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スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ  作者: 紫楼


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第2話 バカヤロウ

「さて、あれらの召喚をおこなった者たちは〈勇者〉の召喚を成功したと思って喜んでいるであろう。汝はそこに行かぬほうがよかろう。転移する場所を少しだけずらしておこう」


 ……じゅんぴーたちと同じ場所じゃないのは助かる。が、少しって。


「どうせなら遠くに、うっかり出会えないくらい離してほしいのだが」


 絶対絡まれそうだ。神様は無表情で首を振る。


「召喚陣からあまり離れた場所に飛ばすと身体が吹き飛ぶ可能性があるのでな」 


 は?何か怖いことを言ったぞ。


「地上への干渉は我であっても難しい。故にこうして地上に行く前に手を出しているのだ」


 気まぐれ(・・・・)に何かをするのに制限を守らないとなのか。


「そろそろ地上に送ろう」

「あ、ちょっと待ってくれ。服とか金とか何もないのに放り出されては困る。地上のことを教えてくれないか」


 無一文、無職、仕事帰りのスーツ姿って駄目すぎないか。


「……〈生成〉すれば良いであろう?」


 石像のような姿でコキッと首をかしげるしぐさをする。


「金はまずいと思うが」

 ……服や何かはいいけど、金は偽造にならないか?いきなり「金貨を偽造して犯罪者になった件」とかいうタイトルの主人公になりそうだ……


「人の理に反するか……ならば、なにか作って売ればよいのではないか」

「……そもそもどうやって売ればいい?あ、商売とかって身分証とかそういったものはいるんじゃないのか」


 お互い首をかしげて見つめあう。


「ふむ……ふむふむ」


 神様は首を傾げたまま熟考してからパチンッと指を鳴らした。


「神殿によく来るような冒険者の恰好でよかろう」


 俺のスーツは消え去り、ファンタジー映画に出てきそうな動きやすそうな衣装になった。一瞬マッパになった気がする……忘れよう。

 腰元にはシザーバッグくらいのカバンと短剣があった。


「そのバッグに当面の路銀と地図が入っている。身分証は亡くなった信者のものである。それを好きに書き換えるがいい」


 ぉおう。何か重い発言が出た。手元に現れたカードには個人情報が出ている。


 ウォリス・アドラー 58歳 行商人 カーマヘルト国生まれ

 職業スキル〈道化師〉固有スキル〈観察〉……


 商人なのに〈道化師〉って。


「……これって職業とかスキルを記載されているのは普通なのか?」

 俺、〈無職〉ってでてしまうじゃないか。


「自分が見るときにはすべて出るが、出入国で開示するのは名前と出身地、犯罪歴、職に就くときに職業や固有スキルが見られるのが普通であったと思う」


 くっ。どのみち〈無職〉はついて回るのか。


「我は好きに書き換えろと申したはずであるが」


 !?


「職業スキルなんかごまかしてもいいのか!?」


「ほとんどの者が職業スキルに有利な仕事に就くのであろうが、別に向いてない職に就く者もいる。汝は何者にでもなれよう」


 そりゃ、サブスキルはたくさんもらったけど。


「能力の高い者が利用されることを避けるために能力や生まれを〈隠避〉することはままあるものよ」 


 この神様、なんかグレーなことを推してくるな……大丈夫なのか。 


 俺は身分証の項目を書き換えてみた。


 シュウ・リクドウ 38歳 行商人 カーマヘルト国生まれ

 職業スキル〈商人〉固有スキル〈鑑定〉……


 たくさんあるスキルは全部〈隠避〉で全隠しだ。


 こんなものか。をまったく残さないのも悪いから行商人にしてみた。


「ふむ……カーマヘルト国の生まれ……としては、見てくれがよくないな」


 上から覗き込んでいた神様が失礼なことをつぶやいた。


 失礼すぎる。純日本人にしては彫りは深いし清潔感には気を付けているし、腹も出ていない。それなりのイケてるおじさんだと思っていたのに……


「ああ、違う。汝の色合いと顔つきが今のままではカーマヘルト国人に見えぬという意味である」


 めっちゃ落ち込んだ俺を見てか神様が訂正してくれる。


 よかった。独りよがりに「俺はまぁまぁイケてるおじさんだ」と思っている勘違いジジィと周りの女性社員なんかに思われていたかも知れないかと頭の中がグルグルしてしまった。


 パチン。


 神様がまたなにやらしてくれたらしい。俺の前には鏡のような形の水面が現れて自分の姿を確認できた。


 ……まぁなんだ。元の姿を少し洋風にしただった。


 若くするとか超美形になるとかでもなく。黒い髪が薄い金髪に代わり、気持ち彫りが深く鼻筋が通った……のか?瞳は薄茶色から碧色で肌が黄色から白くなっていた。それと気持ち鍛えられている風な身体になっている。


「……これでよかろう」


 違和感ない……こともないがかけ離れた顔じゃないのは逆に安心できる。


「さてもう時間切れだな」


 え、時間切れとかあったのか!?


「我の世界を頼むぞ」


 いや!?


 待ってくれ。そんな大層なものを押し付けないでほしい。


「頼むぞ。〈断罪者〉」


 ちょっと待てー!!


 俺の意思はお構いなしで、あの若い連中と同じく転移陣に送り込まれた。


 バカヤローォォォォォォォォォォォォ!!





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