森で出会ったかわいいの
未知の森に生息するのは魔物ばかりではなかったようです。
おやつ休憩を終え、エティのやる気も回復したので再び出発。しかし魔の森は進めども進めども変化のない終わりのない森だった。こだま達が感じ取ってくれる強い魔力の方向に進んではいるのだが、俺一人だったら即迷子になるであろう変化のなさだ。空も見えないから昼夜もわからなくなるし。
「オラ、飽きたぞ!」
だからエティのこの台詞もしょうがないのかもしれない。あんなに張り切って歩いていたのに駄々を捏ねだすエティ。まぁずーっと根っこの景色で変化ないし、魔物はちょこちょこ襲ってくるのだが、エティ達には弱すぎて張り合いがないらしいからしょうがない。俺にはめちゃくちゃ獰猛そうに見えるのに…。そこでラクティスの中の青い玉を使ってみることに。ゴムみたいだし…地面(木の根だが)に投げつけたらすぐ跳ね返ってくる。まさにスーパーボールだ。
「エティ、この玉キャッチできるか!?」
そう言って前の方に全力投球する。玉はうねうね絡まりあった木の根にぶつかりランダムに跳ね返ってはまた別の木の根にぶつかる。乱反射みたいな玉の動きにエティは目を輝かせて追っかけている。ちょろいもんです。ただガンガン進むエティを追いかけるのは大変だけど。
「楽!楽しいぞ!!」
嬉しそうに戦利品の玉を持ってくるエティ。無い尻尾が見えた気がしました。よほど楽しかったのかボール投げつつサクサク進んでいきます。途中から投げる係をこだまに代わってもらったら、数増やしたりダミー投げたりとどんどんレベルが上がっていきます。こだまもどことなく楽しそう。なによりです。
子供を見守る父親みたいな心境で後ろを歩く俺。リアはというと遊びに夢中になったこだまとエティに代わり一人で魔物の相手してます。ちょっと大変そう…後で甘いものでねぎらっておこう。
そんな感じでガンガン魔の森の中心に向かって進むこと数日、ふと気になるものを見つけた。さっき食べたラスティクの実がまた生っていたのだが、その実の一つに変なのがぶら下がっている。しかもプルプルと震えているようにも見える。気になって側に寄りしゃがんで観察してみる。
因みに珍しいと言っていたラスティクの実、実は森の奥へ進むにつれちらほら見かけるようになる。群生地と言えるほど生っている場所すらもよく見かける。魔素強いところに生息しやすいのかもしれない。魔素の弱い森の外側では滅多には生えないので希少な実と言われているのだろう。
さて、そんなラスティクの実にぶら下がっていたのはきのこ?きのこに手足顔がついた生き物だった。その短い手で木の実を掴み、取りたいのかぶら下がり手で揺らしているようにも見える。
「これ食べれる?」
「きのこは毒あるのがあるから食べちゃダメってウィリデが言ってたぞ!?」
いつの間にかこだまとエティも俺の横にしゃがんで観察していた。スーパーボール遊びは一旦やめたらしい。こいつらの面白いもの察知能力は凄まじいな。
「こんな生き物初めてみた。歩けるきのこ?すごーく不思議。」
「へー物知りなイメージのエルフでも知らないなんてな。危険な生き物かな?」
「わからないけど…すごーく弱そう…。」
「確かに…。あ、落ちた。」
のんびり観察しながらおしゃべりしていたら、きのこが手を滑らせてべちゃっと下に落ちた。
「あ、立ち上がった。」
まだ実を諦めてないのか、立ち上がって実を見上げている。そこで実を取ってやると、取られたと思ったのかあからさまに落胆するきのこ。実を渡してあげると今度は実を受け取って飛び上がって喜び、飛び上がりすぎて再びべちゃっと落ちた。しかしまた立ち上がり、俺たちにお辞儀してから歩き出した。ありがとうってことなのかな?ってか俺たちのこと何とも思ってないの!?捕食者だったらどうすの!?不思議で心配になるきのこだ。面白そうだから俺たちはきのこの後をつけていくことにした。丁度森の奥に向かっているようだし。
きのこは手足が短くてよく転ぶ。体に対して頭の傘が大きすぎるのか、それとも体より大きいサイズの実を持っているからなのかよく転ぶ。俺は頭の傘が大きすぎる案を採用しようと思う。かわいいから。
転んで実を落とした時は拾ってあげ、よじ登れない巨大な根の時は実を摘んで持ち上げて橋渡ししてあげながら後をつけていくと森が突然開けて突然の砂漠地帯が現れた。
「な!なんで急に砂漠!?」
驚きつつも気にせず進んでいくきのこを追いかけていくと、突然砂に引きずりこまれ始める。
「えっ流砂!?」
次々に起こる変化にパニックです。しかもサラサラな砂の流砂、抗おうとすればするほど沈んでしまいます。こだま達を見ると沈むのが面白いのか楽しそうにばたばたしています。きのこも沈もうとしているのかその場でプルプル揺れています。なんてのんきな…とため息をついていたらあっと今に流砂に飲み込まれ…ドサッ、砂と共にかなり下に落下。砂がなかったら大怪我してたかもっていう高さです。でも不思議なことに砂と共に落ちたからなのかストンと脚で着地。べちゃっと着地したのはきのこだけでした。しかもそんな落ち方したからか実がとうとう潰れてしまっています。つぶれた実を前に絶望ポーズのきのこ。かわいそうだからおやつがわりに摘んでおいた実をお裾分け。俺たちの存在に驚き、でも実をもらえて嬉しかったのか、またお辞儀して歩き出すきのこをとりあえず追っていくことに。ずっとついてきていたのに、俺たちの存在に気づいてなかったとは、かわいいやつだぜ。
砂の下の世界はあの某腐海の地下空間みたいにだだっ広い。木の柱みたいなのは見当たらないからどうやって支えられているのか、どういう構造になっているのかは全くわからないが。地面は砂道だが、そこそこ硬くて歩きづらいということはない。木々はあまり生えていないが遠くを見渡すと生えている部分もあるので完全な砂漠ではないようだ。所々に巨大な岩が落ちている。行ったことはないがメキシコっぽい大地。ここにも魔物とかいるのかなぁ?なんて不謹慎なことを考えたからでしょうか、ガガガガガガッていう音と共に上から巨大なムカデ?蛇螻蛄みたいなのが3匹!!空飛ぶムカデってめちゃくちゃ怖くない!?




