メイドが仕掛ける、あっさり見破る
今回は少しだけあれな描写があります。ご注意下さい。
「いい部屋だねここは、ベッドがでかいし風呂は最高だし」
(まあこれだけでかい屋敷ならこの程度で無くては詐欺じゃろ)
ていうか、一体いつになったら晩飯が食えるのかな。腹減ったんだけど。
(お主本当によく食うの……)
そうしていると、コンコンとノック音が聞こえた。
「お客様、お食事のご用意が出来ました。ご案内します」
「あ、分かりました。ありがとうございます」
「いえ、それではこちらです」
迎えに来たメイドさんはさっきのメイドさんだった。よく見るとすごくスタイルがいい。
「こちらになります、どうぞ」
「おお………!!」
案内された場所には、様々な料理が並べられていた。
「あれ?俊雄さんは?」
「ご主人様はまだやるべき事がありまして、共に食事が取れないようです、申し訳ございません」
「・・・・・いえ、そういう事なら仕方ありません。喜んで頂きます」
「それでは、後ほど片付けに参りますので、何かあれば待機している者がおりますのでそちらにご申し付け下さい」
そういうと彼女は部屋の外に出て何処かに戻っていった。どうやら部屋の外に何人かいるようだ。
「・・・・・・・さて、頂きます」
並べられている料理を食べていく。うん、やっぱり旨いな。さすがに慣れているのだろう。
(おい、さっきのメイド……)
大丈夫だ、気付いているから。
(・・・・・・玲真、用心しておけよ)
勿論……それはそれとして、料理は完食させていただく。多分向こうもそれを望んでいるだろうし
「ご馳走さまでした、美味しかったです」
「ありがとうございます、後の片付けは我々の仕事なので、どうぞお部屋に戻って休んで下さい」
「ええ、そうさせて貰います。実はすごく疲れていて……失礼します」
料理を完食した後、俺は部屋に戻りそのままベッドに潜り込んで眠りについた。
深夜、誰もが眠り込んでいる中、彼女は客室に来ていた。目的は、そこで眠っている青年を手籠めにするためだった。普通ならばあり得ない突然のCランクの冒険者就任、A級のスキルを四つも持つ特別な存在、既成事実を作りこの屋敷の為になって貰う為だった。
(眠っているわね……こんな子供がA級のスキルを四つも持っているなんて信じられないけど……ウェイン様が紹介状を書いたのなら本物でしょう。そんな大物を逃す手はないわ)
そして彼女は眠っている青年の元に近付いた。下着になり、後は行為を始めれば上手くいく。そう思っていた。
(あらかじめ料理には媚薬を仕込んでおいた。あれを食べたなら絶対に上手くいく……大丈夫よ、問題ないわ)
いくら実力があっても所詮は少年、欲情に流される筈だと、そう思っていた。
「なるほど、俺を殺そうとしていたわけじゃ無く、籠絡しようとしたわけか」
「!?」
瞬間、自分の腹部に衝撃が走る。その衝撃は、彼女の体に今まで知らなかった苦痛を与えた。
「ゲホッ、ゴホッ、ゲホッ、ゴホッ」
「なあ教えてくれよメイドさん、いや……スーウォンさん?これは、あんたの主人が命令したのかな?」
彼女は驚愕していた。自分がやろうとしていた事がバレていただけでは無く、名乗っていない自分の本名まで知られている。そして何より……青年から発せられる殺気に身動き出来なくなっていた。
「答えてくれや、そうすれば殺しはしない。嘘をつけば……分からないけどね」
本気だ、もし嘘を付いたら殺される。しかも自分一人では無く主もろとも……それだけは絶対に避けなければならなかった。
「・・・・・・・私ひとりでやりました。ご主人様は関係ありません!!ですからどうか、私の命だけでご勘弁を……!!」
私は恥もなく頭を地面に付け謝罪する。トシオ様には返しきれない恩がある。だから私のせいでご迷惑をおかけするわけにはいかない……!!
「ふーん、じゃあいいや、服を着て戻っていいよ」
「・・・・・・・・え?」
「だから服を着て戻っていいよ、嘘は付いてないみたいだし、敵意も無い。これで勘弁してあげる」
「ほ、本当でございますか?」
「ああ本気だとも、ただし、次は無いけどね。いいかな?次は、無いよ?肝に銘じておけ」
「・・・・・・!!はい!!失礼致します!!」
私は服を着て自分の部屋に戻った。私は、あのお方には二度とこのような事をしないと、そう固く誓った。
「いや~グラマラスだったね。普通に勃ったよあれは」
(お主さっきの雰囲気はどうしたんじゃ)
「そりゃ脅しただけだしね。よく考えればギルドマスターの親族殺すとかマジでシャレにならないからね、脅しだと分かるはずだよ彼女なら」
まあそこまで考えさせないために一発入れたんだがね。お陰で上手くいった。
(しかし、まさか暗殺では無く夜這いだったかの、心配して損したの)
「まあ、警戒してて正解だったがな」
実はさっき食事する前の会話で、彼女は少し赤く光っていた。つまり嘘をついている、もしくは俺に敵意があるか何かを企んでいたわけだ。嘘なら何が嘘なのか分からなかったから、恐らく料理に何か仕込んであるんだろうとは思っていた。毒が効かないから普通に食べたが……。
「まさかの媚薬入りだよ、いやぁ美人には気を付けなきゃいけないね。うっかり流される所だったよ」
ちなみに先程彼女のステータスを見た所……
スーウォン、24歳、女、成長率52
体力3000
筋力1000
防御力1000
俊敏性8500
魔力7000
スキル、短剣術B級、気配遮断B級、操糸術B級、気配察知C級、闇魔法(下位)
こんな感じだった。うん、完璧に暗殺者だねこのスキル構成、恐ろしい。
「まあ勝てないって分からせたし、もう大丈夫でしょ、寝よ寝よ」
そうして俺は今度こそ眠りにつくのだった。
「・・・・・・・ううん、よく寝れたかね」
昨晩の出来事から、特に問題も無く眠る事が出来た。ベッド最高、うらやましい。
(やれやれ、神経図太い奴じゃわい)
「別に今に始まった事では無いだろ」
コンコンと、また扉をノックする音が響いた。
「お客様、おはようございます、朝食のご用意が出来ました」
おおう、昨日の今日でもう来ますか。意外に根性あるねスーウォンさん……。
「分かりました、行きましょう」
「・・・・・・昨晩は失礼いたしました。正直に申し上げて、あなたを見くびっていました」
「ははは、こう見えても冒険者なんで、我慢強いんですよ」
「・・・・・・・・クスッ、そうなのかもしれませんね」
駄目だよその笑顔、昨日据え膳食っておけば良かったじゃないか。くそぅ、やはり美人は危険だ。
(ガバガバな奴じゃの本当に)
「おお玲真さん、いやぁ昨晩は失礼しました。昨日は突然他の仕事が来てしまったので、それの処理に追われていました」
歩いていると、俊雄さんが目の前に表れられる。あれ?仕事があったって事は彼女嘘付いて無かったんじゃ……。
「・・・・・ああなるほど、自作自演か」
「どうか致しましたか?」
「いえ、何でもありませんよ」
恐らく、俊雄さんがやった仕事は彼女が作ったんだろう。それで俺だけに媚薬入りの料理を食わせたと……優秀なのかやり過ぎなのか、こんなもんなのかね。
「それでは、朝食を食べたらすぐにでも学園に向かいましょう」
「ええ、そうさせて頂きます」
そして朝食を食べた後、俺は学園に向かった。一体どれほどの期間入学することになるのか……今から不安を感じていた。
実際、スタイルがいいメイドさんに迫られたら……あり得ませんがね。次回はようやく学園に入学です。




