謎の襲撃者、波乱の予感
今回、少しだけシリアスな場面があります。
「はあ……はあ……はあ……」
「うし、今日はこの辺にしとこうぜ、明日が試験だしな」
「うん……」
明日がダンジョン試験か……案外早いものだな。
「私……俊敏性……上がった?」
「いや上がってるから落ち着け、息も絶え絶えじゃねぇか」
この三週間、彼女と走り込みばかりしていた。最初の彼女の俊敏性は400で、ブラックウルフにも殺されそうな数値だった。だが三週間の走り込みのお陰で、俊敏性は700にまで上がった。
(正直それでもクソ遅いがの、ダンジョンではお主が守らんと死ぬぞ?あの娘)
うんそれは分かってる。一応ブラックウルフには走って逃げる事は出来ても他のステータスが致命的に低いので、魔物とかとは戦闘させられない。魔法も結局下位のまま上がらなかった。やはり呪いをどうにかしなくちゃ成長出来ねぇのか……。
「それじゃ……明日、頑張ろう?」
「ああ、もちろんだ」
そう言ってラミエラは去って行く。心なしかフラフラなんだが……まあ、問題ないだろう。
「ああ~……しかし、一体どこのどいつがラミエラに呪いなんざ……ん?」
俺も帰ろうとした方向に、いつの間にか黒いローブを着た3人組が立っていた。
「・・・・・・・どちら様ですかね~」
「ラミエラ・バーボートンから手を引け」
「さもなくば天罰が落ちる事になる」
「あの娘から手を引け」
ふ~ん、こいつらなんか知ってそうだねぇ。おおかた呪いが解かれる可能性が出てきたから忠告に来た感じか。
(どうするんじゃ?ステータスは見れぬようにしておるし、気付いとるか知らんが、こいつらしっかり人避けの結界張っとる。プロじゃぞ)
随分と用意周到だな。しかし、だとしたらこいつら……
「・・・・・・・ああ分かった分かった、どうせ会ったばっかりだし、別に見捨ててもいいぜ」
「その言葉、真かどうか……」
スパン
「「!?」」
「嘘に決まってるじゃ~んプロの癖に馬鹿だねぇ」
俺は相手に近付き龍破で相手の黒ローブの1人の首を刎ねた。どうやら俺の動きには対応出来ないみたいだ。
「き、貴様……!!」
「あんたらさぁ、ラミエラの事をどこまで知ってるか知らないけど、呪いをかけた本人では無いんだろ?どうせ雇われて俺の所に来たんだろうが……意味ねぇよ、脅しなんざ」
残った2人は動揺しまくってる。恐らくこの学園の生徒クラスの実力だと思ってたんだろう。あてが外れて残念だったな。
「だがまぁあんたらが誰に雇われたか、それは興味があるわ。つうわけで……覚悟しろよ?」
俺は完全に臨戦態勢に入った。殺さなくても足を切り落とす程度なら一瞬だ。俺の実力を見誤った事に気付いた2人は、その場から逃げだそうとした。だが……
「どこに行くのかねぇ、お客様方」
ズカァン
男の1人が俺の横をすっ飛んで行く。いつの間にか学園長が来ていたのだった。
「シドニー・ワン!?なぜここに!?」
「ここだけ結界が張ってあって妙だったからさ!!さて、私の生徒に手を出す不届き者は、どうしてやろう」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!!」
「取りあえず気絶したまえ」
ゴキン、と首をひねる。さすが学園長、変人だけど強いのは確かだったな。
「いやぁレイシン君すまなかったねぇ。まさかここまで賊が入り込んでくるとは」
「いえ、実害も無かったんで問題無いです。1人首取れてますが」
「いやぁ恐ろしい程見事な手際だったよ!!初めてでは無いね?」
「ええまあ……盗賊に襲われた事あるんで」
「そうか……大丈夫!!君がこの学園にいる間、二度とこんな事をしなくていいように警備を厳重にするさ!!」
優しいな、学園長。変人だし的外れだけど。
「学園長、多分こいつら、ラミエラに呪いをかけた奴が雇ったプロです」
「なに!?本当かい!?」
「ええ、そして多分……ラミエラに呪いをかけた本人、この学園にいますね」
「な……!?」
そりゃ驚くよな、だが恐らく確定だろう。
「俺がラミエラに呪いがかかっている事を話したのは学園長と彼女だけです。学園長とラミエラが俺に刺客を送ってくる理由が無いですし……万が一ラミエラの呪いが解けて困るなら、見張っていた方が安心でしょうし」
「そんな馬鹿な……だが確かに、筋は通っている……」
さて、教師陣か生徒の中にいるのか分からないが、舐めた事をしてくれた報いは受けさせる。俺に喧嘩売ったこと後悔させてやる。
(じゃが、この襲撃が失敗したとなると、次仕掛けてくるのは……)
「ダンジョン試験……か……」
やれやれ、中々自由にさせて貰えないものだな。まあいい、どうにかしてクリアをして、ラミエラの呪いを解く。それが目標だ、絶対に負けない。
そうして、波乱のダンジョン試験が始まるのだった。
次回はダンジョン試験が始まります。いろいろあるのでご期待下さい。




