第48話「俺、道分かるぞ!」
朝。
目が覚める。
「…………」
腹。
確認。
痛くない。
「よし」
勝った。
牡蠣。
との。
戦い。
終了。
たぶん。
◇
起きる。
身体。
動かす。
大丈夫。
昨日より。
全然。
いい。
俺。
四十歳。
身体。
伊能忠敬。
五十五歳。
復活。
「…………」
もう。
牡蠣。
食べすぎない。
絶対。
「…………」
たぶん。
◇
外。
出る。
門倉隼太。
いる。
「先生」
「おはよう」
「お身体は?」
「大丈夫」
「腹は?」
「大丈夫」
「牡蠣は?」
「その質問いる?」
門倉。
少し。
笑う。
最近。
こいつ。
俺で。
遊んでない?
◇
支度。
する。
そして。
出発。
西。
今日も。
西。
歩く。
測る。
記録。
また。
歩く。
いつもの。
仕事。
◇
しばらく。
進む。
俺。
前を見る。
「…………」
なんか。
知ってる。
◇
海岸。
形。
向こう。
地形。
俺。
見る。
「…………」
この先。
たしか。
少し。
回り込む。
俺。
歩く。
そして。
その通り。
道。
曲がる。
「…………」
あれ?
◇
さらに。
進む。
俺。
前を見る。
「この先」
口から。
出る。
門倉。
「はい?」
「川なかった?」
門倉。
前を見る。
「ございましたな」
「やっぱり?」
少し。
進む。
川。
ある。
俺。
止まる。
「…………」
マジだ。
◇
俺。
川を見る。
来る時。
渡った。
覚えてる。
「あそこ」
俺。
指差す。
「確か、あっちから行ったよな?」
門倉。
見る。
「左様です」
「…………」
俺。
ちょっと。
嬉しい。
◇
歩く。
また。
景色。
見る。
「あ」
ここも。
知ってる。
次。
たしか。
開ける。
進む。
開ける。
「…………」
おお。
◇
俺。
楽しく。
なってくる。
「門倉」
「はい」
「次、あっちじゃない?」
指差す。
門倉。
見る。
「左様ですな」
「よし!」
当たった。
◇
「先生」
「何?」
「何を喜んでおられるので?」
「道分かった」
「…………」
門倉。
俺を見る。
「以前通っておりますので」
「そうだけど!」
もっと。
褒めて。
◇
でも。
本当に。
不思議。
来る時。
必死。
だった。
歩く。
測る。
疲れる。
寒い。
まだ?
次どこ?
そんな。
こと。
ばっかり。
考えてた。
景色。
覚えよう。
なんて。
思ってない。
でも。
覚えてる。
◇
足元。
地面。
海。
川。
山。
全部。
少しずつ。
俺の中。
残ってる。
「…………」
俺。
道。
分かるぞ。
◇
歩く。
俺。
前。
見る。
「この先」
言う。
宗平。
俺を見る。
「少し海岸から離れるよな?」
宗平。
頷く。
「はい」
「やっぱり!」
また。
当たった。
楽しい。
◇
俺。
気づく。
これ。
ゲーム。
だったら。
二周目。
一回。
通った。
マップ。
だから。
分かる。
「あそこに川」
ある。
「この先曲がる」
曲がる。
「ここ歩きにくい」
本当に。
歩きにくい。
「…………」
俺。
すごい。
◇
いや。
待て。
これ。
俺が。
すごい?
それとも。
伊能忠敬の。
身体?
「…………」
身体に。
道の。
記憶。
残る?
分からない。
でも。
俺。
覚えてる。
なら。
俺で。
いい。
◇
測量。
始める。
俺。
指示。
出す。
「宗平、そっち」
「はい」
「門倉、前の記録ある?」
「こちらに」
受け取る。
見る。
照らす。
確認。
「じゃあここ」
俺。
指差す。
みんな。
動く。
◇
俺も。
動く。
誰も。
俺に。
何を。
すればいいか。
説明。
しない。
俺も。
聞かない。
普通に。
進む。
◇
しばらく。
して。
俺。
止まる。
「…………」
今。
普通に。
俺。
仕切ってた?
誰にも。
教えて。
もらってない。
自分で。
記録。
見て。
確認。
して。
指示。
出した。
◇
門倉。
横。
通る。
俺。
呼ぶ。
「門倉」
「はい」
「今の」
「はい?」
「合ってた?」
門倉。
少し。
考える。
「何がでしょう?」
「俺がやったやつ」
「問題ございませぬ」
「…………」
俺。
笑う。
「そっか」
◇
門倉。
俺を見る。
「先生?」
「何?」
「何か?」
「なんでもない」
俺。
歩く。
ちょっと。
嬉しい。
◇
昼。
休む。
飯。
食う。
今日は。
普通。
腹。
大丈夫。
魚。
見る。
一瞬。
警戒。
する。
牡蠣じゃない。
大丈夫。
◇
俺は。
周りを見る。
ここ。
知ってる。
来たこと。
ある。
俺たちが。
東へ。
向かっていた時。
通った。
場所。
◇
「…………」
あの時。
俺。
どんな。
だった?
たぶん。
文句。
言ってた。
絶対。
言ってた。
「まだ?」
「遠い?」
「今日どこまで?」
それ。
ばっかり。
◇
今。
違う。
次。
何があるか。
少し。
分かる。
どこへ。
向かうか。
分かる。
何を。
するか。
分かる。
みんなの。
動きも。
分かる。
「…………」
すごいな。
人間。
慣れるんだ。
◇
午後。
出発。
俺。
また。
先を見る。
「こっち」
自然に。
言う。
みんな。
ついてくる。
俺。
止まる。
「…………」
待って。
誰も。
確認。
しないの?
◇
「門倉」
「はい」
「俺についてきてる?」
「先生が先へ進まれましたので」
「道、間違ってたら?」
「その際は申し上げます」
「…………」
つまり。
今。
合ってる。
◇
俺。
前を見る。
なんか。
変な。
感じ。
最初。
俺。
みんなに。
ついていってた。
身体は。
伊能忠敬。
責任者。
なのに。
中身。
浩哉。
四十歳。
何も。
知らない。
だから。
ずっと。
周り。
見て。
真似。
してた。
◇
今。
俺が。
前。
歩いてる。
みんな。
後ろ。
来る。
「…………」
本当に。
俺。
伊能忠敬。
やってる。
◇
その言葉。
頭に。
浮かぶ。
ちょっと。
怖い。
俺。
浩哉。
だよな?
それは。
変わらない。
牡蠣。
食いすぎる。
普通の。
四十歳。
でも。
今。
測量隊の。
先頭。
歩いてる。
◇
「…………」
両方。
俺。
なのかな。
一瞬。
思う。
難しい。
やめる。
俺。
そういうの。
苦手。
◇
歩く。
測る。
記録。
また。
歩く。
その方が。
俺には。
合ってる。
◇
夕方。
今日の。
行程。
終わる。
俺。
振り返る。
歩いてきた。
道。
見る。
その先。
厚岸。
さらに。
西別。
もう。
遠い。
◇
俺。
前を見る。
西。
この先も。
来る時。
通った。
場所。
続く。
「…………」
俺。
どこまで。
覚えてるかな。
ちょっと。
楽しみ。
◇
自分で。
思って。
止まる。
楽しみ?
明日の。
測量が?
「…………」
違う。
道。
確認するのが。
楽しみ。
測量が。
楽しみな。
わけじゃない。
ここ。
大事。
◇
ウインドウ。
出る。
【第一次測量 蝦夷地】
【測量進捗率:25%】
「…………」
俺。
見る。
「お前は相変わらずだな」
【25%】
「でも」
俺。
今日。
歩いた。
道。
見る。
「俺は進んだぞ」
【…………】
返事。
なし。
「知ってる道だった」
【25%】
「しかも俺、道案内した」
【…………】
「ちょっとくらい褒めろよ」
消えた。
◇
夜。
横になる。
目。
閉じる。
今日。
俺。
何回。
道。
当てた?
結構。
当てた。
川。
曲がり。
海岸。
歩きにくい。
場所。
全部。
覚えてた。
◇
俺。
頭の中。
道。
浮かべる。
線。
つながる。
こっち。
進んだ。
次。
ここ。
その先。
あそこ。
「…………」
地図。
◇
俺。
目。
開く。
地図。
紙。
だけじゃ。
ない。
俺の。
頭の中にも。
少し。
できてる。
歩いた。
から。
測った。
から。
何度も。
見た。
から。
◇
「…………」
これが。
伊能忠敬。
なのかな。
俺。
呟く。
でも。
すぐ。
首。
振る。
違う。
まだ。
そんな。
格好いい。
ものじゃない。
俺。
今日。
道。
覚えてて。
喜んでただけ。
◇
でも。
一個。
だけ。
認める。
俺。
最初より。
確実に。
できる。
こと。
増えた。
◇
伊能忠敬。
五十五歳。
中身。
浩哉。
四十歳。
第一次測量。
復路。
今日。
俺は。
重大な。
ことに。
気づいた。
俺。
この道。
分かる。
「…………」
俺。
ちょっと。
すごくない?
誰も。
いない。
から。
自分で。
言った。
そして。
少し。
笑った。




