第40話「西別着いたぁぁぁ!」
船。
進む。
西別。
近づく。
俺は。
前を見る。
もう。
目を。
逸らさない。
三日。
待った。
船。
来なかった。
待った。
また。
来なかった。
夜。
天測した。
そして。
やっと。
船。
来た。
ここまで。
長かった。
いや。
姉別だけじゃない。
江戸。
出た。
歩いた。
測った。
船。
乗った。
酔った。
蝦夷地。
着いた。
また。
歩いた。
測った。
夜。
星。
見た。
雨。
風。
寒さ。
人。
馬。
海岸線。
ずっと。
東。
東。
東。
そして。
今。
ようやく。
西別。
「…………」
来た。
◇
船が。
着く。
人が。
動く。
荷。
降ろす。
器具。
確認。
俺も。
動く。
でも。
足。
地面に。
着いた瞬間。
止まった。
「…………」
地面。
俺は。
踏む。
一歩。
もう一歩。
西別。
俺。
立ってる。
本当に。
着いた。
◇
「先生」
門倉隼太。
呼ぶ。
でも。
ちょっと。
待って。
今だけ。
待って。
俺は。
西を見る。
俺たちが。
来た方向。
ずっと。
向こう。
厚岸。
その向こう。
もっと。
もっと。
向こう。
函館。
そして。
海の。
さらに。
向こう。
江戸。
「…………」
俺。
そこから。
来たんだ。
◇
胸。
熱い。
自分でも。
驚く。
こんな。
気持ちに。
なると。
思ってなかった。
最初。
嫌だった。
歩きたくなかった。
帰りたかった。
なんで。
俺が。
伊能忠敬。
なんだよ。
そう。
思ってた。
今も。
ちょっと。
思ってる。
でも。
ここまで。
来た。
自分の。
足で。
みんなと。
一緒に。
測って。
つないで。
ここまで。
来た。
「…………」
俺。
頑張ったな。
◇
門倉。
宗平。
みんな。
いる。
俺は。
見る。
六人で。
始めた。
でも。
ここまで。
六人だけじゃ。
来られなかった。
道。
教えてくれた人。
荷物。
運んでくれた人。
馬。
出してくれた人。
泊めてくれた人。
飯。
用意してくれた人。
船。
出してくれた人。
三日。
待たせた船も。
今は。
許す。
ちょっとだけ。
◇
「門倉」
「はい」
俺は。
笑う。
「着いたな」
門倉も。
頷く。
「はい」
「西別だな」
「西別でございます」
「本当に?」
「はい」
「鳥じゃない?」
「…………」
門倉が。
俺を見る。
「西別です」
「よし!」
もう。
間違えない。
◇
俺は。
大きく。
息を。
吸う。
そして。
「着いたぁぁぁぁぁ!!」
叫んだ。
周り。
見る。
知らない。
俺。
気にしない。
「西別!」
来た。
「やっと!」
本当に。
やっと。
「終わったぁぁぁ!」
「先生」
門倉。
「何!?」
「終わってはおりませぬ」
「…………」
早い。
現実。
来るの。
早い。
◇
「いや」
俺は。
言う。
「分かってる」
西別。
到達。
終わり。
じゃない。
分かってる。
でも。
今くらい。
いいじゃん。
「今日は喜ばせて」
「もちろんでございます」
「よし」
理解。
ある。
◇
俺たちは。
西別で。
必要な。
ことを。
進める。
役人。
会う。
話。
する。
この土地の。
こと。
聞く。
そして。
俺の耳に。
聞き覚えのある。
言葉。
入る。
鮭。
「…………」
俺。
反応。
する。
鮭。
漁。
網。
人。
この土地で。
生きる人たち。
大事な。
仕事。
「…………」
魚。
俺は。
思い出す。
前。
思った。
地図より。
魚。
そりゃ。
そう。
幕府にとって。
測量。
大事。
でも。
ここで。
暮らしてる人には。
今日。
食う。
明日。
生きる。
そっちも。
大事。
◇
俺は。
鮭の。
話を。
聞く。
「…………」
なんか。
分かる。
江戸から。
来た。
俺たちは。
日本のため。
地図。
作る。
でも。
ここには。
ここで。
生きてる人が。
いる。
俺たちの。
都合だけじゃ。
世界。
動かない。
「先生?」
「いや」
俺は。
首を。
振る。
「何でもない」
また。
一つ。
覚えた。
気がする。
◇
そして。
ウインドウ。
現れる。
来た。
俺。
待ってた。
今度こそ。
絶対。
増える。
西別。
着いた。
東進。
到達点。
これで。
二十四。
だったら。
怒る。
俺は。
見る。
【第一次測量 蝦夷地】
【測量進捗率:25%】
「…………」
俺。
止まる。
もう一回。
見る。
【25%】
「…………」
増えた。
二十四。
終わった。
「よっしゃあああああ!!」
門倉。
振り返る。
「先生!?」
「増えた!」
「何がでしょう!?」
「一パーセント!」
「何のお話です!?」
知らなくて。
いい。
今は。
喜ばせて。
◇
俺は。
ウインドウを見る。
二十五。
四分の一。
「…………」
四分の一。
俺。
ここまで。
来て。
やっと。
四分の一。
「…………」
待って。
喜び。
少し。
止まる。
四分の一?
西別。
着いた。
俺。
あれだけ。
歩いた。
なのに。
二十五?
「…………」
残り。
七十五。
俺は。
考えない。
今日は。
考えない。
絶対。
考えない。
◇
仕事。
一段落。
俺は。
座る。
西別。
空。
見る。
達成感。
ある。
めちゃくちゃ。
ある。
俺。
本当に。
ここまで。
来た。
「…………」
明日くらい。
休めるかな。
思う。
西別。
到達。
節目。
一日。
くらい。
いいよね。
俺。
五十五歳。
頑張った。
◇
「先生」
門倉。
来た。
嫌な。
予感。
する。
最近。
分かる。
門倉が。
この顔で。
来る時。
大体。
俺に。
いい話。
じゃない。
「何?」
「今後の行程についてですが」
「…………」
来た。
でも。
大丈夫。
俺。
知ってる。
帰る。
それだけ。
「うん」
「ここより折り返し」
「うん」
「測量を続けながら戻ります」
「…………」
知ってる。
知ってた。
ずっと。
知ってた。
俺は。
西を見る。
来た道。
「…………」
あれ」
門倉。
「はい」
「全部?」
「はい」
「測りながら?」
「もちろんです」
「…………」
俺は。
東を見る。
西別。
着いた。
次。
西を見る。
帰る道。
長い。
めちゃくちゃ。
長い。
「…………」
俺。
深く。
息を。
吸う。
大丈夫。
知ってた。
最初から。
知ってた。
だから。
ショック。
ない。
ない。
はず。
「先生?」
「…………」
俺は。
門倉を見る。
「今日くらいは」
「はい」
「帰りの話しないでよ!」
門倉。
黙る。
「俺、今着いたばっかりだから!」
「申し訳ございませぬ」
「達成感返して!」
◇
夜。
俺は。
横になる。
西別。
着いた。
進捗。
二十五。
四分の一。
折り返し。
明日から。
西。
「…………」
西。
久しぶり。
あれだけ。
東。
嫌だった。
今度。
西。
ずっと。
西。
「…………」
絶対。
途中で。
西に。
文句。
言うな。
俺。
もう。
分かる。
◇
目を。
閉じる。
今日。
西別。
着いた。
これは。
本当。
誰にも。
取られない。
俺たちが。
測った。
歩いた。
ここまで。
来た。
だから。
今日は。
それでいい。
明日の。
ことは。
明日。
考える。
「…………」
帰り。
厚岸。
通るよな。
牡蠣。
俺は。
少し。
笑った。
そうだ。
帰りにも。
楽しみ。
ある。
大丈夫。
やれる。
たぶん。
◇
伊能忠敬。
五十五歳。
第一次測量。
西別。
到達。
【測量進捗率:25%】
残り。
七十五パーセント。
「…………」
やっぱ。
長えわ。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
ついに西別到着!
長かった……。
作者も浩哉と一緒に歩いてきた気分です(笑)。
そして――
【測量進捗率:25%】
……ん?
西別まで来たんだよね?
この数字、本当に何なんでしょうね(笑)。
次回も浩哉と一緒に伊能忠敬の旅を追いかけます!
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