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コケて立ち上がったら伊能忠敬でした。歴史に名を残す人は頭のネジが外れてるみたいです。もう俺は歩けません  作者: まろじろう
第一次測量 蝦夷地

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30/85

第30話「やっと1%増えた!」

朝。


目が覚めた。


「…………」


俺は。


天井を見る。


そして。


昨日のことを。


思い出す。


西別。


遠い。


めちゃくちゃ。


遠い。


しかも。


ゴールじゃない。


折り返し。


そして。


ウインドウ。


【第一次測量 蝦夷地】


【測量進捗率:23%】


「…………」


俺は。


布団を。


頭まで。


かぶった。


「知らなきゃよかった」


本気で。


思った。


西別。


着いた。


やった。


終わった。


じゃない。


そこから。


帰る。


しかも。


帰りも。


測る。


「…………」


なんで。


俺。


進捗率なんて。


聞いたんだろう。


知らなければ。


今日も。


何となく。


歩けたのに。


今。


俺の頭には。


数字がある。


七十七。


残り。


七十七パーセント。


「先生」


来た。


門倉隼太。


「…………」


「先生」


「…………」


「出立の支度を」


俺は。


布団から。


顔を出した。


「門倉」


「はい」


「七十七」


「何がでしょう?」


「残り」


「…………」


門倉が。


少し考える。


「ああ」


理解。


された。


嫌だ。


「まだ二十三なのですね」


「言うな!」


     ◇


外。


出る。


今日も。


海。


ある。


道。


あるような。


ないような。


海岸線。


ずっと。


続いてる。


「…………」


俺は。


東を見る。


あっち。


西別。


遠い。


次に。


西を見る。


あっち。


帰る方向。


もっと。


遠い。


「…………」


見なきゃよかった。


「先生」


門倉が。


声をかける。


「参りましょう」


「うん」


俺は。


歩き出す。


自分でも。


少し。


驚く。


文句。


言った。


絶望。


した。


布団。


かぶった。


でも。


今。


普通に。


歩き出した。


「…………」


俺。


慣れたな。


いいのか。


悪いのか。


分からない。


     ◇


測量開始。


歩く。


測る。


記録。


進む。


止まる。


測る。


また。


進む。


「…………」


今日も。


同じ。


昨日も。


同じ。


その前も。


同じ。


毎日。


同じことの。


繰り返し。


でも。


地図を見ると。


少しずつ。


線が。


伸びている。


「…………」


これ。


不思議だな。


一日。


だけなら。


ほとんど。


変わらない。


でも。


何日も。


重ねると。


線になる。


俺たちが。


歩いた場所。


測った場所。


全部。


繋がっていく。


     ◇


昼。


休憩。


俺は。


記録を。


眺める。


江戸を。


出た。


歩いた。


船。


乗った。


酔った。


蝦夷地。


着いた。


測量。


始めた。


川。


渡った。


器具。


壊れた。


直した。


夜。


星。


測った。


寒かった。


暑かった。


また。


寒かった。


地図。


写した。


現地の人に。


道。


教えてもらった。


人。


借りた。


馬。


借りた。


飯。


食った。


そして。


今。


まだ。


東へ。


進んでいる。


「…………」


俺。


結構。


やったよな。


前にも。


同じこと。


思った。


その時。


出た。


【22%】


「…………」


嫌な記憶。


蘇った。


     ◇


俺は。


ウインドウを。


呼ぶ。


最近。


なんとなく。


出てほしい時。


出る。


怖い。


でも。


便利。


【第一次測量 蝦夷地】


【測量進捗率:23%】


「…………」


俺は。


じっと。


見る。


「なあ」


【…………】


「いつ二十四になるの?」


【表示対象外】


「知ってる!」


聞いた。


俺が。


悪かった。


でも。


今日は。


少し。


違う。


二十三。


前は。


少ない。


それしか。


思わなかった。


今は。


この。


二十三の中に。


いろんなものが。


入ってる。


俺たち。


六人。


案内してくれた人。


荷物を。


運んでくれた人。


馬。


貸してくれた人。


泊めてくれた人。


飯。


作ってくれた人。


道。


教えてくれた人。


「…………」


二十三。


重いな。


本当に。


     ◇


午後。


また。


歩く。


海岸線。


曲がる。


測る。


川。


ある。


確認。


進む。


「先生」


宗平が。


呼ぶ。


「何?」


記録。


見る。


確認。


俺も。


少しずつ。


分かる。


最初。


何を。


見せられているのか。


分からなかった。


今。


間違い。


少しなら。


気づく。


「ここ」


俺は。


指を差す。


「これでいい?」


宗平が。


確認する。


頷く。


「…………」


俺。


測量。


できるようになってる。


今さら。


気づいた。


「門倉」


「はい」


「俺さ」


「はい」


「最初より役に立ってない?」


門倉が。


俺を見る。


「当然では?」


「もうちょっと褒めろよ!」


でも。


嬉しい。


     ◇


歩く。


測る。


記録。


俺は。


思う。


本物の。


伊能忠敬なら。


こんなこと。


当たり前に。


やったんだろう。


俺は。


違う。


何も。


知らなかった。


測量。


分からない。


道具。


分からない。


人。


分からない。


時代。


分からない。


でも。


周りを。


見た。


記録を。


見た。


聞いた。


覚えた。


失敗。


した。


また。


やった。


そうして。


少しずつ。


ここまで。


来た。


「…………」


俺でも。


できるんだな。


ちょっと。


そう思った。


     ◇


夕方。


今日の。


測量。


終わる。


俺は。


海を見る。


夕日。


綺麗。


風。


吹く。


少し。


冷たい。


「…………」


蝦夷地。


広い。


本当に。


広い。


でも。


前みたいに。


広さだけで。


絶望は。


しなくなった。


全部。


一度に。


歩く必要。


ない。


今日。


歩く。


明日。


また。


歩く。


それで。


いい。


     ◇


その時。


ウインドウ。


現れる。


【第一次測量 蝦夷地】


【測量進捗率:23%】


「…………」


また。


二十三。


俺は。


笑った。


「しつこいな」


【23%】


「分かったよ」


消そうと。


した。


その時。


表示が。


揺れた。


「…………?」


数字。


変わる。


【測量進捗率:24%】


「…………」


俺は。


止まった。


二十四。


もう一度。


見る。


【24%】


「…………」


上がった。


たった。


一。


一パーセント。


でも。


俺は。


思わず。


叫んだ。


「よっしゃあ!」


門倉。


宗平。


秀蔵。


吉助。


長助。


全員。


俺を見る。


「先生?」


「上がった!」


「何がでしょう?」


「一パーセント!」


「何のお話です?」


「いいんだよ!」


俺は。


笑う。


たった。


一。


でも。


嬉しい。


めちゃくちゃ。


嬉しい。


     ◇


二十二。


最初に。


見た。


絶望した。


二十三。


なかなか。


変わらなかった。


そして。


二十四。


「…………」


一パーセント。


この一パーセントのために。


何日。


歩いた?


何人に。


助けてもらった?


何回。


測った?


何回。


星。


見た?


「…………」


そりゃ。


重いわ。


俺は。


ウインドウを見る。


【測量進捗率:24%】


残り。


七十六。


「…………」


まだ。


七十六。


普通なら。


絶望。


する。


でも。


今。


俺は。


少し。


違った。


「あと七十六か」


門倉が。


俺を見る。


「先生?」


俺は。


東を見る。


西別。


まだ。


遠い。


その先。


帰り。


もっと。


長い。


でも。


「まあ」


俺は。


一歩。


踏み出す。


「一個ずつ増やせばいいか」


門倉が。


少し。


笑う。


「参りましょう」


「ああ」


俺たちは。


歩き出す。


     ◇


少し。


歩いて。


俺は。


ふと。


思う。


二十四。


つまり。


四分の一。


もうすぐ。


そこまで。


来た。


「…………」


待て。


四分の一?


俺は。


足を。


止める。


「門倉」


「はい」


「俺たちさ」


「はい」


「めちゃくちゃ歩いたよね?」


「歩きましたな」


「夜も働いたよね?」


「天測もいたしました」


「川も渡った」


「はい」


「寒かった」


「はい」


「暑かった」


「はい」


「人も借りた」


「はい」


「馬も借りた」


「はい」


俺は。


ウインドウを見る。


【24%】


「…………」


そして。


言った。


「これ全部やって、まだ四分の一にも届いてないの?」


門倉が。


首を傾げる。


「先生?」


「いや」


俺は。


東を見る。


やっぱり。


遠い。


めちゃくちゃ。


遠い。


「…………」


伊能忠敬。


俺は。


心の中で。


本物に。


言う。


あんた。


本当に。


これ。


全部。


やったんだな。


頭のネジ。


外れてる。


今でも。


そう思う。


でも。


少しだけ。


分かってきた。


一日で。


日本地図を。


作ろうとしたんじゃない。


今日。


一つ。


測る。


明日。


また。


一つ。


測る。


それを。


ずっと。


続けた。


だから。


最後に。


日本になった。


「…………」


それなら。


俺にも。


できるかもしれない。


俺は。


歩く。


二十四パーセント。


まだ。


先は。


長い。


めちゃくちゃ。


長い。


でも。


昨日の。


俺より。


一パーセント。


前にいる。


それで。


いい。


「先生」


門倉が。


前から。


呼ぶ。


「何?」


「遅れております」


「今いいこと考えてたんだよ!」


「参りましょう」


「分かったよ!」


俺は。


走る。


いや。


走らない。


足。


痛い。


早歩き。


する。


第一次測量。


蝦夷地。


【進捗率:24%】


残り。


七十六パーセント。


「…………」


やっぱ。


長いわ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


ついに30話。


そして浩哉――


まだ24%です。


作者も書き始めるまでは、伊能忠敬といえば「日本中を歩いて測量し、地図を作った人」くらいの知識でした。


でも調べれば調べるほど、


「この人、本当にすごくない?」


となり――


気づけば作者自身、伊能忠敬がかなり好きになっています。


そして浩哉も、文句を言いながら少しずつ伊能忠敬になってきました。


でも残り76%。


まだまだ歩きます(笑)。


これからも浩哉と一緒に笑っていただけたら嬉しいです!


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