからこの遺跡に入ったんですか?僕たち1カ所しか入り口見つけられなかったんです。」

「あぁ、俺たちは崖の穴から入ったんで。」

「なんと!この遺跡崖の方まで続いていたんですね!ここが行き止まりであまり収穫がなく…1年近く周辺を探索したんですが他の入り口見つけられなかったんです…。崖の方にも入口があるとは盲点でした!」

「まぁ、俺たちも見つけたの偶然なので…。」


前例があったので決め打ちで探し出したとは言いづらく言葉をにごす。そこからは俺たちが来た道を案内し、調査の協力をしてあげた。突然調査がぐんと進む形となりサルタンさんもリックも大興奮。全てに興味津々で訊ねてくる。しかし俺たちが答えられることはそうなく、マティを紹介したら、サルタンたちの興奮は最高潮に。手をつけられないモードへと突入してしまった。俺たちはしばしその様子を眺めながら、フィギュアについては、エティが秘密だと言い張るので伏せておくこととなった。ここにフィギュアを出したら多分頭の血管持ってかれるんじゃないかな。


「楽、お腹すいた。ハンバーグ食べたい。」


聴き慣れた声に横をみるとなんとこだまが何食わぬ顔で座っていた。


「え!こだま!!?い、いつの間に????」

「ハンバーグ。」


何事もなかったようにハンバーグを催促してくる。いったい何が起こっているのか…軽いパニックだ。

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