表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/106

再出発

のんびり前へ進むようです。

投稿ものんびり…てへっ。

ノマディ族と分かれて北へ向かって山間部へと突入した。出発に先立って、自分達だけになり誰にも見られていないことから隠す必要もなくなったので、ホバーボードハウスを更にバージョンアップさせてみた。室内は本格的に寛げるリビングに変貌を遂げ、前方、左右の透明な壁はパノラマの画面の様に。外からは壁で見えないのだが内側からは見える特殊な壁になっている。中央には大きくてフカフカのソファー。寝っ転がることもできるサイズだ。ドリンクホルダーやサイドテーブルも設置。先頭のクルの操縦席(亀置き場)も健在だ。さながらリビング操縦室。後ろのキッチンは簡易版にして縮小した。そのかわり、どこでもYEAHの扉を設置し眠くなったり料理やものづくりをしたくなったらそちらで行うことに。屋根には煙突を控えめに作り変え、その代わりに見張り台を設置した。エティ用に望遠鏡や大砲など冒険心煽りグッズも設置済みだ。側から見たら風船はないけど、空飛ぶ家状態だ。いつか誰かに噂されて都市伝説化したらいいな。

さて、突入した山間部だが、成人男性の肩位はあるだろう草が生い茂っていて、普通に歩くのは困難だった。どんな生物が生息しているかも分からないので、飛行高度も高くすることにした。高すぎると上空の風が激しく、そしてランダムに吹き乱れているので草の2〜3メートル上を飛んでいる。犬科や猫科などの魔物はジャンプすれば簡単に届くだろうが、うちには優秀なファイターがたくさんいるので大丈夫だ。それにホバーボードハウスの強度もガッツリ上げているのでちょっとやそっとじゃ傷はつかない。


「釣れたぞ!」

「クルも!クルも!空色だ!」


移動中、エティとクルは新しい遊びを編み出していた。高度を上げた家の床板を一部外し釣りを始めたのだ。まるで氷上のワカサギ釣りだ。しかしここは山間部。当然下にワカサギは泳いでいない。…はずなのだが、草木を縫って回遊する植物がいたのだ。決して引っこ抜いて集めて、わらわらついてくるあいつではない。本当にただの雑草だ。なぜか器用に根っこをプロペラの様に回転させ、それを動力源に動いている。ただ、根っこが細いので風を捉える力が弱いため移動スピードはさほど速くない。色の種類が豊富で緑や黄色など植物にありがちな色はもちろん、鮮やかな青や黄色、レアなところでは金や銀もある。肝心な餌はというと、


「こだま!今度はでっかい光るやつだ!」

「分かった。」

「クルはちっちゃいのいっぱい!」

「分かった。」


こだまが拾ってきた石を、どういう原理だかさっぱり分からないが光らせて、それを紐にくくりつけて垂らしている。回遊する植物達は光る石を見つけると掴もうと葉っぱを絡めてくるので釣り上げられるという寸法だ。もしかしたらこの植物達は普段、泳いで光が入る隙間を探しているのではないだろうか?生い茂った草の中で、5センチから10センチ程しかない回遊植物には当然太陽が当たらない。つまり、光合成ができない。そこで自ら餌を欲して動き回るようになったのかもしれない。あくまで俺の推測だが。

そしてこの回遊植物、特出すべき点がもうひとつある。色によって効果が違い、まだ全ての色を解明できてはいないのだが、なんと非常に有益な使い方があったのだ。例えばクルが捕まえた空色の回遊植物。乾燥させ、粉末状にして服用すると少しの間だが空気がなくても呼吸ができるのだ。こだまがこの効果のことを知っていて教えてくれた。もちろんエティで実験済みだ。方法はあえて、伏せておくが。コンプライアンス、コンプライアンス…。

赤い回遊生物は粉末にして燃やすと真っ赤に燃える。けれどもなぜかそこまで熱くならないのだ。燃やしてるんですけどね。鮮やかに派手に見えるだけ。また、乾燥させずにその汁を絞ると、辛い液体になる。少し油分を含んでいて、ポルトガルの調味料、ピリピリのような感じだ。あまり馴染み無いかもしれないが、ピリピリはポルトガルでは大メジャーな調味料で、酸味のないタバスコ、香りや味がないラー油、といった感じで味を損なうことなくただただ辛くすることができる。昔ポルトガルを旅行した際にはまり、実は我が家では常備していた。輸入食材店で見つけることができなかったので、定期的に直接輸入していたほどはまっていた。


「水分量が少ないからほんのちょっとしか絞れないけど、まさかここでピリピリに出会えるとは!エティ、クル、頑張って赤をいっぱい捕まえるんだ!」

「任せろなんだぞ!」

「クルは紫がいいよ?」


紫の回遊植物は赤と同じく粉末にすれば紫の炎に。絞ると、なんとコーラの様な味がする。紫は油分が少ないのか、完全にコーラの原液みたいだ。白い回遊植物を粉末にして液体に混ぜると即席の炭酸水になるので、紫と白の合わせ技でコーラが再現できてしまった。


「ここは宝の宝庫じゃ無いか!!!」


俺が喜びに打ち震えているのをよそに、エティとクルは単純に釣りを楽しんでいる。


「あ!また変なの来たぞ!こらーそれはエティの獲物なんだぞ!」


釣りをしているとたまに魔物が釣り上げた回遊植物を狙って食いついてくる。その度にリアと2匹のジャイアントシベットの子供、レアとブルーが魔物を捌いていく。2匹は少し見ない間に大きくなっていて、最初は子猫みたいで可愛かったが今はパトラッシュサイズだ。パトラッシュサイズ…、もうすでに怖い大きさへと成長を遂げていた。といってもまだまだ赤ちゃんサイズらしいが…。サイズはMAXサイズが現在の大きさだが、小さくするぶんには変幻自在のようで、フードの中に隠れている時は小さいらしい。リアと2匹はちょいちょい現れる魔物をいい運動だとばかりに嬉々として撃退してくれている。エビでタイ運動だ。


「あ、ちょっと寒くなってきたな。エティ、クル、ちょっと休憩だ。リア達も休憩にするか?」

「分かった。レアとブルーは…遊んでくるみたい。」


草むらへと入っていく2匹を見送りながらリアが戻ってくる。エティとクルも、一旦釣りを休憩し、床板を塞ぐ。すると同時に辺りが急激に寒くなったのか、窓が曇り始め、雪と風が強くなり、一気に猛吹雪の様相に。進みながら分かったことだが、この地もコロコロ気候が変わる。植物の種類はそこまで変わらないので、気候にオールマイティな種なのかもしれないが、天気に関しては灼熱だったりもう吹雪だったり、湿地帯だったりコロコロ変わるのでこちらは忙しい。更に魔物の多さもなかかなかのものだ。草むらの中にはぎっしり魔物が詰まっていると言っても過言ではなく、レアとブルーが入った瞬間から戦闘が行われているのか激しく揺れだし、敗退した魔物達が次々と投げ飛ばされている。運動会の玉入れさながらの飛び出し方に上空で距離をとっているとはいえ冷や汗が止まらない。誰も入らなければ一見何もいない草むらに見えるのが不思議だ。恐ろしく巧みに気配を消し、じっとしているのだろうがあの量から考えるとギチギチに潜んでいるはずで、想像するとちょっと滑稽だ。かくれんぼのプロ集団だな。


「楽、楽、つまんないんだぞ!何か面白いことないのか!?」

「流石に室内だからなぁ…。トランプでもするか?」

「嫌なんだぞ!もっと楽しいのがいいんだぞ!お絵描きも、絵本も、お菓子作りも、おもちゃも嫌なんだぞ!」

「チッ、先回りして全部潰しやがって…。」

「ねぇ、捕まえた植物で何か作ったら?」


釣りを辞めさせた途端、暇を持て余し駄々を捏ね始めるエティ。きっとこれが子供を持つ父親の苦労なんだろうな。悩んでいるとリアが助け舟でアイディアをくれた。


「この植物か…。そうだな…。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ