ハイテク遺跡改、オタク遺跡
エティ、部下を得る。
「ごヨウボウはなんですか?」
「で、電気をつけて?」
試しにオーダーしてみると、天井がパァっと明るくなる。
「おぉぉ目が…変な緑の光が見えるぞ!」
「め、目が…エティ光の魔法消してくれ!!」
エティの魔法と天井から降り注ぐ光のダブルパンチで一瞬視界が真っ白に。突然の痛みにのたうっている横でエティは目の前に現れた緑の光を瞬きしながら捕まえようとしている。それ、目がチカチカしているだけだからな!
「オッケー、マティ。」
「ごヨウボウはなんですか?」
目の痛みが少し和らぎ、再び声をかける。どうやら扉の上の丸い突起がセンサーになっていて、ここで声を感知しているようだ。
「この施設はなに?」
折角なのでマティに手っ取り早く解説をお願いしよう。
「ここはテンシたんセイゾウジョです。」
「テンシたん…?ここは俺と同じ地球から来た奴が作ったのかな?」
「テンシたんはジンルイのサイコウケッサクです。」
「しかもフィギュアマニアだな…。」
「ここでは何ができるの?」
「このヘヤはキドウシツです。キドウしますか?」
「おぉ!こいつら動くのか!?起動させるぞ!おっけまち!起動させるんだぞ!」
「あ、こらエティ…!」
マティの「起動」の言葉に即反応して割り込んでくるエティ。
「リョウカイしました。キドウします。」
エティの声にマティが反応する。するとフィギュアの下の円形が淡く光りだした。ってか「おっけまち」でコード通るんかい!
円形が光ると続いて中の文様が浮かび上がる。文様は渦を巻くようにフィギュアに巻きついていき、全身が光に包まれきると一瞬光が強くなり、スッと消えていった。するとフィギュア達の羽がわずかに動き出す。伸びをするようにゆっくり一度羽ばたき、次いでスクッと立ち上がる。
「おぉ!動きだしたぞ!」
30体のテンシたんは一斉に台から一歩を踏み出す。そのまま俺の前に集合、整列し、跪く。
「え?え?」
「ご主人様、御命令をなんなりと。」
先頭で跪くテンシたんがリーダーなのか代表して声を上げた。
「ご主人様?」
「はい、ご主人様、御命令をなんなりと。」
「なんで俺がご主人様…?」
「チョウキアクセスなしのバアイ、キドウジにショユウシャイコウするきまり。イコウカンリョウしました。」
「えぇ…俺が所有者認定されたってこと?」
30体ものフィギュアにゾロゾロついてこられたら目立つし邪魔じゃない?なによりこの30体…全て女性の形をしている上に甲冑とは言え生地最低限、エロ度全開スタイル。こんなのをはべらせていたらロクな噂が立てられたもんじゃない。ゲス認定されたらどうするんだ!
「ご主人様、御命令をなんなりと。」
「とりあえず、その服装なんとかならない?もう少し露出の少ない戦闘に向いている服とか…。」
「こちらの服装は前ご主人様より戦闘に最も適していると拝聴しております。戦闘による汚れを洗うのは負担になるとのことで、布が少ない方がよいと。」
「なんだ、そのロジック…。んなわけないだろ!多少の攻撃も服で防げるよう露出を控えるべきた。」
「なるほど。さすがはご主人様。早速戦闘服の再検討に取り掛かります。」
言うや否や、ゾロゾロと奥の部屋へと移動を開始しようとする隊。
「あ、ちょっと待った。そのご主人様って呼び方なんとかならないか?」
「否。ご主人様の呼称は最重要命令となっており、変えることは不可能です。」
「えぇー。ってか、エティ、お前がご主人様やれ!」
「オラヒーローだからご主人様じゃないぞ!」
突然押しつけられたエティが思わず拒否をしてくる。
「でも、ヒーローは時に戦わなきゃならない。俺は戦う必要がない。エティにこそこいつらが必要じゃないか。ヒーローは部下がいるもんだろ?」
「そうなのか?」
「そうだ、そうだ!必要な時に呼び出す部下がいるってかっこいいぞ?」
「そうなのか!オラはヒーローのご主人様なんだぞ!」
「と言うわけで、エティがご主人様。俺は楽さんね。」
「で、ですが…。」
「ほら、エティ。まずは部下たちに戦闘服を揃えるように指示しなきゃ。」
「おぉ!そうだぞ!お前、名前はなんて言うんだ?」
「私はアンジュです。」
「おぉそうかアンジュ、よろしくだぞ!アンジュたちはオラと戦闘服をつくるんだぞ!」
「り、了解しました。」
「それでは、イショウベヤをシヨウモードへキりカえます。」
早く早くと追い立てられながらテンシたんとエティが奥の、元来た方向へと去っていく。どうやら今まで通ってきた部屋のどれかが衣装部屋なのだろう。マティが気を利かせて衣装部屋を使用モードへと切り替えたようだ。お願いしなくても勝手に応対しているけどいいのだろうか?
「アタらしいショユウシャですので、こちらでバックアップいたします。」
「今、心…読みました?」
「おっしゃるイミがわかりかねます。」
「いや、今心の声に返事を…」
「おっしゃるイミがわかりかねます。」
「まぁいいけどさ…。」
「ホカのゾーンもサイカドウしますか?」
「他のゾーン?」
「はい。こちらのテンシたんセイゾウジョのホカにセイカツゾーン、ユウギゾーン、ボツゾーンがございます。また、テンシたんセイゾウジョとセイカツゾーンをツナぐ通路が破損しています。こちらはシュウフクいたしますか?」
「セイカツゾーン、ユウギゾーンはなんとなくわかるがボツゾーン?」
「ボツゾーンはボツとなったテンシたんをシュウノウするゾーンです。」
「折角作ったし、捨てずに保管してたってことか。テンシたんセイゾウジョとセイカツゾーンをツナぐ通路が破損ってのはこの埋まった通路のことかな?一応修復しておくか。」
「リョウカイしました。テンシたんセイゾウジョとセイカツゾーンをツナぐツウロのシュウフクをカイシします。」
そう言うと、埋まった通路の方から音が聞こえだした。自動修復が始まったようだ。実に便利なシステムとなっている。ここを作った人はどこへ行ってしまったのだろうか?
「前ごシュジンサマはベツのセカイへとタビダちました。」
「別の世界?二重に異世界転生してったってことなのかな?まぁ居ないなら勝手に使ってもいいか。」
勝手に侵入し好き勝手してしまっていたが気にしなくても良さそうで安心だ。後からイチャモンつけられてもシラを切る気は満々だがトラブルのタネが少ないに越したことはない。
「ホカのゾーンもサイカドウしますか?」
「あぁそうだった、他のゾーンかぁ。」
「ちなみに、ただいまセイカツゾーン、ボツゾーンにフホウシンニュウシャあり。ハイジョしますか?」
「え、他のゾーンにも人がいるの?んー誰だか知らないし、面倒ごと嫌だから無視で。」
「では、ホカのゾーンのサイカドウはホリュウとします。」
保留って…。本当は再稼働したかったのね。しかし遺跡の噂を聞いてきてみれば日本人の居た痕跡を見つけることになるとは。仮面を見つけたあの遺跡?も日本人の居住地だったし、この世界意外と何年にもわたり何人もの人たちが転生させれれてきたのだろうか。それにしては食文化の発達は中途半端かつ偏りがあるし、嫌われた人族の理由は理解できるが、文化や道具などももっと伝わってきていてもおかしくない。なんとも中途半端な感じが否めない。あと、俺と同じタイミングで転生してきたあの少年、今何をしているのか。気になるような、でもどうでもいいような、そんな考えが頭をよぎっていく。
「埋まった通路の修復は少し時間がかかりそうだし誰もいなくなったこの部屋ではすることもない。暇だしエティたちの様子でも見に行くか…。」
結局エティ達の様子を見に行くことにした。




