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これは想定外です  作者: らんらんらん
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悪夢の終わり?

 


 ルドラ王国は、思っていた数倍はヤバかったらしい。


 寵妃は、国王の後宮に王妃が押し込めてたので被害者は少なかったが、金銭的被害はかなりだったようだ。

 王女は、社交界に出てから10年近く好き勝手していたようで、被害者が物凄いことになっていた。


 町娘だった寵妃から始まった被害期間は、20年以上。

 誰か可笑しいと気づいて、他国に助け求めよう?



 作らせた王女専用離宮があり、ハーレムメンバーはそこに入り浸り。当主だろうが、嫡男だろうが、文官、騎士、関係なし。


 王女に気に入られたら、終わりだ。


 家庭も仕事も放棄で、王女に侍っていたらしい。誰かが苦言を呈しても、王女がその場にいたら、その男も王女の願いを優先する。女なら排除された。


 結果、国はぐちゃぐちゃ。


 離縁も婚約破棄も相当あったらしい。女性の立場の弱い国らしく、救貧院に入ってればマシ、母親が娘を匿ってれば良い方、放逐されて行方不明や娼館行きなら最悪だ。まだ判明していないが、死亡者もいるかもしれない。


 殴り込みに行った我が国の宰相閣下も、余りの惨状に絶句したそうだ。


 我が国の女性の社会進出が進んでて良かった。王宮で働いていたのが男性ばかりのルドラ王国だから、余計に被害は深刻だ。


 元々は有能な国王を、まともな王妃が寵妃や王女がいない時になんとか仕事させ、ギリギリで支えていた状態だ。王妃様、よく耐えたな。

 しかし、これから寵妃と王女から20年以上かけられていた魔法を解呪されて、国王の精神が持つだろうか。

 家庭崩壊してる貴族達のことも考えると、いっそ滅ぼしてあげた方が良いのではと思えてしまう。


 こんな酷い状態なのに、沢山の貴族女性たちは、悪夢の終わりと捉えている。被害者の男達が一時的に働けなくなれば、女性の社会進出も進むだろう。強かだなあ。


 我が国は完全なとばっちりですね!

 王太子と側近を拉致してハーレムに加えようなんて馬鹿を始末するのに、戦争より面倒くさいことに巻き込まれている気がする。


 まあ、王女が馬鹿だったおかげで、今までルドラ王国内で被害は抑えられていたのだろうが。野心家なら戦争してただろうし、もっと早く他国に出てただろう。先日の立太子式典が初めての国外とか、残念でならないよ。



 魔法防御の魔道具を義務化するのに、かなりの費用がかかるからと一度反対したことがある宰相閣下。国に戻り次第、陛下に謝ったらしいよ。

 我が国は幸運だったのだと、ルドラ王国に行った人は、“呪い魔法”の恐ろしさを実感して帰ってきた。


 実際に、我が国も第二王子まで辿り着かれていたしね。もし、捜査したのが男性の魔術師だったなら、魔術師も被害者になり発覚が遅れただろうことは予想出来る。アルフォンス殿下が私に頼んだのは偶然だったが、英断だった。


 おかげさまで我が国では、子爵令嬢の事件を暴いたアルフォンス殿下の人気が急上昇中!反王太子派はもう息してないレベル。立太子が決まってから、一番身辺が静かだ。







 王太子執務室では、ルドラ王国の報告書をみていた5人が話していた。


「ルドラ王国の事件のおかげで、各国も“アトラクト王国の王族の末裔”探しを本格的に始めたな」


「そうですね。アトラクト王国の滅亡の物語が有名なのに、どこも危機感が足りなかったですから」


「魔法防御の魔道具の義務化政策を笑ってた奴ら、めっきり静かになっちゃったな」


「隠れて犯罪者で継承魔法の研究してた国、クーデターの噂でてますよ」


「前から暗殺者とかハニートラップとか色々あったけどさ、こんな世界中で問題になる大事件の当事者になっちゃったんだねー」



 全員が、最後の発言をしたクロードを見つめて、ため息を吐いた。



「クロード、今回の事件は、お前の女難とアンジェリーナの狂った幸運値が関係していると、私はみている」


「へ?なに?」


「王女が最初に見初めたのはクロードだろ?もし、王女がクロードだけを誘拐しようとしたなら“呪い魔法”までは発覚しなかった。

 アンジェリーナが阻止して、少し国際問題になって、あの王女はただの我侭で傲慢な王女だと思われただけだ」


「大国の王太子と側近をまとめてハーレムに迎えるってありえないことを願って、それを真面目に実行しようとした馬鹿がいたから、可笑しいと思われて調べられたわけ。そして、大事件に発展した」


「それに、アンジェリーナがいなかったら誘拐は成功しただろう」


「私達は、侍従がニセ情報で呼び出されて戻って来ないことも、侍女が変装した別人だったことも、近衛が入れ替わっていたことも気づいていなかった」


「かなりの手練を使ってきてたよね〜。失敗したのなんて、ルドラ王国で女性の爵位が認められてないから、近衛騎士役がアンジェリーナを夫人、クロードをハルトン伯爵って思い込んで呼んじゃっただけでしょ」


「アンジェリーナの帰宅時間に、睡眠薬入りのお茶を出したのも失敗でしょう」


「あー、確かに。もっと早く出されてたら、魔道具をつけてる殿下とクロード以外は寝てた。異変に気づいて近衛に伝えようとドアを開けたら、入れ替わってた近衛に捕まる。成功率高い計画だわ」


「え?え?」


「この事件がなければ、私の王太子の地位は、王弟と第二王子が失脚した為、消去法で選ばれたと思われて侮る者がいただろう。

 ルドラ王国の惨状が発覚して、子爵令嬢の事件を暴いた私に注目が集まり、結果として私の王太子の地盤が固まったと言える」


「「それな」」


「クロードとアンジェリーナがいると物事が上手く進むってことだよ〜」


「きっと、これからもこんな風に想定外な出来事がおきるぞ」


「ええ〜」


「あの夜会で、クロードがお酒を間違えて飲んだのも、運命だったのかもな」


「ぷぷっ、クロードがアンジェリーナを捕まえたようにみえて、アンジェリーナに捕まったのがクロードってことか!」


「「ありえる!」」


「なんかヒドイ言われよう」


「クロードが幸せそうで良かったよ。ハハハ」







クロード「って会話があってね?ヒドイと思わない?」

アンジー「ヒドイですね!次の差入れは激辛スパイス入れておきます」

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