終章 それぞれのレゾンデートル その4
終章 それぞれのレゾンデートル その4
「見えた、あれだ!」
犬山さんたちと別れ、走って、国防軍関東支部に向かっていたところ、出入り口が見え、鈴原先輩が叫ぶ。
「流石に、大型車両や戦車、戦闘用ロボットとかが通るだけあって、入り口も大きいですね。鈴原先輩、まずはどうしますか?」
俺は初めて来た国防軍の支部に驚きながらも、鈴原先輩に尋ねる。
「まずは、父を訪ねよう。支部隊長だからな、きっと中にいるはずだ」
こうして、俺たちは国防軍関東支部へと到着した。
国防軍関東支部。
実は国防軍の施設でいうと、割と小さい。日本国内に8つある支部のうち6番目の規模だ。
とは言っても、所有する武器の数はもちろん、種類も多種多様に渡り、最近は、最新型戦闘用ロボットを試験導入されてたりもするようだ。
そのため隊員数も2万人を超える。
「なんだかザワザワしてますね?」
出入り口に着き、周りの様子を朋が尋ねる。
「確かにな。前に来た時はここまでではなかったのだが、恐らくは犬山さんが言っていた調査や、周辺の防衛のためだろう。とりあえずそれも含めて父に聞いてみたいとこだ」
鈴原先輩はそう答えると、出入り口の警備をしていた隊員の方へと向う。
「すみません、私たちは第一能力者学校、生徒会の者です。鈴原文輝隊長はいらっしゃいますか?」
鈴原先輩が、出入り口にいた隊員に伝えると、内線でどこかに連絡する。
すると、すぐに休憩室にいることを伝えてくれて、そのまま休憩室まで案内してくれた。
コンコンと扉を叩くと、「どうぞ」と渋い声が、中から聴こえた。
俺たちは「失礼します」と言い、中に入ると、
「よく来たな、紅輝、それから生徒会諸君! 初めまして。私が関東支部、支部隊長、鈴原文輝だ」
軍服姿のガッチリとした体型の男性が出迎えてくれた。
「父さん、犬山さんから聞きました。ブラックフォールの調査を行うって本当ですか?」
鈴原先輩が尋ねると、文輝隊長は力強く頷いた。
「あぁ、そうだ! 上からの指示もあるしな。それに、今、うちの支部には秘密兵器もあるんだ、調査に丁度いい」
「秘密兵器?」
「あれはすごいぞ! きっと見たらびっくりするだろうな!」
ブラックフォールの出現という、日本の、いや、世界的な危機という状況で、随分と呑気なものだが、それだけすごいものなのだろう。
「周辺の警備に関してはどうしてるのかしら?」
今度は如月会長が尋ねる。
「先程犬山さんからこちらにも連絡があった。一個中隊を送り出したところだ」
およそ200人か。それなら安心だろう。
と、ここで休憩室の内線が鳴り始める。
「こちら、休憩室。あぁ、私だ。何! 支部内で? すぐに近くの隊員を向かわせてくれ、わたしもすぐに向かおう。」
「父さん、どうかしたんですか?」
「すまない、紅輝、緊急事態だ。確か、君たちも戦えるんだったな? 君たちも一緒に来てくれないか?」
俺たちは文輝隊長と共に、何やら問題が発生したという支部内の場所まで急いで向った。
関東支部内、ロボット兵器収納エリア。
問題が起きたという、その場所に到着すると、そこでは何やら巨大な獣たちが暴れていた。
「なんだあれは!」
文輝隊長は驚きの声を上げる。
「あれは、まさかあの時の!?」
俺たちはそれが何かひと目で分かった。
「間違いない、あの獣は、霧の中で戦った奴だ!」
そう、それは夏休みに例の島で、霧の中で遭遇し戦った、幻獣だった。
流石、普段から訓練している隊員たちだ。
武器で応戦し次々に倒していく。
しかし、幻獣は、倒しても倒しても、次々に現れるてくる。
ふと、その隊員たちに混じり、一人の老人が刀を振るい、戦っていた。
「えっ、師範!?」
「あっ! おじいちゃんだ!」
「おー、銀! それから明凛朱も! はっはっは、どうやら無事に転入できたようじゃな。それで、どうしたんじゃ、こんなところで?」
俺と明凛朱は、驚きの声を上げる。
その老人は師範だった。
俺たちが師範の問いに答えようとすると、文輝隊長が遮った。
「相楽さん! まだいらっしゃったのですか?」
「ふむ、奇妙な地脈の流れを感じての。戻ってきたのじゃよ」
「それは、非常に心強い。ありがとうございます」
文輝隊長は、師範にお礼を述べた。
「礼には及ばんよ。それに、どうやら無尽蔵にこやつらは現れるようじゃからの。それに、こやつらの狙いはおそらく、あれじゃぞ?」
師範の言葉に、ハッとした表情をする文輝隊長。
「なんですって!? く、かくなる上は、予定を早めるか。相楽さん、ここを任せても?」
「はっはっは! 任せるといいわい!」
俺は師範へ視線を送る。
師範は、それに気づき、静かに、そして笑顔で頷いた。
「お前さんたちは、お前さんたちしかできないことがある。なに、この程度の獣たち、どうってことないわい」
「分かりました、大丈夫だとは思いますが、師範もお気をつけて!」
「おじいちゃん、また明凛朱と遊んでね?」
「はっはっはっ! 可愛い孫の頼みじゃ、約束しようかの!」
俺たちは、師範にこの場を任せ、文輝隊長と、先へと急いだ。
背後では、師範がすごい気迫を放っているのが分かった。
「さて、不可思議な獣たちよ、覚悟はいいかの?」
師範は、刀を強く握り、幻獣へと向かっていった。




