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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
終章 それぞれのレゾンデートル

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終章 それぞれのレゾンデートル その3

終章 それぞれのレゾンデートル その3


ブラックフォール事件。

今から10年前、突如、黒い球体が空に現れ、地上に落下。

落下の衝撃こそ無かったが、世界中で数日に及ぶ電力の消失という甚大な被害を出した。


それだけでも大きな事件だったのだが、この事件が起きた直後から、いわゆる()()()と呼ばれる、特別な力を持つ人間が現れたので、能力者たちにとっての原点、黒キ原点と呼ばれるようになった。


10年経った今でも、あの時の黒い球体の正体は分からず、また、どこから来たのかも解明されていない。


そんな黒い球体が、今再び上空に存在していた。


「あれは、ブラックフォールなのか!?」


「いや、あの時よりは少し小さくないか?」


「流石に大きさまで覚えてないよ」


「あれも、落ちたら電力が消失するのかしら?」


目の前で起きている光景に、生徒会のメンバーも全員が驚いていた。


「ねぇお兄ちゃん、あれほっといていいの? ほっといたら大変なことになるかもよ?」


明凛朱が俺に尋ねてくる。


(あれがもしブラックフォールなら、落下するのだけはまずいな。とりあえず今できることは……)


「みんな、とりあえず近くまで行ってみましょう」


俺は全員にそう提案した。


「宇佐見、正気か?」


鈴原先輩が真剣な表情で聞いてくる。


「はい! ただ眺めているだけなら誰だってできます。だけど、俺たちは生徒会です。生徒が危険に晒される可能性があるなら、何かしら行動を取るべきです」


俺がそう説明すると、みんながこちらに顔を向ける。


「ふ、これは宇佐見に一本取られたな」


「ふふふ、宇佐見くんのそういうところ、わたし好きよ♪」


「銀くんがそう言うなら、わたしも頑張るよ!」


「なんだか俺もいけそうな感じがしてきたぜ!」


「もー、晃は単純ね。まぁ、わたしも同じ考えよ!」


「にひひ♪ お兄ちゃんはそうでなくっちゃ♪」


どうやらみんなも覚悟ができたようだ。


「みんな、ありがとう! ですが、どうやってあそこまで行きますか?」


「それなら、心配する必要はないぞ。ほら、噂をすればだ」


鈴原先輩がそう言って、南の正門方面を指差す。

そちらの方から3台の大きな車が走ってくる。

そのうちの1台が目の前で停車すると、運転席から見知った顔が出てきた。


「久しぶりだな! 生徒会のみんな!」


「犬山さん!」


それは、何度かお世話になっている、警察の犬山さんだった。


「全員揃ってるようだな? それで、鈴原くん、どうするか決まったかい?」


「はい。全員一致で、あの黒い球体の近くまで行くことになりました」


鈴原先輩がそう伝えると、犬山さんは少し驚きつつも、力強く頷いた。


「よし! それじゃあ、他の生徒さんはこちらで避難させよう。君たちは、私と一緒に国防軍の関東支部へ向かおう!」


犬山さんは意外な申し出をしてきた。


「国防軍の関東支部? 確かそれって、鈴原先輩のお父さんがいるところですよね?」


「あぁ、支部隊長を勤めてるよ」


鈴原先輩は頷く。


「犬山さん、なぜ父の所に?」


「あぁ、その理由も含めて、車の中で話そう。今は少しでも急ぎたいんだ。あの黒いのがいつまで待っくれるか分からないからな。」


こうして、俺たちは犬山さんと共に、国防軍関東支部へと向かうことになった。




「えっ、国防軍がブラックフォールの調査を行う!?」


移動する社内にて、犬山さんから国防軍に向う理由を聞いた俺たちは驚きの声を上げる。


「あぁ。そのため、周辺住民は避難、そして、私たちが周辺の警備をすることになったんだ。先に、私の部下達が向かってるはずだ」


「調査か。それって危険じゃないんですか?」


朋が犬山さんに尋ねるが、危険性は不明とのことだった。

それもそうだ。今まで調査など行ったことなどないのだから。


と、しばらく車が走っていると、急ブレーキが踏まれ、停車した。


「きゃ!」


「な、なんだ!?」


「犬山さん、どうしたんですか?」


犬山さんは、前の方を見ながら、こう伝えた。


「すまないが、君たちを運べるのはここまでのようだ」


俺は犬山さんが見る前方を見てみると、そこでは大型のロボットが大量に動いている。ロボットの周りでは、多くの警官が拳銃で戦っていた。


「あれは、あの時のロボットか!」


俺たちは急いで車を降りる。


「総員、戦闘準備! 全員でロボットを排除するぞ!」


鈴原先輩がそう号令をかける。

しかし、犬山さんはそれを制止した。


「君たちは先に行くんだ! ここから国防軍の関東支部まですぐだ。ここは我々に任せなさい」


「しかし、犬山さん、いくらあなた達でもあの数のロボットを相手するのは!」


「先程、学校でも言っただろう、鈴原くん? 黒いのがいつまで待ってくれるか分からない今、ここは我々に任せるのが最善だ。だから、早く!」


犬山さんの言葉に、悔しそうな表情を浮かべる鈴原先輩。


「わかりました。犬山さんがそこまで言うなら、ここはお任せします。ですから、どうか、ご無事で! みんな、行こう!」


俺たちは犬山さん達をこの場に残し、国防軍関東支部へと急いだ。

俺たちの後ろでは、多くの銃撃音と、機械のモーター音が鳴り響いていた。




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