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第3話 忍び寄る影
第三話:忍び寄る影
異変を感じ始めたのは、雨が降り続いていた週の半ばだった。
深夜のバイトに向かう途中、アパートの階段を降りるときや、街灯の薄暗い夜道を歩いているとき、背後に不穏な足音を感じることが増えた。
振り返っても誰もいない。だが、誰かにじっと見張られているような、不快な視線が皮膚にまとわりついて離れない。
部屋の中にいてもそうだった。
ハルが時折、玄関の扉に向かって低く唸り声を上げることがあった。小さな体を強張らせ、俺を庇うように耳をピンと立てて警戒している。
「大丈夫だよ、ハル。風の音だろ」
そう言ってハルの背中を撫でながらも、俺の背筋には嫌な汗が伝っていた。
現実の苦しさに加えて、正体不明のプレッシャーが、俺の部屋にまでじわじわと侵食してきていた。




