同業者に会う、実力差が見える
今回は、初めてまともな冒険者の同僚が出ます。
「へえ、この辺りが商業路なんだな、若干森とか林に近い感じだな」
俺達は、ワイバーンの討伐のため、王都と町を繋ぐ商業路に来ていた。
「しかし、それらしい奴はいねぇな。もしかして、何処か別の場所に移動しちまったか?」
「どうだろう……ワイバーンがそんなに頻繁に移動するとは聞いたこと無いけど……」
「そうか……なあ、本来だったら何人でワイバーンに挑むんだ?どう考えても二人で四頭は多いだろ」
ドルシンの町にはいないAランクの冒険者の依頼、そんなに簡単だとは思えない。
「うーん……多分、一頭にBランクの冒険者が3人くらい……?」
「え?そんなに弱いの?仮にもドラゴンじゃないのか?」
「ドラゴンとワイバーンは……違うよ……?」
「そうなのか!?」
全く知らなかった、え?でもまんまドラゴンみたいな見た目じゃん。
「ワイバーンは……どちらかというとリザード系統……その中の上位種……」
リザード……トカゲか~そっか~いやいや翼あるじゃん。
「それに……ワイバーンは……何か吐く訳でも無い……噛みつきと爪で攻撃してくる……それでも早いから……危ない……でも、レイシン君の速さなら……止まって見える?」
それは普通にあり得る。だって俺の俊敏性バグってるもん。
「まあ、それならさっさと見つけるか。他の依頼も終わらせたいし」
「うん……」
きゃぁぁぁぁぁぁ!!
二人で話していると、突如悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ?なんかあったみたいだな」
「行こう……」
「ああ、もちろん」
俺達は悲鳴のした方に向かった。すると、そこには……
〈ギエギエギエギエギエ!!〉
「や、やめてぇぇぇぇ私美味しく無いからぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「そんな事言ってないで早く戦いなさいよ!!」
ニ人の冒険者が、空を飛ぶトカゲと戦っていた。そして、ニ人の冒険者の近くには、馬車があった。どうやら馭者は逃げたみたいだな、馬もいねぇし。
「大方、護衛をしてたか帰る途中にいきなり襲われた感じか……あれがワイバーンね……一頭しかいないけど……」
ステータスを見ておくか。
ワイバーン、成長率55
体力50000
筋力18000
防御力30000
俊敏性30000
魔力0
ふむ、確かにドラゴンじゃねぇや。弱すぎる。
(まあ、お主の世界ではドラゴンと同じ扱われ方をしとるからな、勘違いしても無理は無いわい)
それにしても、情けねぇ奴ら。さてさて、どうしたもんかな……。
「火球」
ボォン!!
〈ギェァァァァァァァァァ!!〉
「へ……?な、何?」
「う、嘘……一発でワイバーンを?」
おいおい、一撃かよ。丸焼き状態だし、食えるかな。
(納品するのを忘れるでないぞ?)
忘れてない忘れてない、少しくらいならとね。
(やれやれじゃわい……)
「大丈夫……?」
「え、ええ、大丈夫、よ」
ラミエラが話しかけると、恐らくリーダーであろう女が答える。見た目は……なんだろう、女剣士?の代名詞みたいな格好してる。
「なら……良かった……」
「おいラミエラ、せめてもう少し抑えてくれよ。これ解体すの俺なんだから」
「あ……ごめん……」
さぁて、何処の部位を納品しますかねえ。
「あ、あなた達は……?」
「俺達は、このワイバーンを討伐に来た。あんたらは?」
「わ、私達は依頼が終わってドルシンに戻る途中で……そうしたらいきなり……」
予想通りだな、面白くも無い。
「自己紹介が遅れたわ、私はイラ、Dランクの冒険者なの」
「私は、ミラです、私もDランクの冒険者、です」
「俺は玲真、Aランクの冒険者」
「私はラミエラ……Aランクの冒険者……」
「え、Aランク!?」
「す、凄い……!!だからワイバーンを簡単に……!!」
感動してるなあ、なんでかなぁ?
「まあ、別にいいけど。あんたら離れた方がいいぞ」
「え?なぜ?ま、まさかまだこのワイバーンは……!!」
「いやいや違うから」
うろたえすぎだろ、本当に冒険者?
「それじゃあなんでですか~?」
「私達が受けた依頼は、…ワイバーンの四頭の狩猟……一頭しか倒してないから……多分……」
〈ギエギエギエギエギエ!!〉
〈ギャギャギャギャギャギャ!!〉
〈ギエギエギエギエギエ!!〉
「ほぉら、寄って来ちゃった、残り三頭」
「・・・・・・・・・・・・・」
「う、嘘だ……三頭も……む、無理だ……ここで、死ぬのか……」
あ、駄目だ。イラって奴はビビりまくってるし、ミラって奴は立ったまま失神してる。
「レイシン君……どうする……?私が……やる?」
「いや、ラミエラの魔法じゃ全部消し飛んじまう可能性がある。俺が斬るよ」
そう言って俺は龍破を抜いた。なんだかんだ長く使ってるからこれが一番しっくり来る。
「き、斬る……?何を言ってる?相手は飛んでるのに……」
「まあ、見てろって」
そう言って俺は近くの木に向かって走り出す。
「な、何をして!?」
スッ、トォン
「・・・・・・・・・は?」
そして、その木を蹴って上に飛んだ。素っ頓狂な声を出してるが、この程度出来なくてどうするんだよ。
「よっと、な!!」
スパン、ボトボトボト
そのまま俺はワイバーン三頭の首を刎ねた。断末魔を上げずに絶命か、残念だったな。
「ふう、とりあえずこれで一件終わりだな」
「うん……お疲れさま……」
「何が……これが……Aランク……?」
いつまで驚いてるんだろうな、この娘は。
「さぁて、解体すか……」
「レイシン君……私も……やる……」
「ああ、分かった。ほれ」
俺は、あらかじめ買っておいたナイフをラミエラに渡した。俺は俺で解体し始める。
「意外に肉は柔らかいな……焼けば旨いのでは……」
「ふ、ぬぬぬぬぬぬ!!」
「ラミエラ、そこからじゃ刃が通らないぞ」
やっぱり初めてじゃ分からねぇよな。てか難しいよこれは、俺だって最初はブタとかサルとかの解体が楽な奴から始めたもん。
「むう~……鋭斬化・中」
ポォ
あ、なんか魔法使いやがった。ずるい。
「これで……よし……」
すると、ラミエラのナイフがするするワイバーンの肉を裂いていく。どういう事だよ。
(無属性魔法の鋭斬化じゃな、中じゃから中位じゃろうが……やはり魔力が多いと効果も強くなるの)
はえ~、ラミエラってすげえな本当に。友達になれて良かった。
(ただの友達かの~?)
やかましいわ、集中させろ。
「レイシン君……終わった、よ」
「ああ、俺も終わった」
まあ、それでも解体術A級の俺とは速度が全然違う訳で……ラミエラが一頭終わらせるのに対して、俺は、三頭全部終わらせた。
「そんじゃ、次に行くとするか~」
「うん……それじゃ……さよなら……」
俺達は呆けてる二人を置いて、次の目標に向かって歩き始めたのだった。
「・・・・・・・・・冒険者、引退しようかな」
気付いたらブックマークが80件を超えていた……ありがたいです。目指すは100です。次回はバジリスクを狩りに行きます。




