強いやつ探しといえば魔の森は定石
ワノナとの2度めの接触。このまま一気に乗り込む…とはいかないようです。
一方その頃、楽達はというと、人族からのお土産であるきなこを届けるためタルウィドゥナへ戻り、雨季が終わるのを待っていた。
「流石にバイクで4人乗りをずっとは続けられないからな…。」
ソッジャとの往復ではバイクを利用していたが、馬力的にも背中の密着具合的にも別の移動手段を考えた方がよい。日常的に4・5人で原付に乗る中国の映像を見て、事故らないのかな?事故ったら大惨事だろうな?って思ってたけど人数が増えればそれだけ馬力が落ちて事故っても大丈夫な速度しか出てなかったのかも。
「雨季が終わったら徒歩でも移動できるようになるし、ここいらで人族の国を目指すべきか、それとも一旦マチュール王国に戻って馬車を調達するべきかねぇ?」
「人族の国の大都へ行くには大渓谷を越えていかなければならない。しかも大都をぐるっと囲む巨大なお堀もあるから徒歩では厳しいですよ。」
「え、リッヒさん人族の国行った事あるんですか?」
「私自身は行った事がないですが、間者は送り込んでいますから。」
「間者ですか。危なくないんですか?」
今後の行き先を悩んでいたら村長さんが教えてくれた。因みに村長さんの名前はリッヒさんと言うらしい。いろんな事が片付いた後思い出したように教えてくれた。村長さんという呼び方は年寄りみたいでいやだからリッヒと呼んで欲しいそうだ。
「今まで間者が見つかったことはないので大丈夫ですよ。身の安全を最優先にしてもらっていますし。」
「そうですか。でも渓谷にお堀、馬車でも厳しそうですね。」
「人族は魔法以外に、空を飛ぶ船を作っているようです。魔石も魔力もを大量に消費するようですし、魔法で飛んだ方が早そうですが、物資の運搬には有効だとか。まだ他の国に到達できるほどの飛行時間はなさそうですが、いつか可能に成ったら私たちも対策を考えなければと思っていたところです。」
「空飛ぶ船ですか…。」
いよいよ移動手段を真剣に考えなければいけなくなってきた。お堀は最悪エティにお願いすれば歩いて渡れるだろうけど、渓谷はきついな。俺はまだ馬車の操作もできないし、第一馬車はおうちYEAHに入らない。野宿前提だと管理が大変だ。空飛ぶ船とまではいけないが俺も空を移動できる手段を手に入れなければだ。
「流石に俺は作れないし、移動できる道具を相談して作ってくれるようなところないかなぁ。」
「道具作りならやっぱりドワーフ族じゃない?」
頭を抱えていたらリアが案を出してくれた。
「おぉ!ドワーフ族はやっぱりそういうのに長けてるの!?」
「ドワーフ族は魔道具作りも上手。でも楽魔力ないよ?」
「おぉ…また魔力問題…。魔力が少ないやつは一体どうしたらいいんだ…。」
「楽魔力少ないんじゃない。ない。ない人は魔石使う。」
「ないない言わないでー…。ってか魔石!?電池みたいなもんか!?」
こだまに言葉を正され、心にダメージをうける。しかし、有益な情報の方に話をシフトして持ちこたえる。
「でも、馬車を動かすくらいの魔力だと強い魔石じゃないとだよ?」
「強い魔石?」
「そう。」
「強い魔物の魔石が強い魔石。」
「うへぇ…なんか面倒くさそう…。エティお前の魔石よこせ。」
エティにポカポカ殴られながら作戦を練る。魔石ゲットが先か、ドワーフ族の国に向かうのが先か…。
あいたたた、エティの攻撃無視してたら本気で叩きやがった。
「魔石取りに行くぞ!近くにつえーの感じる!オラがいればすぐ捕まえられるからな!」
「じゃードワーフ族の国にするか!あいたたたっ…分かったって。魔石取りにいくぞ、おー。」
手加減がなくなったポカポカに耐えられなくなってきた。エティとの漫才の潮時かな。満足したので次の目標は魔石探しに決まった。
そして現在、エティの感じるという“つえーやつ”探して絶賛森を北上中です。
自分の意見が採用されてウキウキのエティが前方で魔物と戦っているのを眺めながら進んでいます。
エティがいると便利ですね。
「飽きた。」
持続力はあまりないけど。
それはそうと、みんなと森を歩いていて気づいたが魔物、俺以外の3人ばかりに寄ってくる。もしかして魔力を嗅ぎつけて寄ってきているのかな?確かに、最初はあまり魔物に遭わなかったのにこだまと出会ってから猛烈に遭遇するようになった気がする。ただ、3人ともめちゃくちゃ強いのか直前で諦めて引き返すのも多い。たとえ逃げようと食料になるやつはだいたい捕まえられちゃってるけど。
最初俺が召喚された森は色が結構メルヘンだったが、今歩いているあたりはすごい密度で木が生い茂っている。おかげで根っこも絡まるように生えていて、久しく地面を歩いていない。大地の養分足りているのか気になるところです。空も木で覆われていて殆ど見えないのだが、木には光る苔がみっちり生えててとっても明るい。これはこれで圧巻の景色だ。気がついたらでっかい婆さんがいる旅館に迷い込んでしまいそう…。
「しかし、今自分たちがどこにいるのかさっぱりだな。」
「今は魔の森の中央に向かっているルートを辿っている。」
「リア分かるの?」
「魔の森は中央に行けば行くほど魔素が濃いから。」
「魔素ねー。俺何も感じないよ?」
「楽は魔力ないから。」
ほほう。魔力がないと魔素も感じられないようですね。うん、考えてもしょうがないことは考えるのやめよう。
「楽、オラ飽きたんだぞ!」
おぉっと忘れてた。ゼロ仲間のエティが猛アピールしくる。何がゼロって?持続力ゼロですよエティは。
「楽、あれ食べれる。」
そこにこだまも加わる。いつもの光景ですね。こだまの指差す方向を見ると、木の幹に何やら丸いものがついている。きのこ?近づいてみると、きのこではなく、生える位置そこで合ってるのって場所だが、木の幹に丸い実がなっていた。色は赤、青、オレンジ、紫、色とりどりで大きさはグレープフルーツ位のサイズ。1つもいで香りを確認してみるとほのかに甘い匂いがする。
「それは、ラスティクの実。」
「ラスティク?」
「滅多に出会えない珍しい実。ほんのり甘くて美味しい。色によってちょっとずつ味が変化するって。」
リア曰く、ラスティクの実は森の奥で稀に見つかる実らしい。一つの木になるのにいろんな色があり、色によって酸っぱかったり、甘かったり、塩味があったり味が違うらしい。珍しいという話だが、ここは群生地なのかめちゃくちゃ生っている。
ラスティクの実はナイフで切ってみると周りの色に反して中には真っ白の果肉に黒っぽい種が散りばめられている。見た目も似ているが、食べてみれば味もドラゴンフルーツみたいな感じ。ドラゴンフルーツ結構好きだから、このほんのり甘い感じが良い。
俺が味見をしていると、オラも!オラも!とエティとこだまが揺さぶってくる。いくつか取って皮を剥いてやり渡すとムシャムシャかぶりつく。
しかし、ドラゴンフルーツも変な生え方するけど、このラスティクってのも奇妙な生え方だな。たまーに出会う異世界感満載な食材、食べてみると地球の食べ物と似ていたりするから不思議だ。まるで進化したみたい。そんなことを考えていたらこだまが青いものを差し出してくる。
「楽、中の食べれない。」
どうやら実の中心から拳大位の青い塊が出てきたらしい。種?黒い粒々が種な気がするのだが、なんだろう?手触りや弾力はまるでゴムみたいだ。こだまとエティは食べては青い玉を俺の前に積んでいく。あっという間にかなりの数の青い玉が手に入った。面白そうだしとっておくか。
「折角果物たくさん見つけたことだし、おやつにでもするか。」
「おやつ!おやつ!」
もぎたての果物はそのまま食べるのが一番だとは思うが、採り切れないほど生っているので保存食にもなる面白お菓子作りに挑戦しようかな。ドライフルーツみたいな【フルーツレザー】作りに。
【フルーツレザー】
材料
・お好きな果物
・はちみつ
・レモン汁
ミキサーに果物、はちみつ、レモン汁を入れてしっかり混ぜてピューレ状に。クッキングペーパーに薄ーく伸ばしてオーブンで焼く。焼けてしっかり乾けばシート状の【フルーツレザー】の完成だ。
海外の子供達や意識高い系の人たちはこのオーガニックな【フルーツレザー】を細長くきってくるくるまいたり、赤いベリーやマンゴーなどの黄色、青リンゴやぶどうの青などカラフルなのを作ってカラフルさを楽しんだりしているようだ。ドライフルーツと一緒で保存の効く甘味としては優秀だと思う。ケーキなどのデコレーションに加工したりとSNS映え的にも注目株だ。
今回はクレープの生地の代わりとして中にカスタードを薄く塗って食べてみた。
「楽、アイスクリームを巻いて食べる、美味しい。」
「おぉ、こだまナイスアイディアだな。」
「面白いおかしだぞ!楽、オラ生クリームも入れて欲しいぞ!」
「しょうがないなー。ほれ。」
子供に紙みたいなお菓子を与えたら、アイディア満載のいろんな食べ方が生まれるよね。今度ケーキとか作る時にも活用しようかな?しかし、面白いけど、やっぱオーガニックおやつって少し物足りなく感じるのは俺だけだろうか?ドラゴンフルーツの素朴な甘さは俺好みで良いのだがグミっぽい食感はそんなに好きではない。
「折角だから、【フルーツレザー】の活用法もいろいろ試してみるか。」
今後のアイディアのきっかけにもなるからね。まずは【フルーツレザー揚げ】。砂糖をまぶして油でカラッと揚げるのだ。オーガニック思考の意識高い系さんがみたら怒られるね。
しかしこれがなかなかイケた。甘いフルーツ煎餅って感じ。パリパリ食感がたまらない。
「うまうまうまうま。」
「楽、オラこっちの方が好きだ!」
子供達にも好評でした。油は旨味だからね。いい味出してる。個人的には酸味強めのベリーとリンゴがお勧めだな。あとは【フルーツレザーピザ】なんてどうだろう?ピザ生地の代わりに【フルーツレザー】を敷き、チーズをまぶし、チョコとフルーツを散りばめる。そうしたらオーブンにインだ!
「果物って火を通すとすごく甘くなる。」
「チーズのしょっぱさと甘さが不思議。」
「下の紙とチーズの部分パリパリしててうまいぞ!」
うまいのか?は賛否両論感は否めないが甘じょっぱ系好きな人は好きかもなピザだった。まぁ、俺は甘いのそんなでフルーツピザも一度しか頼んだことない男だからもういいかな。何故作ったって?他に思いつかなかったからだ!煎餅うまかったから良しとしよう。




