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飯テロ⑤世界一美味しい料理?

ココナッツ料理って苦手な人結構多いと思ってたけど、世界一美味しい料理ランキングがココナッツ料理なんて驚きですね。

突然だが【ルンダン】という料理をご存知だろうか。2020年の世界一美味しい料理で1位を獲得したインドネシア料理だ。前年はタイのマッサマンカレーが1位だったらしいし、今アジア料理が熱い。地球では、だけど。ココナッツ料理は苦手という人もいるようだが、何を隠そう俺はココナッツ料理大好きだ。グリーンカレーは日本人の国民食であるカレーより美味いと思う。話がそれたが、そう、俺が作ろうと思っているのは、世界一美味しい【ルンダン】だ!そして【ルンダン】のお供は長芋で作る、アフリカの主食【フフ】だ。本来キャッサバやタロイモ、ヤムイモなどで作る餅なのだが、粘り気のある長芋でも作れる。主食である米を失ったから、代わりとなる主食にこのメニューを選んだのだ。


「まずは米の代わりとなる【フフ】」


【フフ】


材料

・長芋

・塩


長芋をよーく洗って、ざっくり切り分けます。水で長芋が柔らかくなるまで30分位煮たら水を切って粗熱をとる。塩を加えてとにかく潰す。アフリカでは餅つきのように臼と杵でつくそうだ。いい感じにべとつきが出てきたら濡らした木へらでひたすら捏ねる。頑張り続けるとそのうちお餅のように強い粘り気がでてくる。ここまでこれたら、おめでとう完成だ。柔らかすぎてもっと餅感欲しいって人は、米粉を混ぜてもいいと思う。

【フフ】が完成したら、合わせて食べる【ルンダン】だ。アフリカでは【フフ】はスープにつけて食べることが多いのだが、シンプルで何にでも合うから【ルンダン】にだって合うのだ。アフリカとインドネシアのコラボレーション、餅と食べる【ルンダン】は、食感が楽しくてよいだろう。


【ルンダン】


材料

・牛肉

・ココナッツミルク

・水

・玉ねぎ

・オリーブオイル

・塩

・すり下ろしにんにく

・すり下ろし生姜

・レモングラス

・ナツメグ

・ターメリック

・コリアンダー

・チリペッパー

・クミン


オリーブオイルで、みじん切りした玉ねぎ、すり下ろしたにんにく、すり下ろした生姜を炒める。

色が変わってきたらナツメグ、ターメリック、コリアンダー、チリペッパー、クミンを入れてしっかり混ぜ合わせる。ここまでの工程はカレーと一緒だ。次に水、ココナッツミルク、一口大に切った牛肉、塩、レモングラスを入れて煮る。後はひたすら水分が飛ぶまで煮詰める。ちなみにココナッツミルクは白い果実の部分を細かく刻み、水で煮詰めて作っておいたもの。ココナッツウォーターは食事の時のジュースとして飲めるし、捨てるとこない優秀な実だ。

煮詰める時にお好みでカシューナッツなどを砕いて入れると食感がよいアクセントになる。今回は入れないけど。水分がほぼなくなれば完成。見た目は黒っぽい、一晩寝かせた家カレーみたい。でも香りはエスニックで食欲をそそる。


ちぎってまるーく盛り付けた【フフ】に【ルンダン】を添えて村長に差し出した。


「ふむ。ココナッツの良い香りがする。」


優雅に香りを確かめた後、一口口に入れるとすぐさま目を見開く村長。


「なんと複雑な味。しかし、すごくまとまっていて美味い!牛肉がこんなに柔らかいのも驚きだ!」

「本当、いろんな味が感じられて美味しいわ。」

「だなだな!おれ、ココナッツはジュースより料理にした方が好きだな!」


タルウィドゥナの人たちはココナッツにも馴染みがあるのか皆気に入ってくれたようだ。ってかまたいるよ、精霊ズ。本当あなた達、カジュアルに現れますね。


「世界一美味しい料理、食べない理由がないわ。」

「そうだ!そうだ!あと、マッサマンカレーも食べてみたいぞ!」


あなた達俺の心の声聞いてましたね。ってかいつからいたの?怖いですよ?

しかし、信仰対象の精霊ズが登場したということは、きっと交渉もうまくいくのだろう…。チートしてるみたいで複雑な気分だ。


「実に美味い食事だった。それで、この料理の材料を人族に届けたいのだな?」

「はい。そしてできればタルウィドゥナの皆さんには、【ルンダン】を作るベースとなる【ルンダン】の素を作っていただきたいのです。」

「【ルンダン】の素?」

「はい。今回は最後に塩とレモングラスを入れましたが、それも全て入れた状態、牛肉を入れて煮込むだけの状態のスープ。これがあれば後は牛肉を入れて煮込むだけで【ルンダン】になります。この状態で人族の村に届けてあげればレシピがバレる心配がない。【ルンダン】をもっと食べたいと思ってもらえれば、攻撃を仕掛けようなんて思わないでしょ?」

「た、確かに…。それは私たちにレシピを教えて貰えるということですか?」

「えぇ、作っていただきたいのでもちろんお教えしますよ。」

「そうなれば、私たちもいつでも【ルンダン】が食べれるようになる。…うむ、メリットの方が大きいのか。そのお話是非お受けします。」

「【ルンダン】の素に入れるのは牛だけでなく鶏でも羊でも美味しいと思います。是非いろいろ試してみてください。あと【フフ】ですが、作り置いておくと美味しくなくなってしまうので、長芋は素材として持っていきたいなと思います。【ルンダン】は本来はご飯に合わせて食べるものなので、騎士団が帰ってまた収穫できたら人族と交換するといいですよ。ご飯と合わせてもとっても美味しいので。」

「なるほど。人族と取引をするということか。いきなりは難しいが、ゆくゆくは検討してもいいかもしれないな。」


こうしてタルウィドゥナの人たちと一緒に【ルンダン】の素作りが開始された。

風魔法が得意な者達はココナッツ採取に、土魔法が得意な者達はエティに先導され長芋掘りへ。俺は折角だからココナッツの殻を使って【ルンダン】弁当を作ることに。ここに試食に来れなかった人たちに持っていってもらおう。ココナッツを割った形は丁度丼サイズ、お弁当に持ってこいだ。南のどっかの国では調度品として売っているしな。【フフ】を端に入れてその横に【ルンダン】を入れるだけ。割ったもう半分で蓋をすれば完成だ。なんか、猫型ロボットアニメに出てきたお弁当のなる木に生えてくる実みたい。上下間違えると中がぐちゃぐちゃになっちゃうので、きちんと上下の印も書き加える。お弁当を配るのはこだまとリアにお願いした。

そして残った俺は、レシピを覚えるために集まった人たちと料理教室。

今日で少しだけ信頼を獲得したのか、タルウィドゥナに入ることも許された。

少しずつではあるが、関係が向上していってる気がしてちょっと嬉しいな。


余談だが、ココナッツミルクを使って作る【ココナッツオイル】を披露したら劇的に喜ばれた。

ココナッツミルクを焦がさないよう延々煮詰めていくと透明な油と、余分な沈殿物に分かれる。沈殿物をなくすため厚手の布、もしくはキッチンペーパーで濾すだけなのだが、【ココナッツオイル】は調理油としても体にいいし、直接肌に塗れば保湿、紫外線対策に、髪に塗ってパックすれば綺麗になるよと豆知識を教えてあげたら女性陣が殺到した。どの世界でも女性は美容が大好きですね。一瞬モテ期が来たかと思いましたよ。何度も言うがココナッツは捨てるところが無いと言われる植物。是非いろいろ活用してみてもらいたい。

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