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スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ  作者: 紫楼


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第5話 王都に到着

 王都まで 荷馬車に乗せてもらえることになった。

 ガッシュが馭者をして、他は荷物と一緒に後ろ。


 ……魔獣の皮と葉っぱにまかれた肉、薬草が乱雑に積まれている。乗せてもらっている身でなんだが正直、何とも言えない臭いでつらい。幌がないから臭いは籠らないけど密接しているからな……


 そして座席もなければ、クッションもない。車輪にゴムタイヤもない荷馬車はとても揺れて尻が痛い。


「ねぇ、おっさん、荷物少ないね?落としたの?」

 少ないっていうか、ほぼ手ぶらだからあやしいな。腰のバッグ一つで大草原にポツンで猪に追い回されていたのだから落としたと思うのは普通だろう。


「落としたな……たいした物はなかったから良いんだ……」

 この荷馬車の積み荷を見る限り、アイテムボックス、マジックバッグのことは言わないほうがよさそうだ。レア物かもしれない。

 哀愁漂ってみられたのかディルが気の毒な顔をして、ミルキーもさすがにかわいそうに思ったらしい。

「ぼっちでいてさー、あんなのやっつけるのに魔力全開になっちゃうんだから、命があっただけでラッキーだったよ」

 絶妙に心に棘が刺さる慰めの言葉をありがとう。ミルキー。


「ダンシィデンまで三十分くらいでつきますよ」

 ディルが俺の顔色を心配してか声をかけてくれる。

 王都ダンシィデンまであと三十分。尻と吐き気に耐え抜けるといいな。


「兄ちゃん、ライ、オッサン、肉食べよーよ」

 空気は読まない系らしいミルキーがさっきの猪肉を包んでいた葉っぱを剥いでディルの前に突きだした。

 良い具合に火は通っていただろうけど、すでに冷めている。しかも味付けなしのそのままで食うのか。


 うぷ。


「俺はいらない」


 腹は減ってないし、なんなら少し気持ち悪いし。馬車の中で食べたら口の中や舌を噛みそう。


「俺たちも今はいいかな……」

 ライが苦笑いだ。


「なんだよー。いい焼き具合なのに」


 白菜くらいのサイズの固まり肉を小型ナイフで切ってそのまま口に入れてる。ケバブみたいな食べ方だなぁ。ミルキーが幸せそうな顔で食べているから少しおいしそうに見えるな。


 しばらくはディルたちの今日の獲物の成果なんかを聞きながら進んだ。

 あの大草原の向こうにちょっとした森があるらしい。彼らの仕事は王都の東西南北にある森や川、辻馬車の護衛が多いらしい。彼らはDランクパーティであと数件の依頼を熟したら昇級試験を受けられるのだと。ポイント制かな。


 徐々に道周りがキレイになってきた……道は整地されているものの轍がいっぱいだからガタガタしている。王都の周りだというならもう少しどうにかならないのか。


 門に着いた。数組の待ちがあったがサクサク進んだ。

 ディルたちは冒険者のタグを出して、俺は身分証を出した。

「……ようこそ」

 門番はじっくりカードを見て俺を見て少し首を傾げた。横に置いてある機械に身分証を置いて無反応だったからか「通ってよし」だって。

 何も持ってない行商人なので怪しまれたのか。

「おっさん、商人なのに荷物失くしたの!?ドジじゃん」

「こらっ」

 横で見ていたミルキーがズバッとツッコんだので門番と近くにいた歩行者がが気の毒そうな顔をした。


 ケガの功名か門番がホッとした様子なのでミルキーはグッジョブ……でいいのか。

「少しは持ってるぞ」

 腰のバッグを指さして見せたら周囲から余計に哀れまれたようだ……


 アイテムボックスなんだぞ。言えないけど。


「災難だったな」

「命があってこそだ。無事でよかったね」

 門番と歩行者に慰められた。


 そういえば、猪に追われたから服に泥汚れといい具合にくたびれ感がある……いい年なのにヨレヨレはちょっと切ないな。


「俺たち馬車を預けてきます。シュウはこのあとは決まってますか?」

「ああ。商業ギルドに寄ってから宿をとるよ」

 ん?宿をとって身を整えるのが先か。

 ディルたちは荷馬車と馬を門近くの厩舎に預けて冒険者ギルドに行くらしい。

 大人としては晩飯でも誘っておごる場面だろうが、俺は今荷物を失くした残念な商人だから気を使わせてしまうだろう。


「何日かいる予定だからタイミングがあったら飯でも食おう」

 持ち物を整えて情報を集めたら移動開始だ。もう会えないかもしれないが「また」会えたら良いなという気持ちはある。だが、二十も上のおっさんと若者じゃな。ディルたちの気分次第でいいさ。


「じゃここで」

「おっさん、ボアありがと」

 ミルキーはまだ肉を持っている。食べ盛りか。

「護衛はちゃんと雇ったほうがいいよ」 

 ライが心配してくれる。


「気を付けるよ」

 さすがに次の街に行くときは護衛を頼むよ。いきなり襲われたらめっちゃ慌てることを知ってしまったからな。


 初めて出会ったのが気のいい連中で本当に助かった。


 感謝の気持ちで荷馬車を見送ってから街の中に進む。

 一応この国出身ってことになっているからギルドがどこだとか聞きにくいんだよな。


 とにかく情報を得ないとだ。商業ギルドに行く前に街を見て回るか。


 ……あんまりに小汚いのはあり得ないのでちょっと影に入ってからスキルの一つ〈洗浄〉を使ってみた。シュッと全身がリフレッシュできた感じだ。便利。


 ばっちいままで店とか入れないから魔法が使えてよかったな。


 荷馬車では……気付かなかった……積み荷も俺も泥だらけだったから仕方なかったということで。






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