回遊植物で遊ぼう
のんびりどころか脱線して遊んでますね。真剣味に欠けるところが自分のよう…焦
「単純に考えれば、やっぱ花火だよなぁ。」
色鮮やかな火がでる火薬になり、しかも熱くならない。これなら素人でも花火が作れるのではと思う。ノウハウ全く知らないけど、実験しやすいから。しかもエティ辺りは好きそうだ。
「でも狭い部屋でやるようなもんじゃないよなぁ…。」
「それなら大丈夫。爆発が机から広がらないようにできる。」
俺が頭を捻っているとこだまが返事をしてくれた。安定の俺の心の声だだ漏れで、話が早い。
「そんな事できるのか。さすがこだまだ。」
「でもただの花火なんて芸がないし…、そうだ!こだま、エティ、クル、食べる花火を作ろう!」
「はなびってなんだ!うまいのか!?」
「クルおいしいの好き!」
「花火ってのはな、火薬…火をつけると燃える粉を紙で包んで棒とか丸い形にしたものかな?そんで、その包んだ紙を燃やすと…」
「バーンってなる!」
「そうだ、クル。大きいのはバーンて爆発する。細い棒にしたやつは、端っこからゆっくり燃やせば火が吹き出すように燃える。そんで、この植物の粉みたいにいろんな色の炎がでたら…」
「とっても綺麗!」
「さすがだ、クル!そう、カラフルな爆発はとっても綺麗なんだぞ。」
「おぉ!なんだか楽しそうだぞ!早く作るんだぞ!!」
非常に賢い皆んなは俺のざっくりとした説明と身振りだけでもすぐに理解してくれて花火の楽しさが伝わったようだ。火薬、この世界にあるのかなってくらいすんなり理解してたな。まぁ魔法も花火見たいなものだから、想像しやすかったのかもだけど。
「火薬見たことない。でも火薬みたいな石はある。穴を開けたり、武器として使うやつ。」
「なるほど、ダイナマイトに準ずるものはこの世に存在していたのか、残念。」
こだまの説明を聞いて見ると、その石はまさに火薬みたいで、魔法で熱するとある一定温度まで上がると爆発するようだ。岩や古くなった建築物に仕込んで破壊する時などに使うらしい。魔法でも壊せないことはないが、こういった素材を使うことで少ない魔力で効率よく壊せるらしい。ダイナマイトは異世界転生特需の一つだと思っていたが、まぁ似た様な手段を見つけ出していてもおかしくは無いか。
「所詮ネットで検索したところで、ダイナマイトなんて俺にうまく作れるとは思えないしな…。あぁ!ちょっとまてエティ!」
「もう遅いんだぞ!」
バーーーン!
俺が食べる花火って言ったからか、エティはパンにカラフルな回遊植物の粉を詰めこみ、火に放り込んだ。結果、パンはレインボーの光を放ちながら爆発し、俺達を含め、あたり一面パンまみれに。
「いろんな味するよ?」
飛んできたパンの破片を口に入れケラケラ笑うクル。
「…確かに。パンに付着した色の部分、色によって味が変わってるな。」
「パンは爆発なんだぞ!」
「何がパンは爆発だ、だ!おい、エティ太郎、責任持ってここ掃除な!もちろん魔法禁止!」
「こだ…」
ワシッ。
「リ…」
「誰かに手伝ってもらうのも禁止だ!」
こだま、リアに助けを求めようとするエティの頭を逃げない様にがっちりホールドし雑巾とバケツを押し付ける。簡単に掃除されたんじゃ反省にならないからな。
「綺麗に掃除できるまで、食べる花火作りはおあずけ!さ、こだま、クル、俺達はさっさと作りはじめよう。」
「いいの?」
エティに申し訳なさそうな顔のクル。
「クル、いいんだよ。エティはお掃除終わったら参加できるんだから、きっと一生懸命掃除してすぐに戻ってくるさ。」
「むぅ…。急いで掃除するんだぞ…。」
しぶしぶ掃除を始めたエティ。なんだかんだ言って素直なやつだ。しかし、パンを口に放り投げて気に入ったのか嬉々として拾い始めるエティ…。まぁ…ほおっておこう…。
「それで、食べる花火って?」
レインボーな爆発を目の当たりにしてリアも興味がでてきたようだ。
「見ての通り、色が豊富で色鮮やかな火がでるこの回遊植物の粉…回遊粉とでもとりあえず呼んでおこうか。回遊粉は燃えても炎なのに熱くないし何も燃やせないことがエティのおかげでわかっただろ?」
そう、色鮮やかで熱くならないだけでなく、火種が落ちても机も椅子も、紙ですら燃え移らなかったのだ。今も飛び散ったパンクズの中には炎が残っているものもあるが、炎が落ちているだけのように見える。試しに掌に回遊粉を乗せてチャッカマンで火をつけて見ると、掌に鮮やかな炎が灯る。
「ほら熱くない。まるで魔法みたいだ。しかも味があるんだからこれで食べ物を作れば、火を食べれるってわけだ。」
「すごい!クル、つくる!」
「食べれる火、聞いたことない。」
「私も聞いたことないわ。多分誰も見たことないと思う。」
「そうだろ、こだま、リア。よし、まずは…クッキーかな?」
【びっくりボーロ】
材料
・回遊粉
・片栗粉
・卵黄
・砂糖
・スキムミルク
「それじゃまず、みんな好きな色の回遊粉と片栗粉を混ぜてふるいにかけよう。クルは何色にするんだ?俺が混ぜてやるぞ?」
小さいクルにはふるいは難しいかなと思ったが、リアに片栗粉と選んだピンクの回遊粉を入れてもらい魔法で器用にふるっていた。しかも俺がやるよりも上手に。こだまは…
「そんな色あったっけ?」
「エメラルドグリーン。青と緑混ぜた。」
「いきなりアレンジするとは…さすがこだまだ。それでリアは?」
「私は緑。森の色だから。」
「なるほど、リアらしいね。」
「オラは黒だぞ!全部混ぜたら黒くなったんだぞ!」
「エティ掃除は?」
「急いで終わらせたぞ!見て見て!」
確認するとよほど急いだのか椅子とかなぎ倒されてはいたがパンは一ヶ所に集められていた。どうやらお菓子作りに参加したくて本当に頑張ったようだ。
「お前すげーな。やればできるじゃないか!」
「エティはヒーローだからな!」
訳すと、ヒーローはなんでもできるからと言う事のようだ。
「そして、全部混ぜるところもエティらしいな。ま、どうなるか分からないけどやってみるか。俺は黄色の回遊粉にしてみようかな。それじゃ、次に黄身と砂糖を混ぜて、しっかり混ざったところで回遊粉入りの片栗粉とスキムミルクを混ぜる。」
「スキムミルクって?」
「スキムミルクは牛乳の脂肪分と水分を抜いて粉にしたものだ。作り方は分かんないからこだまに分離してもらった。毎回ありがとな、こだま。」
「うん。」
「あとは手でこねて、小さいボールを作ってオーブンで焼くだけだ。」
「焼いて大丈夫?」
「そこは火が出るほど焼くわけじゃないから大丈夫だとは思うけど、低めの温度で長めに焼いてみようかなと思う。初めてだから実験しながらだな。」
そんな会話をしながら皆んなでせっせとボールを作っていく。そう、回遊粉入りの卵ボーロだ。本来は190度のオーブンで10分位焼くのだが、取り敢えず150度位で様子を見ながら長めに焼いてみる。どうやら回遊粉によって耐えられる温度が違うのか、しばらく経つと燃え出すものがちらほら。燃え移ることはないので、時間が経つにつれ転々と炎が上がるのだがオーブンが大丈夫か冷や冷やしながらの作業となった。結果色が濃いと燃え始めるのが早く、薄い色は比較的高い温度でも耐えらるみたいだ。俺の黄色やクルのピンクは比較的すぐにできたのだが、エティの黒が一番苦労した。
「よし、なんとかできたみたいだな。早速味見してみるか!」
「普通に食べていいの?」
「いや、火をつけから食べるんだ。」
「火をつけるの?」
クルがはてなを浮かべながら俺と【びっくりボーロ】を交互に見る。そこで俺は黄色い【びっくりボーロ】をつまみ上げ、こだまに火をつけてもらう。指で黄色い炎を摘んでいるというシュールな状態に。指で摘んでいるから熱くないとわかっているはずなのに、口に入れるのは勇気がいるな。一瞬躊躇してしまったが、期待の眼差しで見つめてくるクルに思い切って口に放り込む。すると…
「おぉ!口と鼻と耳から火が出てるぞ!オラもやるんだぞ!」
俺の様子を見ていたエティが早速自分の作った黒の【びっくりボーロ】に火をつけ口に放り込む。すると確かにエティの口と鼻、耳から黒い炎が吹き出した。熱くないから自分では分からなかったがなかなか滑稽な感じだ。しかし味は悪くない。
「うまいな。俺のは黄色い回遊粉だったからちょっと酸っぱい感じだけど、火をつけたからかな、爽やかな香りが身体中に巡る感じでより味を感じられてめちゃくちゃうまい!」
「おぉ!オラのはコーラ…?みたいな味だぞ!いい匂いですげーうまいぞ!」
火をつけることによって香り高さが倍増するようだ。そして熱さは感じないが鼻や耳から炎が漏れ出る。よく見れば目からも。エティの混ぜて作った黒は、味見して見ると独特な感じがプラスされたコーラ、ドクターペッパーや沖縄のメッコーラのような風味だった。好きな人はどハマりするが、苦手な人も多い味だな。
「楽、みてみて?」
楽しそうなクルの声に振り返ると、クルはピンクの炎に包まれながら花を咲かせていた。炎がまるで花の様な形をしていたのだ。
「クル、それ凄いな。可愛い。」
「クル可愛いよりカッコいいがいいのに…。」
「大丈夫、クルこっち食べて見て。」
肩を落とすクルにリアが緑の【びっくりボーロ】を差し出す。そんなリアは緑の炎の渦、オーラを纏った状態だ。それを見てクルが緑の【びっくりボーロ】を頬張ると、緑の渦が現れ、花の炎と混ざり合い神秘的な感じに。
「クル、かっこいい?」
「おぉ、かっこいいぞ!しかし何故クルとリアはかっこいい感じになって俺とエティは面白系なんだか…こだまは…」
見るとこだまは龍のような形をしたエメラルドグリーンの炎に包まれ、神々しいアクションで動き回っていた。
まさかあの炎操れるの…?




