じめじめクロード
「あいつ、何があった?」
「僕達が会議行く前は普通だったよね〜?」
アルフォンス殿下とウィリアムが執務室に帰ってくると、じめじめと落ち込む男がいた。
「それがさ、アンジェリーナが近衛騎士と密会してるのをみたらしくて」
「仕事だろうって言ったんだが、あの通りだ」
ルーカスとカルロスが呆れた顔を隠さず、説明をする。
「うゔぅ〜だって、男の方がすごい笑顔で楽しそうに喋ってたし、距離も近かったんだよ〜」
じめじめクロードがうだうだ反論する。
「うざいな」
「そうだね〜」
「アンジェリーナに限ってないだろ」
「心配いらないでしょう」
「みんなヒドイ〜」
「はぁ、これじゃ帰りが遅くなるな。アンジェリーナを呼べ」
溜息を吐いたアルフォンス殿下が、アンジェリーナを呼ぶ指示を出した。じめじめクロードが狼狽えていたが無視された。
「アンジェリーナ、呼び出してすまないな」
「いえ、どういったご用ですか?」
初めてアンジェリーナが執務室に来た時のように、クロードの顔色が悪い。アンジェリーナは少し訝しんだ顔をした。
「単刀直入に言う。近衛騎士と密会してたらしいが、どういった関係だ」
「近衛騎士…ああ、副師団長の恋人さんって言うか、事実婚の旦那さんですね。あれ?婚約決まる前に私の身辺調査してないんですか?」
「問題なかったから、詳しくはしてないんだ〜。副師団長に何かあったの〜?」
情報収集担当のウィリアムも、副師団長までは調べてない。
「なるほど。私が副師団長補佐に選ばれたのは、副師団長の恋人さんの誘導なんです。事実婚に焦れた恋人さんが子供を作りたくて、産休時の代わりの人員にする為、私を選ばせました。副師団長は恋人さんの思惑に気づいてないので、恋人さんに予定を確認してたんです」
「色々とツッコミたい…」
「え?その恋人さん何者?」
「ああ、恋人さんは近衛騎士の分隊長なんですけど、ちょっと特殊な任務をこなす隊なんです。情報収集とか尋問とか」
「代わりに選ばれたって?」
「冒険者ギルドで恋人さんが私を見つけて素性を調べ、実力と資格の有無をさり気なく副師団長に伝えて気に入る様に誘導。補佐に選ばせて、仕事が落ち着いたら子作り予定と伺ってます」
「それ副師団長は知らないの?」
「結婚だけ頑なに拒んでますが、基本とっても素直な方なんです。もう恋人さんの掌の上でコロコロです」
「コロコロ…」
「恋人さんの想定外で私が結婚しましたから、少し予定の擦り合わせが必要で。こちらも三年以内に一人くらい欲しいので、副師団長が産後にすぐ復帰出来るかわからないですし、そろそろ仕込んで欲しいなーと」
「なんて酷い話だ」
話を聞いた4人は、明け透けな会話に狼狽えた。こんな理由が、副師団長補佐に選ばれた裏事情にあったとは。そして、身近にない副師団長と分隊長の恋愛事情に驚愕した。
クロードだけは、話を聞いていくうちに疑惑が晴れて元気になり、最後の子作りの話でもじもじしている。
「クロード、もういいか」
「うぅ、ありがとう。面倒かけてごめんね」
「あら、クロード様が見たんですか?声をかけてくれたら紹介出来ましたのに。…いや、クロード様も素直過ぎてコロコロされそうだから、やめときましょう」
「そうだね〜。情報は漏らさないと思うけど、誘導はされそう」
「クロードだからな」
全員がクロードを見て頷いた。
帰宅後の二人。
「何かあったら、今日みたいにすぐに確認してくださいね」
「はい…なんでか不安になってしまいまして」
「ヤキモチくらいで嫌いませんよ」
「そっか、これがヤキモチ…」
クロードが相変わらず乙女!
恋人さん「次の休み合わせたから飲みに行こう」
副師団長「わーい!いっぱい飲むぞー!」
後日、副師団長の魔質の変化を確認。
師団員の中で魔質がわかる者は、触れていい話題なのかわからずに苦悩することになる。
アンジー「流石ですね。仕事が早い」




