表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/101

決闘決闘、呪いの黒幕

今回、とりあえず節目として一つ大きな出来事が終わります。

決闘当日、俺とラミエラは学園の決闘場の入り口で待機していた。


「まさかここでやるとはな、さすがに予想外だわ」


「多分……お父様は私達を処刑したいから……決闘で死んだら困るから……」


・・・・・・・・・そこまでしててめぇの娘を殺したいか、クズが。


「ラミエラ、頑張れよ、大丈夫、お前ならいける」


「・・・・・・・うん!!」


もう怯えてないな。心配無さそうだな。


(まあ、あの手の輩はやることが大体決まっておる。今のこの娘なら負けんよ)


ガルゴのお墨付きがもらえたな。なおさら安心して見られるかな?まあ、俺はゆっくり見ておこう。


「それじゃ……行ってくる!!」


「おう、見せつけてこい」


ラミエラは、自信を持って決闘場の中に入っていった。


「さてさて……もういるな」


俺が決闘場を除くと、全ての席が満席になっており、既にラミエラの父親は中に入っていた。


「一応、あいつのステータスも見ておくか……」


ハリアド・バーボートン、48歳、男、成長率99


体力15000


筋力20000


防御力8000


俊敏性9500


魔力0


スキル、剣術A級、槍術A級、乗馬術A級、スキル鑑定B級、威圧


装備品、魔剣【ジャッジ】、魔法防御鎧


シンプルだな、このステータス。しかし、なるほどあいつらの異様な父親への恐怖心はこのスキル、威圧のせいか。


(威圧は自分の成長率より低い者を無条件で緊張させるんじゃよ。それの使い方によっては恐怖心を植え付ける事も出来るぞい)


なるほどね~、でもラミエラの成長率は99になってるから……


(威圧のスキルはもう効かぬの)


ふははははははは!!ざまぁみろでこすけめ。


『さあさあ!!ついにこの日を迎えてしまいました!!』


解説席みたいな所から学園長がアナウンスを始める。いつもの調子で喋っているが、不安で仕方が無いんだろうな、真っ青なオーラが出まくってるよ。


『父と娘、禁断の戦い!!娘は、負ければ命がありません!!どうなるのでしょうか!!』


顔面も真っ青になってるから、不安ならやめろよ。


『ルールは簡単!!どちらかが死亡ダメージを負って外に弾き出されること!!正々堂々始めて下さい!!』


「ふん、どうやら逃げなかったようだな」


「お父様……」


「どんな事をしたか知らないが……貴様のような出来損ない、すぐに絞首台に送ってやる」


そう言って、ハリアドは魔剣を抜いた。


「魔剣よ!!私の意思に従い、敵を討て!!」


そして、ハリアドの魔剣は輝きだす。


「・・・・・・・・・・・・・」


「死ねぇ!!愚か者がぁ!!」


そして、ラミエラとの距離を詰めようと駆け出す。


火球ファイアボール


ボゴォン!!シュンッ


「・・・・・・・・・・は?」


ハリアドは困惑していた、駆け出したはずの自分が、既に決闘場の外に弾き出されていたのだから。


「なんだ今の!?」「火球ファイアボールって言った!?」「嘘だろ!?下位魔法じゃん!!」「てか、魔法が早すぎて何も見えなかったんだけど……」「杖も持ってないのに!?」「何なんだよ今の……」


観客達はどよめきだす。この勝負は、処刑だと思っていた者達の方が多かった。それもそのはず、この男は決して弱くない、むしろ王都の中ではかなりの有力者である。その有力者が、普通の下位魔法で外に弾き出されるというのは、考え辛かった。


「う、嘘だ!!こんなのは何かの間違いだ!!貴様、何をしたぁ!!」


ハリアドも納得いかずに異議を申し立てる。


「ぷっくくく、あっはっはっはっはっは!!」


それを見ていた玲真が思わず笑い出す。


「な、何がおかしい!!」


「いやいや、あまりにも見苦しくてなぁ」


「な、なんだと!?」


「言ったろ?あいつは呪いを受けてても魔力が100万オーバーだったんだよ。呪いが解けて、更にハードトレーニングしたからな、今の魔力は……」


「1200万オーバー、です、お父様」


「1200万、だと?」


おうおう、呆けてやがる。気合いを入れて突っ込んだのに瞬殺されたからなぁ。いい気味だわ。


「そんな馬鹿みたいに多い魔力から放たれたら、下位魔法でもあの威力になるわ」


「そんな……馬鹿な……」


「学園長、ジャッジしてくれ、あんたなら分かるだろ」


「・・・・・・・この勝負、ラミエラ・バーボートンの勝ちです!!」


学園長が宣言する。周りの観客達が一斉に沸く。俺もうれしい、思わずラミエラの頭を撫でる。


「言ったろ?大丈夫だって」


「うん……」


それでも、ラミエラの表情は暗い。そうだよな、結局父親はお前を認めてない、悲しいよな。


「認めぬ!!こんなのは何かの間違いだ!!私が出来損ない如きに負ける訳など……!!」


見苦しい奴だな……まあいい、俺も確認したい事があったからな。


「ラミエラ、決闘場から出て待っててくれ」


「レイシン君……?」


「ちょっと、確かめたい事がある」


「?うん……」


ラミエラ、決闘場から出たな……よし。


「もう一度入れよ、ハリアド・バーボートン」


「なに……?」


「レ、レイシン君?何をする気かな?」


学園長が慌ててる。安心しろや、変な事はしない。


「俺に勝てたら、俺の首はくれてやる。その代わり、ラミエラは見逃してもらうけど」


「レイシン君!?何を言ってるのかね!?」


学園長、テンパり過ぎ。ラミエラはラミエラで落ち着いてるな。予想してたの?


(こんなん誰でも分かるわどあほ)


「ふ、ふふふ、良いだろう、貴様のその思い上がり、砕いてくれる!!」


そうして奴は再び決闘場内に入った。よし、それじゃ……


「やる前に一つ聞きたい」


「なんだ……命乞いか?」


質問だって言ってるだろ耳腐ってるのか。


「あんた、ラミエラの呪いのこと、知ってたな?」


「・・・・・・・・!!」


その反応……やっぱりか……。


「おかしいと思ったんだ。ラミエラの呪いはスキルと似たような表示のされ方をする。スキル鑑定があるあんたが、気付かない訳が無い」


「・・・・・・・・・それだけで、私が知っていたと?」


「もう一つあるさ、あんたがあの魔人を雇ってた事だ。魔法が嫌いなあんたなら、あんなに魔法が使える奴雇う訳ねぇからな」


奴の顔が強張る。当たりみたいだな。


「恐らく、あんたはラミエラの異常な魔力の量に気付いていた、だから魔法を使えないように呪いをかける事を容認した、自分の一族から魔道士が出ないように」


「・・・・・・・・貴様のせいで台無しだがな」


こいつ………


「あの出来損ないが魔法を使えないようにしたのは、魔道士は我が一族にとって不穏だからだ!!剣術の才能が無くとも、魔法が使えなければどうでも良かった……それを貴様が壊した、この事態は貴様のせいだ!!」


・・・・・・・ふざけんなよ


「ふざけんなよてめぇ……そんな下らない理由で、何年も何年も……ラミエラを苦しめて、あまつさえ呪いが解けたら殺そうと……」


「だからなんだ!!そもそも剣術の才能が無いあの出来損ないが悪い!!」


「もう、いい」


もう聞きたくない。こいつの話は、声は、聞きたくない。


(・・・・・・わしも本体があれば殺しちまうわ、ここまでの愚図)


だろうな、ああだろうよ。俺はもう、我慢しないからな。


「かかってこい、てめぇのプライド壊してやる」


「馬鹿が!!我が魔剣の前に倒れ伏すがいい!!」


奴が魔剣を構えて突っ込んでくる。遅い、どれだけ待てばいい?遅すぎる。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ビュオン


スローだ。こいつの魔剣、遅すぎるよやっぱり、壊していいと思うか?


(ええじゃろ、ぶっ壊してやれ)


オーライ、なら遠慮無く……!!


ヒュン、バキィン


「・・・・・・・・・え?な、は!?ま、魔剣が!?」


驚くよなぁ、お前から見たら突然自分の魔剣が砕け散ったんだもんなぁ。ただ蹴り砕いただけなのに。


「悪い、あまりにもとろくて蹴り砕いちまった」


「蹴り砕いただと!?馬鹿な、魔剣だぞ!?魔剣が蹴りで壊れるわけ……!!」


ヒュン、バキッ、グチャッ


「グギャァァァァァァァァァ!!」


俺は相手の膝を蹴り砕く。こいつ程度に魔剣を抜くのは勿体ない、蹴りで充分だ。


「わ、私の足がぁぁぁぁぁ……」


「うるせぇ奴……もういいや、終われよ、お前」


「ま、待て!!待ってく」


ヒュン、グチャァン


俺は、相手の言葉を無視して頭を蹴り砕いた。奴は決闘場の外に弾き出される。


「納得いかなければ何度でも入ってこいよ、何回でも蹴り殺してやる」


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


逃げ出しやがった……本当に情けねえ奴だな、さて……


「ラミエラ」


「・・・・・・・・・・」


泣いている、声も出さず、ただ涙を流している。呪いの黒幕、自分の可能性を潰していたのが、自分の父親だった。それは、ラミエラの心に深く突き刺さった。


「・・・・・・・・・・・」


クルリ


「何処に行く」


俺は、何処かに行こうとするラミエラの手を掴んだ。


「一人に、して……」


「駄目だ、今のお前を一人に出来ない」


「お願い、だから……」


「・・・・・・・・俺さ」


「・・・・・・・・・?」


「ガキの頃、両親が死んで、父親がどういう物かよく分からねえんだ……だけど、お前が父親を好きだったっていうのは分かる」


ラミエラの感情は、ずっと見えてた。父親の事が怖くても、尊敬していた、認めて欲しかった。だけど……そんなのお構いなしに、奴は自分の一族の利益を優先した。


「ラミエラ、頼むから絶望しないでくれ、諦めないでくれ、俺は、お前にいて欲しい」


「レイシン、君……」


「その、さ……泣くんなら、せめて俺の前で泣いてくれ、俺が隠すからさ、一人で泣かないでくれ」


あー……何を言ってるんだろ俺、もっと気の利いた言葉を言えないのか……


「ありが、ど、う、レイシン、君」


ポスッ


ラミエラが俺の胸に抱きついてくる。


「うぅ、あぁぁぁぁぁ……」


そして、そのまま泣き始めた、声を出して、泣き始めた。いくらでも泣いてくれ、俺がいるから……


(まあ、泣いてる女に言う台詞としちゃ……及第点じゃの)


うるさい、茶化すな。


(はいはい、しかし、これからどうするんじゃ?)


これからは……とりあえず、ドルシンに戻ろう。そして、いろいろ考える。


(ま、構わんぞ、いくらでも付き合ってやるわい)


そうして、俺達にとっての、大きな出来事の幕が閉じた。ラミエラが泣き終わるまで、俺はその場でラミエラを抱きしめ続けていた。

次回、また学園長と対談です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ