遺跡でランチ
ミートローフっておっきいハンバーグにしか見えないのは私だけ?
「こだまーーーー!!!」
久々の再会に思わず抱きつく俺。
「お前どこ行ってたんだよー!心配してたんだぞー!」
「お腹すいた。ハンバーグ。」
うん、この安定のこだま感、落ち着く。
「確かにオラもお腹が空いたぞ!楽、ご飯にするぞ!」
「クルもおなかすいた!」
感動の再会は、あっという間にご飯の大合唱。まぁ、確かにいろいろありすぎてお弁当食べる暇なかったからな。
「おや、これはこれはこだま殿ではございませんか?」
「誰?」
「失礼しました、私この国の前王サルタンと申します。こちらが孫のリック。こだま殿のお噂はかねがね伺っております。」
「初めまして!リックです!」
流石商業の国の元王様。引退してもなお情報に明るいようだ。
「こだま、あのね。おじいさんとリックはクルのお友達なの!」
「クルの友達。ならこだまの友達。」
「そう言っていただけると嬉しいです。リックあまり友達がいないのでぜひ友達になってあげてください。」
クルの友達だからとあっという間に打ち解ける一同。身内贔屓が過ぎるがクルならしょうがないか。折角なのでみんなでお弁当タイムにすることにした。と言っても用意していた【スタッフドバゲット】だけだとこだま御所望のハンバーグと騎士のみなさんの分が足りない。生活ゾーンの中をざっと見渡すとそこそこ大きなキッチンが完備されていてオーブンらしきものも見つけた。足りないなら作れば良いじゃないか。
「オッケー、マティ、このオーブンで使えるようになる?」
「もちろんです。キドウしますか?」
「起動してくれ。ついでに200℃で余熱しておいて。」
「リョウカイしました。オーブンをキドウします。」
アシスタントがいるって便利だな。
「よし、オーブンがあることだし【巨大ミートローフ】作っちゃうか!」
「【巨大ミートローフ】?」
「そうだぞこだま。おっきいハンバーグみたいなやつだ。オーブンででっかいの作るぞ!」
【巨大ミートローフ】
材料
・ミンチ肉
・玉ねぎ
・バター
・卵
・パン粉
・牛乳
・醤油
・タイム
・塩
・ケチャップ
・砂糖
・マスタード
まずは大量の玉ねぎをみじん切りしてバターで炒めておく。
ミンチ肉、炒めた玉ねぎ、卵、パン粉、牛乳、醤油、タイム、塩を良く混ぜ合わせ、鉄板の上に豪快に乗せてたら楕円形に固める。ナイフで網目上に切れ込みを入れたらオーブンで40分焼いていく。
ケチャップ、砂糖、マスタードを混ぜ合わせてソースを作り、焼き上がった肉の上に満遍なく広げたら再びオーブンで15分から30分焼けば【巨大ミートローフ】の完成だ。
おっきな塊をじっくり焼くことで肉汁たっぷりの極上ミートローフに仕上がる。ぜひ大きめで試して欲しい。
【巨大ミートローフ】が焼ける間に余ってた素材を使って【スタッフドバゲット】も作れる限り追加した。
さらにこだまに火を起こしてもらい、用意したバゲットをみんなで軽く炙っていく。
「なんで炙るんだ?」
「そのままでももちろんうまいが、こうして炙ったら外はカリカリ、中はパンと水分でふっくらするし具材もあったかくなってより一層上手くなるんだぞ。」
「本当か!よし、オラもやるぞ!」
「サルタンさん達のにはチーズも入っているんで結構いい感じになると思います。」
「おぉ、それは楽しみだ。」
俺の【スタッフドバゲット】は丁度ハンバーグ入りだったしこだまとシェア。騎士のみんなにもパンを配ったところでメインの【巨大ミートローフ】もいい感じに焼き上がった。
みんなの前のテーブルに鉄板ごと【巨大ミートローフ】をドンとおくと、騎士の方から生唾を飲み込む音が聞こえてくる。コホン。サルタンさんが咳払いすると慌ててピシッとする騎士。まぁしょうがないよね、大きい肉の塊の前では誰もが抗えないもの。
「いい感じに焼けたんで、ここは無礼子でみんなで楽しみましょう。ささ、切り分けていきますよ。」
ミンチ肉だからこそ、しっかり塊肉に見えてもスッとナイフが入る。そして流れ出る大量の肉汁。本当にいい焼け具合だ。みんなが食い入るように見守る中【巨大ミートローフ】を厚めにスライスしていきみんなに配っていくと、さすがのサルタンさんも、待ちきれない様子でソワソワしだす。
「さぁ、いただきましょう!」
言うや否やみんなが一斉にかぶりつくと
「「「うめー!!!!」」」
一斉に声が上がったかとおもうと、もうあとはワイワイ賑やかなランチタイムとなった。
「うまうまうまうまうま」
「おぉ!でっかいハンバーグだ!うんまいぞ!」
「みて、クルのパン、ケーキが溶けて甘いのいっぱいで美味しいの!」
久しぶりのウマイコールに俺も思わずニンマリしてしまう。ケーキ入り温めるのはどうかなと思ってたけど、パンとの一体感がましてクルは気に入ったようだ。
「いやーこのパンも美味しいですな!いろんな食材が入っていて実に楽しい。」
「このお肉と麺のやつ、凄いおいしい。」
「それはナポリタンって言うんですよ。」
「この芋のも美味しいですな!」
「それはポテトサラダですね。パンとの相性意外といいんですよねー。」
あれがウマイ、これがウマイ、こんなのを入れてもいいんじゃないか、初めましての騎士ともいろいろおしゃべりしたりと親睦会のような雰囲気に。やはりおいしいご飯は最高の潤滑油だ。
「いやー、本当においしいお昼ご飯だった。遺跡でこんな食事ができるとは思わなかったから非常に楽しかったぞ。」
「ご満足いただけて何よりです。それで皆さん、このあとどうするんですか?」
「ボツゾーンとやらも調べておきたいのだが、ここまでで一度戻って残りは明日以降にしようかと考えておるぞ。」
「それがいいかもしれないですね。実はボツゾーンにも人の気配があるそうで…。万一の準備もしておいたほうが良いかもです。」
「なぬ!それは本当か?」
「えぇ、マティが感知したそうで。」
「いろいろと持ち出されてないか心配だな…。」
ボツゾーンをどうするべきか考え込むサルタンさん。
ドドドドドッ
突然地響きのような音が響き渡った。
「な、なんだ!?音的に下の方だな…!」
状況確認をするために俺たちは慌てて崖側の入り口へと移動した。そして入り口から見えたのは遥か下の方、いくつかの穴から勢いよく水が吹き出していた。
「あれは、地下水があふれたのかもしれない。しかし、あの穴、もしやあれがボツゾーンか?」
サルタンさんが疑問を口にすると呼んでもないのにマティが答えてくれた。久しぶりの仕事で、喋りたくて仕方がないのだろう。機械のくせに。
「ボツゾーンがチカスイでスイシンしました。」
「やはりか…。まさか全部?」
「6ワリがカンゼンにシンスイ。ノコりはツウロをキりハナし、カイヒしました。」
「おぉ、一部は助かったのか!それはよかった…。」
「おじいさま見てください!」
サルタンさんがマティの説明に胸を撫で下ろしていたらリックが外を指差して声をあげた。
「なんだあれは?」
指差す方向を見ると、浸水した穴からは水と共に盗賊らしき男達と歪なフィギュアが流れ落ちていった。服装から察するに、どうやら地下に潜んでいたのは良からぬ男達だったようだ。そしてボツ作品が保管されているとのことで、一部ボツフィギュアも流れてしまったようだ。
「うむ、どうやら盗賊が潜んでいたようだ。無理に突入しないでよかった。幸い盗賊達も一緒に流されたようだがまだ残っているかもしれない、明日しっかりと準備をして再調査をすることにしよう。」
明日の指針を決めたところで俺たちはイルーヴァントに戻ることとなった。
「あの流された男達、人族に見えなかったか?」
俺はこっそりこだまに聞いてみた。一瞬とは言え人族、それも俺と同じ日本人に見えたのだ。もしあれが日本人だったら、この遺跡のことに詳しい人だったのなら同じ転移者の可能性もあると思ったのだ。もしそうだったら今直ぐに助けにいき、戻る方法を掴んでいるか確認したい。
「人族。でも楽とは違う人族。たぶん、西の国人達?」
「そっか、この国の人族か。でも助けないとあの人たちまずくない?」
「大丈夫、下で泳いでるのが見える。」
「この距離で見えてるの?こだますごいな…。でも泳いでいるなら大丈夫か。」
「でもこんなところに人族って、何してたんだろ?」
「わからない。でも人形運んでた?」
「フィギュアを?まぁマニアは欲しそうだし、狙ってもおかしくはないか…。」
フィギュアの情報をどこで手に入れたのかはわからないが、遺跡荒らしには違いない。
「マティ、明日サルタンさん達が回収するまで、残りのフィギュア盗まれないように隠しておいて。」
「リョウカイした。ボツフィギュアをカクしベヤへシュウノウします。」
「もうオッケー言わなくても要望聞いてくれるんだね…。」
「ヨビダシコードがカクニンできません。もうイチド、ヨビダシコードをおネガいします。」
「もう遅ーい!」
「マスターいけず。」
「いけずって、あと勝手にマスター呼ばわりすんな!」
なんだか拍子抜けする遺跡発見だった。




