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スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ  作者: 紫楼


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第19話 マジックバッグ……

 結局、表通りに戻ってきて、カバン屋……革製品の店を探した。マジックバッグは下町では買えない可能性はあるのか?冒険者がいるんだから売ってるよな。もしかしてギルドで頼むものか?


 革製品の店を見つけたので入る。高級店っぽい。

「いらっしゃいませー」

 壮年の男性が店番をしていた。革製品の店だけあって上等な革の衣装を着こなしている……シブカジ?

 なるほど。店内には、靴、装具、カバン……ジャケット、パンツまでいろいろ扱っている。

 

 白、黒、渋い茶、オレンジ、薄い黄土色、深緑の革……元の世界と似たような色合いだが染めと脱色が少し甘いかな。


 俺は今茶系統でまとめているので、黒い靴やパンツが欲しい……でも真っ黒が良いので〈生成〉で作ったほうがいいだろう。

 商人用の服はもう買ったので普段着が欲しい……カバン見に来たんだよ。

 服は……王都を出たら良い服屋あるのか謎……少しだけ買おう。

 足りなければ〈生成〉で作るけどさ、まずはこっちの服を詳しく観察しないとな。


 靴は濃茶のハーフブーツをチェックした。ちょっと重い。でもこのくらいのほうが丈夫なんだろうか。ロングブーツやショートブーツもあるが、好みはこのハーフのだ。


「お試しで履いてみてください。サイズが合わなければ調整いたしますよ。調整が難しそうであれば、別サイズの似たものをお出しできますので」

 ジブカジの店員が声をかけてくれた。革だから少し伸ばすのかな。

 俺は言われるまま履いてみた。ちょっときついか。

 そう伝えるとシブカジの店員さん……シブカジさんは手に持っていたらしいベルを鳴らして、別の店員を呼んで違うものを出してくるようにと指示を出した。奥に数人いたらしい。

 出して来てもらったもののほうが茶色が濃くて好みだ。

 そちらも履いて試してみる……靴って長旅には何足かあったほうがいいな。

「両方欲しい」

 シブカジさんがちょっと止まった。もしかして靴が数百万とかじゃないよな!?

「ではこちらは調整しましょう」

 先に見ていた靴を別の店員が奥に持って行った。


「ほかには何をご希望ですか?」

「ベルトと小銭入れとフードのコートが欲しいかな」

 ウォレスさんの財布を使うとまたうっかりジャラジャラ入れてしまいそうだから見せ財布が欲しい。

 そして長旅には、フード付きのコートがあったほうがいいだろう。季節的には初夏くらいの温度だが、夜間は冷えるだろう。寝袋は買ってあるけどな


 シブカジさんが進めてくれるままに、濃いオレンジの革でボタンがちょっと凝っている財布を選んだ。

 コートは三着ほど出してもらって、濃緑の薄手の革で軽くて、ポケットが多めなロングコートを選んだ。黒はやはり色ムラが気になるのであきらめた。落ち着いた先で〈生成〉しよう。


 これでお会計を頼んだ。全部で金貨一枚と銀貨七枚。一番近かったのはコートだ。薄く軽い生地が高級らしい。だが営業マンとして着ていた、スーツに十万二十万はふつうにかかっていたから、かなりお買い得に感じた。


 調整が済んだ靴が戻ってきたら、シブカジさんが荷物をまとめてくれた。コートやベルトは布に包まれ、靴はそれぞれ布に巻かれて渡された。

 財布はそのまま使うと伝えて、ポケットに入れた。


「あのー、この店にマジックバッグってある?」

「……容量の小さいものならございます」

 なるほど……容量かぁ。

「多分買えない値段だとは思うが、いつか買う目標にしたいんで見せてもらうことはできる?」

 レア物で高級らしいものを、見るだけのために出してくれって言うのは無茶すぎたかな。

「よろしいですよ」

 え!?いいの!?


 シブカジさんがまたベルで奥から人を呼んで「マジックバッグを」と伝えると店員は「マジかよ」って一瞬驚愕して奥に戻っていった。


 数分ほどシブカジさんに店頭の革の種類なんかを聴いて雑談していたら、店員さんが二つのバッグを運んできた。

「現在、当店にある二点です。これより大きなものは商業ギルドにしか置いてないので……」

 薄茶色の肩掛けカバンと濃い緑のウエストバッグが出てきた。

 シブカジさんがカバンの入り口を広げて中を見せてくれた。見た目は表も裏も普通にカバンだった。


「こちらは当店の売り場のあのあたり区画分の荷物が入る容量で金貨五十枚です」

 ウエストバッグの容量は、軽トラの荷台くらいか……

「こちらは外に停まっている馬車くらいの容量ですね。お値段は金貨百十五枚です」

 肩掛けバッグは中型くらいの馬車、二トントラックくらいか……


 ギリギリ買える値段だった。びっくりだ。でもアイテムボックスも、マジックバッグの財布も持っているので、ここで、この値段で、冒険心は出せない。


「あはは、やっぱりまだまだ貯金に励まないとですね」

 俺はちょっと曖昧に笑って見せた。

 シブカジさんは「ご冗談を」、店員は「金遣い粗そうだからムリだろ」って思ってそうな表情だった。


 ……シブカジさん、俺の財布事情をなんか察してそうだな。ベテランの感か。


 とりあえず、そこら辺の行商人が大容量のマジックバッグは持てないだろうと判断した。


「見せてくれてありがとうございました」

「いいえ、予算ができました折にはまたお立ち寄りください。もちろん、靴やコートのメンテナンスにもお気軽にどうぞ」


 シブカジさん……営業マンレベル高いなぁ。


 俺はひとくくりにしてもらった荷物を抱えて外に出た。


 すぐさま影になるところでアイテムボックスに入れたぞ。





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