第41話「25%って何の数字!?」
朝。
目が覚めた。
「…………」
西別。
俺。
昨日。
着いた。
思い出す。
「…………」
俺。
ちょっと。
笑う。
やった。
本当に。
やった。
江戸から。
ここまで。
来た。
歩いて。
測って。
夜。
星。
測って。
船。
待って。
三日。
待って。
ようやく。
西別。
「…………」
頑張ったな。
俺。
◇
起きる。
身体。
痛い。
いつもの。
こと。
でも。
今日は。
気分。
いい。
西別。
到達。
折り返し。
ここから。
帰る。
厚岸。
牡蠣。
函館。
そして。
江戸。
「…………」
帰れる。
俺は。
伸びを。
する。
その時。
昨日の。
数字。
思い出した。
【25%】
「…………」
俺。
止まる。
◇
「…………ん?」
もう一回。
考える。
西別。
東進の。
到達点。
ここから。
折り返す。
つまり。
距離だけで。
考えたら。
半分くらい。
来た。
よな?
いや。
帰りも。
同じ道。
全部。
測るわけじゃ。
ない。
細かいこと。
ある。
分かる。
でも。
「…………」
二十五?
俺。
座る。
◇
ウインドウ。
呼ぶ。
出る。
【第一次測量 蝦夷地】
【測量進捗率:25%】
「…………」
やっぱり。
二十五。
見間違い。
じゃない。
「なあ」
【…………】
「聞いていい?」
【…………】
「これ」
俺は。
数字を。
指差す。
「何の二十五?」
【測量進捗率:25%】
「それは見れば分かる!」
◇
俺。
考える。
距離?
違う。
たぶん。
西別まで。
来た。
帰り。
考えても。
四分の一って。
変。
日数?
もっと。
変。
江戸。
出てから。
どれだけ。
経った?
かなり。
経った。
少なくとも。
旅の。
四分の一。
なんて。
感覚じゃない。
「…………」
じゃあ。
何?
◇
「歩いた距離?」
【…………】
「違う?」
【…………】
「経過日数?」
【…………】
「測った距離?」
【…………】
「測量した回数?」
【…………】
「俺の頑張り?」
【…………】
「それなら百パーセントだろ!」
返事。
ない。
◇
俺は。
立つ。
部屋。
歩く。
考える。
二十五。
四分の一。
何の。
四分の一?
「…………」
待て。
そもそも。
俺。
勝手に。
思ってた。
この数字。
測量の。
進み具合。
だって。
だって。
書いてある。
【測量進捗率】
普通。
そう思う。
でも。
西別。
着いた。
折り返し。
なのに。
二十五。
「…………」
おかしい。
絶対。
おかしい。
◇
「先生」
門倉隼太。
来る。
「おはようございます」
「門倉!」
「はい?」
俺。
近づく。
「西別って折り返しだよな?」
門倉。
少し。
考える。
「今回の行程では、ここより戻ることになります」
「だよな!」
「はい」
「ここまで結構来たよな?」
「江戸より考えれば、相当な距離でございますな」
「だよな!」
やっぱり。
俺。
間違ってない。
「じゃあ二十五って何だよ!」
「…………」
門倉。
止まる。
「何がでしょう?」
「ごめん」
知らない。
この人。
ウインドウ。
見えない。
◇
朝飯。
食べる。
俺。
考える。
魚。
食う。
考える。
汁。
飲む。
考える。
「先生」
宗平。
「何?」
「何かお悩みで?」
「うん」
「測量のことでしょうか?」
「…………」
ある意味。
そう。
「二十五って少なくない?」
「何がでしょう?」
「ごめん」
また。
やった。
◇
飯。
終わる。
俺は。
外へ。
出る。
西別。
見る。
昨日。
感動した。
場所。
今も。
感動。
ある。
でも。
それ以上に。
数字。
気になる。
【25%】
「…………」
もし。
距離じゃない。
日数でもない。
じゃあ。
何を。
数えてる?
◇
俺。
ふと。
思う。
「もしかして」
ウインドウ。
出す。
【第一次測量 蝦夷地】
【測量進捗率:25%】
「これ」
俺は。
聞く。
「第一次測量だけの数字じゃない?」
【…………】
返事。
ない。
「もっと先?」
【…………】
「第二次?」
【…………】
「第三次?」
【…………】
俺。
止まる。
待って。
伊能忠敬。
測量。
何回。
やった?
俺。
歴史。
詳しくない。
日本。
歩いて。
地図。
作った。
それくらい。
しか。
知らなかった。
でも。
今。
実際。
やってる。
第一次。
それだけで。
これ。
「…………」
まさか。
俺。
嫌な。
想像。
する。
全国。
「…………」
いや。
やめよう。
まだ。
考えない。
◇
俺は。
ウインドウを見る。
「なあ」
【…………】
「一個だけ教えて」
【…………】
「二十五が百になったら」
俺は。
少し。
間を。
置く。
「俺、帰れる?」
【…………】
返事。
ない。
「そこ一番大事!」
【…………】
何も。
言わない。
「教えろよ!」
消えた。
「逃げんな!」
◇
俺は。
頭を。
抱える。
今まで。
この数字。
腹立つだけ。
だった。
二十三。
長い。
二十四。
まだ。
二十四。
二十五。
やっと。
増えた。
それだけ。
だった。
でも。
違う。
かもしれない。
この数字。
俺が。
思ってるより。
ずっと。
重要。
かもしれない。
◇
「…………」
百。
俺は。
呟く。
何を。
したら。
百?
日本地図。
完成?
「…………」
いやいやいや。
それ。
何年後?
俺。
五十五歳。
なんだけど。
「…………」
待て。
本物の。
伊能忠敬。
何歳まで。
測量した?
知らない。
知らない。
俺。
伊能忠敬。
知らなさすぎる。
今さら。
怖くなる。
◇
昨日。
西別。
着いた。
嬉しかった。
折り返し。
帰れる。
そう。
思った。
でも。
今。
俺の。
頭の中。
別の。
疑問。
できた。
江戸へ。
帰る。
それは。
できる。
たぶん。
でも。
この世界から。
俺が。
帰る条件。
それ。
何?
「…………」
俺。
初めて。
考えた。
◇
ウインドウ。
もう一回。
出す。
【第一次測量 蝦夷地】
【測量進捗率:25%】
「…………」
俺は。
じっと。
見る。
そして。
気づく。
上。
【第一次測量 蝦夷地】
下。
【測量進捗率:25%】
「…………」
第一次測量。
俺。
指で。
文字を。
追う。
第一次。
「…………」
第一次?
声。
出る。
「第一次ってことは」
俺。
嫌な。
予感。
する。
「第二次あるよね?」
【…………】
「あるよね!?」
【…………】
「絶対あるじゃん!」
◇
俺は。
その場に。
座り込む。
西別。
着いた。
昨日。
俺。
叫んだ。
着いたぁぁぁ。
終わったぁぁぁ。
門倉。
言った。
終わってない。
あれ。
帰り道の。
ことだと。
思ってた。
でも。
もっと。
大きな意味で。
終わってない?
「…………」
嘘だろ。
◇
門倉。
遠くから。
俺を見る。
「先生?」
「何?」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない」
「どこか具合でも?」
「未来」
「…………」
門倉。
黙る。
「なんでもない」
説明。
できない。
◇
俺は。
立ち上がる。
まだ。
答え。
ない。
二十五。
何を。
表してる?
百。
何を。
意味する?
帰れる?
帰れない?
分からない。
でも。
一つ。
分かった。
俺が。
勝手に。
思っていた。
単純な。
旅の。
進捗。
それじゃない。
◇
俺は。
西別を見る。
昨日まで。
ここが。
大きな。
ゴール。
だった。
今も。
大事。
でも。
ゴール。
じゃない。
通過点。
たぶん。
とんでもなく。
長い。
道の。
最初の。
通過点。
「…………」
伊能忠敬。
俺は。
自分の。
名前を。
呟く。
正確には。
俺の。
身体の。
名前。
「お前」
俺は。
空を見る。
「どんだけ歩くんだよ」
返事。
ない。
でも。
なんとなく。
分かる。
たぶん。
俺が。
思ってるより。
ずっと。
歩く。
◇
その時。
門倉たちの。
話。
聞こえる。
この先。
根室。
その言葉。
俺。
反応。
する。
「…………」
根室?
待って。
俺。
西別。
折り返し。
だと思ってた。
俺は。
門倉を見る。
「今」
「はい?」
「根室って言った?」
「申しましたが」
「…………」
嫌な。
予感。
また。
来た。
「なんで?」
門倉が。
普通に。
答える。
「当初は根室まで向かう予定でございましたので」
「…………」
俺。
止まる。
西別。
最東端。
じゃない?
いや。
今回。
ここで。
折り返す。
でも。
予定。
根室。
つまり。
「…………」
まだ東行くつもりだったの!?」
俺の声が。
西別に。
響いた。




