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地底都市・ハクシクス王国

ミキサーがあればどんな野菜も美味しいスープに早変わりです。

降り立ったハクシス王国は不思議な縮尺の国だった。クルはまだ子供だからグレープフルーツサイズだが大きくなると30cm前後になるんだと思う。アルが調度その位なので。見かけたキャベツや白菜、大根などは小学生くらいだし、トマトやアボカドなどの木に生える種はほぼ人で頭に木が生えてる。どんなルールなのかさっぱりだ。その為か家の大きさもまちまちで俺たちが入れる普通のサイズもあればこだま、エティでギリのサイズの家もある。

ちなみにクルはきのこに手足が生えたデフォルメ感満載なヴィジュアルだが、成長するとアルのように人形になっていくそうだ。すごい成長。

王に紹介するとガンガン進んでいくアルを追いかける形で中心街に進んでいくとすれ違うベジ族の人たちが面白いものを見つけたような好機の視線を送ってくる。しかしそこに険悪感情が入っていないからか見られても嫌な感じはしない。因みに今俺は、歩みが遅いわ、すぐ転ぶわなクルを拾い上げて頭に乗っけている。頭なら俺たちが人質に取ってるとか悪い印象受けたりしないでしょ?あと、ちょいちょい手を滑らせて落とす実をキャッチするのにも都合がいいし。


「リア見て。みんなちっちゃいくてかわいい。」

「こだま、あなたもちっちゃいよ?」

「あなたこだまっていうの。あなたの方が可愛いわよーうふふ。」

「オラ、エティだぞ!おらも可愛いんだぞ!」

「クルお友達連れてきたの?」

「あれまお客さんなんて初めてねぇ。」


こだま&エティのコミュ力すごいな。いつの間にか会話にベジ族の人たちが混ざっていた。

歩いた先に見えてきたのは巨大な巨大なカボチャだった。空の上からでもでかいなと思っていた国の中心にあるかぼちゃの建物。ネズミーランドにありそうな曲線のみで形成された建物は近くで見ると圧巻のでかさだった。慣れた感じで入っていくアルに続くと中はホールのようになっていて、ちっちゃいかぼちゃの椅子?っぽいのが転々と置かれていた。中ではナスさんとカブさんと長ネギさんがお喋りに花を咲かせていたり、ゴボウ爺さんが居眠りしていたりした。そんな長閑な雰囲気を通り過ぎて奥に行くと2階への階段。上に上がるといくつか部屋があり、その中の執務室のような部屋に入ると顔が皺々で頭から草の生えた男性がいた。


「ティガルさん、こちら外で出会った人たち、楽、こだま、リア、エティだ。ジャクブズ2体を仕留め、1体をみごと生捕にした凄腕だ。生捕分は私たちに提供してくれるとのことでこちらにお連れした。」

「それはありがたいなッ。ジャクブズはなかなか捕まえるのが難しいからなッ。」

「はじめまして楽です。」

「こだま。」

「リアです。」

「オラ、エティ!ヒーローだぞ!」

「クル。」

「…クルお主まで自己紹介せんでも良いぞッ。」


クルのボケに優しくつっこんであげるティガルさん。いい人だな。


「クルのやつがまた外までラスティクの実を探しに行っちゃってたんだ。そこで楽達と出会ってここまで迷い込んできてしまったようだ。」

「クルは本当にラスティクの実が好きだなッ。で、無事見つけれれたのかなッ?」

「見つけた!」


返事しようと手を上げるクルに、何度目かのナイスキャッチ&バックをしていると、微笑ましい顔で眺めているティガルさん。顔が皺々だからか孫を見るおじいちゃんのようだ。


「私はベジ族の代表をしているタイガーナッツ種のティガルだ。タイガーナッツはお好きか?」


ティガルさんはタイガーナッツだったのか。ちょっと前セレブがスーパーフードだって言いながら食べてる記事を読んだことがあるので知っていたが、タイガーナッツは根っこに瘤ができる野菜で、見た目からナッツと呼ばれているが正確にはナッツでなく野菜である。世界最古の野菜と言われていて栄養価が非常に高い食べ物だって書いてあった。ベジ族の代表が世界最古の野菜とは、なんかグッときますね。


「タイガーナッツ食べたことないんですよ。あの、ティガルさんは…」

「もちろん大好物だなッ!」

「楽さんベジ族は自分たちの種と同じ野菜が好物っての多いんですよ。クルはラスティクの方が好きそうだが、私はきのこが一番好きだ。」

「へ、へぇ…。」


どうやらベジ族はなんでも食べる種族のようです。野菜が好きで飲み物も好きな傾向にあるけど、肉や果物などの固形物も食べるそうだ。果物も水分が多く飲み物系として人気が高いらしい。野菜の家はたくさん見かけたが畑は見かけなかったような…と思ってたら自分たちで出せるらしい。出せる?とはてなを浮かべていたらアルが魔法のように手から生えてきてきのこを一つくれた。凄すぎる。絶対飢えない種族じゃん!そのため、野菜の畑はないが酪農や養鶏所などは設けていて街の外れで育てているそうだ。


「ジャクブズ2体の解体に結構時間がかかるなッ。うん、みんなでご飯食べよう!みんなの自慢の野菜をご馳走するぞなッ!」

「ごはんか!オラ、お腹空いてきたぞ!」

「楽、お腹すいた。」


ティガルさんの言葉で空腹を思い出した2人がうるさい。それにしても、この世界に来て初めてじゃないか?歓迎されたの。よし、俺もみんなに何か作ろう。そのためにも…


「ありがとうございます。あの、是非俺も料理作らせていただきたいので野菜分けていただけますか?」

「おぉ、本当か!よしアル、みんなのところへ案内してやってくれ!」


こうしてアルの案内の元、いろんなベジ族の家を廻った。にんじん種のおばさんもネギ種のあんちゃんもにんにく種の大家族もみんないい人で、みんなクルの無事を喜んでいた。たくさんのいい野菜があって汁物が好きが多いなら本格コンソメ作ろう。以前作った粉の簡易版じゃなくて、しっかり煮込んでつくるやつ。どれか一つの野菜に特化したメニューよりいろんな野菜を合わせて作れるメニューの方がこの街にはあってる気がするしね。心温まる街には心温まるコンソメを。後は、自分たちの好きな野菜で作れるポタージュスープも教えてあげようかな。


「こだま、ミキサー作ろう!」

「…家のは?」

「ベジ族のみんな用だよ!うちのは電動だし、こっちで使えるやつをさ!」

「なんで?」

「野菜好きでジュース好きなら1家に1台ミキサーは必要じゃん。絶対喜んで貰えるよ〜♪」

「リア、楽がなんか気持ちわるいぞ?」

「きっと初めて歓迎されて舞い上がってるのよ…。」


可哀想なものをみるような視線に気づくことなくこだまにミキサーの設計アイディアを畳み掛ける楽。こうして異世界初のミキサーが地底深くで誕生した。


「みなさん、美味しい野菜をたくさんありがとうございます!折角ですからみんなでスープ作りませんか!」

「スープ?」

「そう、ごくごく飲める【ベジポタージュスープ】です。」

「にんじんでもいい?」

「もちろん!」

「グリーンピースは?」

「美味しいですよ!」

「ブロッコリーは?」

「いいですね〜!」

「にんにくは?」

「やってみましょう!味が強いものはじゃがいもとか足してもいいかもですね。俺はアルに貰ったきのこで作ってみるので皆さんお好きな野菜で真似してみてください!」


集まったベジ族を前にテンション高く料理教室を開き始める楽。やさしいベジ族の人は概ね付き合ってくれているようだ。喜びに打ち震えながら早速作り始める。


【ベジポタージュスープ 】


材料

・きのこ

・バター

・にんにく

・玉ねぎ

・コンソメ

・塩

・胡椒

・牛乳


まずはバターでみじん切りしたにんにくと玉ねぎを炒めます。火が通ったらきのこなどお好きな野菜をドバッと入れてじっくり炒める。

軽く塩胡椒したら、コンソメを入れて少し煮込む。


「みなさん、野菜にしっかり火が通ったら軽く冷まし、お配りしたミキサーに入れましょう。」

「へぇ、初めてみる道具ね。」

「おぉ、全部が混ざり合って液体になったぞ!」

「そう、ミキサーは中の刃が素材を細かーく切って液体にしてくれるんです。しっかり混ざったら鍋に戻し、牛乳を加えてまた煮詰めます。ドロっとしたら出来上がりです!」


ミキサーさえあれば、レストラン風スープが簡単に作れる。本当発明品ですね。

きのこの代わりに入れる野菜を変えるだけでいろんなスープができる。もちろん、野菜をまぜてもいいですが、にんじんとかぼちゃとか色が似ている方が綺麗でおすすめかな。いろいろ試してお気に入りの味を見つけるのも楽しいだろう。


「うまうまうまうま。楽、おかわり。あとパンが必要。」

「オラもオラも、パン欲しいぞ!」


早速うるさいこだま達には大きめなパンをくり抜いてスープを入れてパンスープにしてあげた。お皿より大きいパンだからお代わりの手間が多少省けることを願って。


「【ベジポタージュスープ 】めちゃくちゃうまいな!そのパンに入れるのもいいアイディアだ。」


アルは俺の背中、よりは腰に近いですが、バンバン叩きながら喜んでくれました。そしてちゃんとパンもゲットし他のベジ族にきのこスープをアピールしに行きました。ベジ族は自分の好きな野菜を自慢し合うのが好きなのだそうだ。

クルはというと、きのこスープも気に入ったようだが、特別に作ってあげたラスティクスムージーをリアと楽しそうに堪能している。氷と蜂蜜と一緒にミキサーで混ぜただけのシンプルスムージーだ。夢中になりすぎてコップに落ちそうになるクルをリアがサポートしている。微笑ましい光景だ。リアも甘いものが好きだから蜂蜜多めでラクティススムージーを楽しんでいる。


「にんじんスープすごく美味しいわよ!」

「あら本当、ブロッコリーもなかなかいけるわよ!」

「にんにく、じゃがいも入れたけど十分パンチがあってうまい!」


見渡せば、お気に入りの野菜で作ったスープの美味しさに誰もが話を弾ませ、すごく和やかな雰囲気。楽しいなぁ。あれ、何故だろう目から水が…。

一人涙を流していたら突然地面が揺れ出した。


「楽、つえぇのが起きたぞ!」

「強いの?……え、まさか…」

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