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コケて立ち上がったら伊能忠敬でした。歴史に名を残す人は頭のネジが外れてるみたいです。もう俺は歩けません  作者: まろじろう
第一次測量 蝦夷地

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第47話「牡蠣に負けた。※真偽は不明です」

夜。


目が。


覚めた。


「…………」


暗い。


まだ。


夜。


俺。


目を。


閉じる。


寝よう。


「…………」


無理。


なんか。


変。


     ◇


腹。


痛い。


「…………」


俺。


ゆっくり。


起きる。


腹。


押さえる。


痛い。


結構。


痛い。


「…………」


待って。


何?


今日。


何。


食べた?


飯。


魚。


汁。


そして。


「…………」


牡蠣。


     ◇


いや。


違う。


牡蠣。


悪くない。


牡蠣。


最高。


だった。


めちゃくちゃ。


美味かった。


俺。


何個。


食べた?


「…………」


結構。


食べた。


     ◇


腹。


痛い。


さらに。


なんか。


気持ち悪い。


「…………」


嘘だろ。


俺。


四十歳。


身体。


伊能忠敬。


五十五歳。


江戸から。


歩いた。


蝦夷地。


来た。


西別まで。


行った。


船。


三日。


待った。


夜。


天測。


した。


鮭漁で。


根室。


行けなかった。


それでも。


帰ってきた。


なのに。


「…………」


牡蠣に。


負けるの?


     ◇


しばらく。


耐える。


無理。


起きる。


腹。


痛い。


気持ち。


悪い。


最悪。


「…………」


昨日。


俺。


何て。


言った?


牡蠣。


最高。


「…………」


撤回。


いや。


美味かった。


そこは。


撤回。


できない。


でも。


今。


最悪。


     ◇


朝。


俺。


死んでる。


いや。


生きてる。


でも。


気分。


死んでる。


「…………」


門倉。


来る。


俺を見る。


止まる。


「先生?」


「何?」


「お顔の色が」


「分かってる」


「具合が悪いので?」


「…………」


俺。


答えたくない。


     ◇


門倉。


心配。


してる。


「腹が」


俺。


言う。


「腹?」


「痛い」


「昨夜よりですか?」


「うん」


門倉。


少し。


考える。


嫌な。


予感。


「昨日の牡蠣では」


「言うな」


「しかし」


「言うな」


「随分と召し上がって」


「言うな!」


     ◇


門倉。


黙る。


俺。


横になる。


「…………」


恥ずかしい。


昨日。


牡蠣。


牡蠣。


言ってた。


仕事。


早く。


終わらせた。


昼飯。


控えた。


牡蠣の。


場所。


空けた。


そして。


食った。


結果。


これ。


「…………」


完全に。


俺が。


悪い。


     ◇


宗平。


来る。


「先生」


「何?」


「大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃない」


「昨日の牡蠣が」


「みんなそれ言うのやめて!」


     ◇


知ってる。


俺も。


そう。


思ってる。


     ◇


しばらく。


休む。


少し。


落ち着く。


でも。


腹。


まだ。


変。


今日は。


西へ。


進む。


予定。


俺。


どうする?


門倉。


言う。


「先生」


「何?」


「本日はお休みください」


「…………」


俺。


止まる。


今。


何て?


休み?


     ◇


「もう一回言って」


「本日は休まれた方がよろしいかと」


「…………」


休み。


俺。


ずっと。


欲しかった。


言葉。


休み。


歩かない。


測らない。


昼。


仕事。


しない。


夜。


天測。


しない。


寝る。


最高。


「…………」


やった。


俺。


言おうと。


する。


でも。


出ない。


     ◇


門倉。


続ける。


「我らで進められるところは進めますので」


「…………」


俺。


見る。


「進むの?」


「はい」


「俺抜きで?」


「先生にはお休みいただき」


「…………」


なんか。


嫌。


     ◇


待って。


何。


この。


感じ。


休める。


嬉しい。


はず。


俺。


ずっと。


言ってた。


休みたい。


歩きたくない。


働きすぎ。


伊能忠敬。


おかしい。


それなのに。


みんな。


俺を。


置いて。


測量。


進める。


「…………」


嫌。


     ◇


「俺も行く」


門倉。


止まる。


「先生?」


「行く」


「しかし」


「大丈夫」


腹。


痛い。


大丈夫じゃない。


「今日は休まれた方が」


「行く」


     ◇


門倉。


俺を見る。


「なぜです?」


「…………」


俺も。


知りたい。


なんで?


休める。


合法的。


休み。


誰にも。


怒られない。


むしろ。


休め。


言われてる。


なのに。


俺。


行きたい。


「…………」


分からない。


     ◇


「先生」


「何?」


「無理をされる必要はございませぬ」


「分かってる」


「測量は我らで」


「それが嫌」


言った。


俺。


自分で。


驚く。


門倉も。


少し。


驚く。


     ◇


「…………」


俺。


言葉。


探す。


なんで。


嫌?


考える。


そして。


分かる。


「俺たちで」


俺。


言う。


「ここまで来たじゃん」


門倉。


黙る。


「江戸から」


歩いた。


みんなで。


測った。


西別。


行った。


戻った。


「だから」


俺。


腹。


押さえる。


「俺だけ抜きで進むの、なんか嫌」


     ◇


言った。


恥ずかしい。


俺。


何。


言ってる?


四十歳。


なのに。


部活。


みたい。


     ◇


門倉。


しばらく。


何も。


言わない。


そして。


「先生」


「何?」


「では」


お。


「もうしばらくお休みください」


「…………」


違う。


     ◇


「腹の具合が落ち着きましたら」


門倉。


続ける。


「本日の行程を考えましょう」


「…………」


俺。


少し。


考える。


それなら。


いい。


「分かった」


「決して無理はなさらぬよう」


「うん」


     ◇


横になる。


俺。


天井。


見る。


なんだ。


これ。


休める。


なのに。


測量。


行きたい。


俺。


完全に。


おかしい。


「…………」


伊能忠敬。


染み込んで。


ない?


怖い。


     ◇


少し。


寝る。


起きる。


腹。


さっきより。


いい。


まだ。


違和感。


ある。


でも。


動ける。


俺。


起きる。


     ◇


門倉。


来る。


「先生」


「行ける」


「本当に?」


「うん」


「無理では?」


「無理なら言う」


門倉。


俺を見る。


そして。


頷く。


「分かりました」


     ◇


支度。


する。


いつもより。


ゆっくり。


荷。


今日は。


あまり。


持たない。


周り。


気を。


使ってる。


分かる。


ちょっと。


申し訳ない。


でも。


行く。


     ◇


外。


出る。


西。


俺たち。


進む。


ゆっくり。


「…………」


腹。


大丈夫。


今のところ。


大丈夫。


歩く。


     ◇


測量。


始まる。


俺。


できる。


こと。


やる。


座って。


記録。


確認。


無理。


しない。


でも。


参加。


してる。


「…………」


なんか。


安心。


する。


     ◇


俺。


気づく。


休みたく。


なかった。


わけじゃない。


身体。


つらい時。


休む。


大事。


それ。


四十年。


生きて。


分かってる。


でも。


置いていかれるのが。


嫌だった。


     ◇


みんなと。


一緒に。


やってる。


それが。


俺の中で。


思ってたより。


大きく。


なってた。


「…………」


俺。


本当に。


変わったな。


     ◇


昼。


休む。


俺。


飯。


見る。


食欲。


少し。


戻った。


ゆっくり。


食べる。


魚。


ある。


「…………」


魚。


見る。


鮭。


思い出す。


牡蠣。


思い出す。


「…………」


海産物。


最近。


俺に。


絡みすぎじゃない?


     ◇


門倉。


「先生」


「何?」


「お腹の具合は?」


「大丈夫」


「それは何よりです」


俺。


聞く。


「門倉」


「はい」


「昨日の牡蠣」


門倉。


見る。


「美味かったよな?」


「はい」


「…………」


俺。


頷く。


「じゃあいいか」


「よろしいので?」


「美味かったから」


     ◇


午後。


また。


進む。


腹。


完全では。


ない。


でも。


朝より。


いい。


俺。


測る。


記録。


確認。


歩く。


いつもの。


仕事。


     ◇


そして。


俺。


少し。


笑う。


昨日。


牡蠣。


最高。


今日。


牡蠣。


最悪。


でも。


たぶん。


また。


食べる。


「…………」


懲りないな。


俺。


     ◇


ウインドウ。


出る。


【第一次測量 蝦夷地】


【測量進捗率:25%】


「…………」


俺。


見る。


「今日くらい増やしてよ」


【25%】


「腹痛いんだけど」


【25%】


「牡蠣に当たったんだけど」


【…………】


「同情くらいしろよ!」


消える。


     ◇


夕方。


今日の。


行程。


終わる。


俺。


座る。


疲れた。


いつもより。


疲れた。


でも。


来て。


よかった。


そう。


思う。


     ◇


門倉。


隣。


来る。


「先生」


「何?」


「本日は早めにお休みください」


「分かった」


今日は。


素直。


「明日は?」


俺。


聞く。


「西へ」


「よし」


やっぱり。


それ。


聞くと。


嬉しい。


     ◇


夜。


横になる。


腹。


かなり。


戻った。


俺。


目。


閉じる。


今日。


休めた。


完全に。


休めた。


なのに。


俺。


測量。


行った。


「…………」


昔の。


俺なら。


絶対。


休んだ。


     ◇


別に。


仕事人間に。


なりたい。


わけじゃない。


無理。


するのが。


偉いとも。


思わない。


今日だって。


本当に。


駄目なら。


休む。


でも。


今日。


俺が。


行きたかった。


理由。


それは。


仕事。


だから。


じゃない。


     ◇


みんなと。


一緒に。


ここまで。


来たから。


最後まで。


一緒に。


歩きたい。


「…………」


俺。


そんなこと。


思うように。


なったんだ。


     ◇


ちょっと。


照れる。


誰にも。


言わない。


絶対。


言わない。


     ◇


伊能忠敬。


五十五歳。


中身。


浩哉。


四十歳。


第一次測量。


復路。


俺は。


今日。


牡蠣に。


負けた。


でも。


測量には。


行った。


「…………」


いや。


待て。


これ。


格好いい話に。


していい?


原因。


牡蠣の。


食いすぎ。


だぞ?


俺は。


布団の中で。


一人。


笑った。


そして。


決めた。


次。


厚岸。


来たら。


牡蠣は。


ほどほどに。


「…………」


たぶん。

※伊能忠敬が厚岸で牡蠣を食べた、あるいは牡蠣に当たったという史実を確認したわけではありません。浩哉が勝手に食べて勝手に負けています(笑)。

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