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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
終章 それぞれのレゾンデートル

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終章 それぞれのレゾンデートル その2

終章 それぞれのレゾンデートル その2


学校、生徒会棟内地下、訓練場。


「にひひ♪ やっぱりお兄ちゃんとの剣での修行は楽しいなぁー!」


まるで棒切れかのように、二本の刀を次々と振り下ろしてくる明凛朱。

俺はそれを乾いた金属音を響かせながら、全て刀で受け続けていた。


(なぜ、こんなことに)




今から少し前、明凛朱を生徒会棟へ案内すると、中にはいつものように、如月会長、鈴原先輩、麗先輩が座って待っていた。


「わぁ、ここが生徒会ね! あら、お姉ちゃんは、あの時のお姉ちゃんね♪」


明凛朱は麗先輩を見つけ、声をかける。


「明凛朱ちゃん、久しぶりだね」


麗先輩も笑顔で応えてくれた。


「なんだ、銀。麗先輩と明凛朱ちゃんって知り合いなのか?」


晃が不思議そうに尋ねてくる。


「あぁ、夏休みの時、麗先輩が俺の実家に来た時に一回会ってるからな」


俺がそう答えると、晃は気持ち悪いぐらいの笑顔で、


「そうか、楽々浦先輩と親密な関係になれたんだな、良かった良かった」


なんて茶化してきた。

朋はというと、気づくけば麗先輩の近くに行き、


「おめでとうございます、楽々浦先輩!」


と声をかけていた。麗先輩はありがとうと言って、頬を赤く染めている。

その光景を明凛朱は不思議そうに眺めていた。


「ふふ、心配事が一つ減って良かったわ♪」


「宇佐見、楽々浦を幸せにするんだぞ?」


「いやいや、二人もイジらないで下さいよ」


黙って見ていた如月会長と鈴原先輩は、口を開いたと思えば、こんな感じだ。


「ふふ♪ 二人をイジるのはこのぐらいにして、宇佐見くん。こちらのお嬢さんが例の転入生かしら?」


「はい、本日第三から転入してきた、相楽明凛朱です」


ようやく本題に入り、俺は如月会長に明凛朱を紹介する。明凛朱はというと、建物内の備品などを見て周っている。

如月会長はその様子をジッと眺めていると、何かを決めたように、明凛朱に話しかけた。


「あなたが明凛朱さんね?」


そう尋ねると、明凛朱は如月会長の方に顔を向ける。


「えぇそうよ♪ あなたは?」


明凛朱は無邪気に尋ねる。


「わたしは如月蓮花、この生徒会の会長よ♪」


「ふぅん?」


「ふふ、興味がないって感じね。ねぇ、明凛朱さん。あなた、部活には入るのかしら?」


如月会長は何かを聞きたいのか、明凛朱に質問する。

如月会長の質問に、明凛朱はううんと、首を横に振る。


「それなら、生徒会に入らないかしら?」


これには流石に俺も驚いた。鈴原先輩も驚いている。


「生徒会? それってお兄ちゃんと同じってこと?」


明凛朱は目を輝かせながら尋ねた。


「えぇそうよ、楽しそうでしょ?」


「うん! とっても楽しそうだわ♪」


「ちょ、ちょっと待って下さい、如月会長」


トントン拍子で話が進み、流石に鈴原先輩が止めた。


「彼女は今日転入してきたばかりですよ? 相楽宗有の孫とはいえ、転入初日に生徒会に入れるというのは」


「あら、それは新入生にも言えることではないかしら?」


「そ、それはそうですが、しかし……」


納得できない、そういった感じの鈴原先輩の様子を見て、如月会長は少し考え、こう言った。


「それなら、宇佐見くんと勝負して貰って、その様子を見て、決めましょう? それならいいでしょう?」


「宇佐見と? それなら、まぁ確かに。ということは、合格時は警備部隊ということですか」


鈴原先輩は、まんざらでもないという表情に変わっていた。

二人のやり取りを不思議そうに眺めている明凛朱。俺はというと、もう二人の中で決定事項になっている様子で、この時点で半分諦めていた。


「明凛朱さん、お兄ちゃんと剣で勝負しないかしら?」


「え、お兄ちゃんと!? やったー! 明凛朱、喜んでやるわ♪」




ということがあり、今に至る。


相変わらず、間髪入れずに二本の刀を振り下ろしてくる明凛朱。


(昔と同じ、いや、それ以上に刀を振るスピードが速いな)


「にひひ♪ やっぱりお兄ちゃんはすごいな〜。全部受けきっちゃうんだもん。お兄ちゃんも楽しい?」


「楽しそうに見えるか? ただまぁ、明凛朱が腕を上げたのは分かったよ」


「わぁい! お兄ちゃんに褒められたー♪ それじゃあ、明凛朱のとっておき見せちゃおうかな?」


そう言うと、明凛朱は刀を振り下ろすのを止め、後ろへと下がった。そして、二本の刀を上下に切っ先を向ける。


(なんだ、何をするつもりだ?)


俺は何がきてもいいように、警戒する。

と、ここで、二人の緊張感を割くように、誰かの携帯端末の鳴り響く。


「すまない、わたしだ」


どうやら鈴原先輩だったようだ。

鈴原先輩は電話に出る。


「はい、こちら鈴原。あ、犬山さん。どうしたんですか? え、空? いえ、今は地下にいまして……。なんですって!? はい、はい、分かりました。急いで準備します! はい、ありがとうございます!」


電話の相手は、警察の犬山さんだったらしい。

どうやら何か緊急事態のようだ。


「すまない二人とも、勝負は一旦中止だ!」


「どうしたの、鈴原くん? 今の犬山さんよね?」


「はい。如月会長、緊急事態です。ただ、わたしにも何か分からず。とりあえず今すぐ空を見て欲しいと。犬山さんがすぐにここに駆けつけるとも言ってました」


「みんな、とりあえず外に出ましょう! 二人とも、ごめんなさいね」


如月会長が俺たちに声をかけてきた。

俺は刀を鞘に納めた。

明凛朱も素直に刀をしまっていた。


「そうか、もう始まったのか〜」


「明凛朱?」


「ううん、なんでもないよお兄ちゃん。早く外行こ?」


そう言うと、明凛朱は鈴原先輩たちの方へと走っていった。

俺は素直な明凛朱の様子に違和感を覚えながらも、みんなと一緒に外に出るのだった。




「なんなんだ、一体!?」


外に出た俺たちは、みんなで空を見て驚いた。

南の空に、真っ黒の球体が浮かんでいたのだ。


驚いていたのは俺たちだけではない。

外にいた生徒たちがみんな同じ黒い球体を指差しながら、驚きの声を上げている。

それもそうだろう。なぜならあれは、あの黒い球体は見覚えがある。


「なんで、なんでブラックフォールが!?」


そう、その黒い球体は、10年前に起きたブラックフォール事件の時に現れたものと同じものだった。




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