第24話 顔合わせ
帰り道に食料と飲み物を追加で買った。必要かどうかは分からないが、依頼料をケチるなら飲食代はある程度持つべきだろう。
宿に戻ったころには外は暗くなっていた。
食堂は混雑していたので、ノースさんに夕食を断って三階に上がった。
「ふぅ、今日は結構動いたな」
腰をトントンと叩いて部屋着に着替えた。まだケツは痛んだ。湿布を貼っておく。
俺は今後のことを少し考える。旅の間、護衛とは離れられないはずだ。
異世界出身と知られるのはマズいからおかしな行動をとらないようにしないといけないだろう。
他人と行動を共にするから〈生成〉は好きに出来ない。今のうちに酒とタバコは準備しておこう。おしゃれなボトルのものはダメか。ミニ樽の酒をたくさん〈生成〉した。ワイナリーや醸造所へ行っておいて良かった。
あ、良い酒を樽で持っているのは変か……商店街で見かけたちょっと不格好な瓶をたくさん〈生成〉して詰め替えた。アルコールの香りがむせ返るように漂う。
タバコは何種類か作った。こっちのタバコを見てないから白い紙タバコ、シガリロ、細めの葉巻とジャグ状態のものを。
良い肉も高級な酒もしばらくは出せないだろうと思って、良いところで食べたステーキとちょっとお高めのワインを〈生成〉して食べた。
「うー、うめぇ」
ステーキは岩塩とワサビソースの二種類。ワインを飲みながら肉をたっぷり食う。いつもなら飲むときは米を避けているが、しばらく米も食えないのかもと思い米も出した。そんなことを考えてしまうとカレー、ラーメン、寿司といろんなものが頭に浮かんでしまう。そこまでは腹に入らない。落ち着いた先まで保留だ。
最後はウィスキーをオンザロックで楽しんだ。
明け方目が覚めた。そういえばカーテンがないな。朝日がまぶい。
手持ちの時計を確認したら朝六時だった。まだ寝たいが寝なおすのも微妙か。全身を〈洗浄〉してから着替えた。冒険者たちに会うのに洒落る必要はないかもしれないが髭を剃って、髪は後ろに撫でつけておく。
時間があるので部屋でゆっくり朝食を摂ろう。
今朝はなんとなくカフェオレとハムとサラダのクロワッサンサンドを〈生成〉した。まったりした気分になれる。
冒険者ギルドに向かう時間になった。大型リュックは一応アイテムボックスに仕舞った。自分の荷物は全部回収して、すぐにでも宿を引き払える状態にしておく。
荷物は腰のバッグだけの状態で部屋を出る。
「出かけてくる」
食堂にいたエニスちゃんに声をかけて宿を後にした。
今日も下町は賑やかだ。
冒険者ギルドは朝のピークがひと段落した時間らしい。俺を見つけたドーラさんがすぐに個室に案内してくれた。
すでに冒険者たちはそろっていたらしい。
「遅くなってすまない」
「いいえ、彼らは先に来てもらっていたのよ」
ドーラさんはウィンクして、彼らに見えないように指でワッカを作って金額交渉の合図をした。こっちの世界でも金はそのポーズなんだ。
「どちらも金額について納得してくれました。行先も国境付近まで、希望があれば彼らの行く予定地付近まで延長が可能です。あなたが行く方向に合わせてどちらかのパーティが付き合ってくれます。追加金は彼らと相談の上、到着先のギルドでお支払いください」
おお、依頼金をケチってるのに延長もアリなんだ。
「初めまして。俺は〈大鷲の鉤爪〉のリーダー、ハンクだ。こいつが盾士のルーカス、拳闘士のカドル。他のメンバーは国境で合流予定だ。その時に紹介する。」
Aランクパーティ〈大鷲の鉤爪〉は三人とも身体が大きなマッチョだ。すごく迫力がある。
「おっす。俺は〈雷獣の檻〉のリーダー、ライズだ。こっちのシューサーは魔導士、そっちの若いのが従魔使いのアーノルド、かわいこちゃんはメリッサ、弓使いでそこのがレムルス、盗賊だ」
……盗賊にまずツッコミたいがその前に……ライズとシューサーは公衆浴場で見かけたやつらだよな。あと、メリッサさんは確かに美人だがその紹介はアウトだ。日本だとセクハラ判定されかねない。本人も嫌な顔をしてるぞ。




