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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
番外編 夏休みの思い出

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番外編 夏休みの思い出 その3

番外編 夏休みの思い出 その3


実家から更に上り坂を歩いて10分程。

そこにある小さなお寺に、両親が眠るお墓があった。


「あれ?」


「銀くん、どうしたの?」


「いえ、あそこが両親のお墓なんですが、既に花が飾られてるんです」


両親のお墓の前に着くと、そこには既に花が飾られていた。

しかも、


「まだ新しいみたいです」


「誰か来たってことだよね?」


「そうですね」


辺りを見回すが、俺たち以外に人はいない。

既に墓参りを済ませて帰ってしまったのだろう。


(一体誰が? しかも、今日が父の命日って知ってるような感じだ)


「銀くん、このお花どうしようか?」


「そうですね、せっかくですからこれも飾って、豪華にしましょうか。父さんから、母さんは花が好きだったと聞いてますから」


そう言って、二人で一緒に花を飾る。

最初からあったものと一緒になり、だいぶ豪華になった。


「これなら、きっと父さんたちも大喜びですよ」


「すごくきれいだね!」


実家から用意してきた線香に火をつけ、手で持って振り消す。

麗先輩にも渡し、一緒に供え、手を合わせる。

しばらく目を瞑り、そっと祈った。


「麗先輩、ありがとうございました。たぶん両親も喜んでると思います」


「それなら良かったよ。でも、わたしが誰かとか気になってないかな?」


「それなら大丈夫ですよ。俺から説明しといたので。一緒にいる人は大好きで大事な人だって」


「あ、ありがとう、銀くん」


麗さんは頬を赤く染めていた。


「そういえば、銀くんの両親ってどんな人だったの?」


ふと、麗さんが尋ねてきた。


「そうですね、母さんは俺が小さい時に亡くなっているので、正直覚えてないです。父さんは、母さんのことを、すごく優しく、そして強い女性だったと話してました。」


麗先輩はしっかりと聞いてくれている。


「父さんは、とても厳しい人でしたよ。師範の都合がつかない時に、剣の修行をつけてくれたりもしました」


「剣の?」


「はい、父さんも真天一刀流の皆伝でしたから」


「お父さんもだったんだ!」


麗先輩はすごく驚いていた。


「はい。まぁ、父さんは更にすごかったですが。皆伝になった後も独自の道を見つけるって、日々修練を欠かさなかったですから。そのために、あの道場も建てたんですよ」


「あはは、なんだか銀くんの強さの理由が分かった気がするよ」


「はは、確かに、父さんの影響は強いかもしれませんね」


ふと、ここで時間を確認すると、お昼を過ぎたことに気づいた。


「そろそろ戻りましょうか。お昼ご飯、実家で食べましょう」


「あ、そんな時間なんだね。帰ったら何か作ってあげるね。」


「麗先輩の手作りですか、楽しみです♪」


墓参りを終え、俺たちは実家へと戻り始めた。




お寺から実家へと戻る途中、一台の車が向いの方から走って来るのが見えた。


(あれは、朝見た車か?)


その車が、丁度俺たちの横に来た時、停車する。

と、同時に車の中から一人、勢いよく降りてきた。


「銀お兄ちゃん! わぁ、やっぱり銀お兄ちゃんだ♪ 久しぶり! 覚えてる、お兄ちゃん?」


それは、サイドテールの薄紫色の髪の、子柄で無邪気な笑顔を向けてくる女の子だった。


「え、まさか明凛朱(ありす)か!? なんで、ここに? 北海道の第三能力者学校に入学したはずだろ?」


「それは、私から説明するわね」


すると、運転席からもう一人降りてきて、声をかけてくる。


「あ、三栖先生!」


麗先輩が驚きの声を上げる。

車を運転していたのは、なんと、三栖先生だった。


「こんにちは、宇佐見くん、それから楽々浦さん」




「つまり、明凛朱は第三から第一に転入するんですね?」


実家へと戻り、三栖先生と明凛朱を招き入れると、早速、先生から説明された。


「まだ本決定ではないけれど、今日の能力判定試験を受けたらそうなるわね」


三栖先生は、俺が用意したお茶を飲みながら、そう答えた。


「にひひ、また一緒に剣で遊べるね、お兄ちゃん♪」


「はは、まぁ楽しみだな」


無邪気な笑顔を向けてくる彼女に、俺はそっけなく返す。


「銀くん、この子は誰?」


「あー、そういえば、紹介がまだでしたね、彼女は……」


「わたしは、相楽明凛朱(さがらありす)、明凛朱ちゃんって呼んでね、お姉ちゃん♪」


俺が紹介しようとすると、明凛朱が割って入り、自己紹介した。


「え、相楽って?」


「はい、師範の孫ですよ。ちなみに、隣に住んでます。」


「それじゃあ、彼女も真天一刀流?」


麗先輩がそう尋ねてくると、明凛朱は隠し持っていたのか、バッと刀を二本出し、抜いて見せてくる。


「おじいちゃんと違って、わたしは二刀流なんだ〜♪ にひひー♪」


明凛朱はドヤ顔で自分の武器を見せてきた。


「二刀流?」


「はい、彼女は師範の教えは何も受けてません。二本の方がかっこいいと、師範の道場には通わず、独学で剣を覚えたんですよ。まぁ、昔はよくうちの道場では一緒に練習したりしましたが」


「なるほど、それで“お兄ちゃん”なんだ?」


麗先輩は、なぜかそこを強調して尋ねてくる。


「それもありますが、実際に二つ年下なんですよ、俺の」


「え、それって……」


「はい、飛び級ってことですね」


俺が伝えた事実に、麗先輩はすごく驚いていた。

当の本人はというと、これまたドヤ顔を浮かべている。


「あら、もうこんな時間だわ! 明凛朱さん、急いで学校に行きますよ」


と、ここで、三栖先生が時計を見て、急に慌て始めた。


「えー! まだ明凛朱、お兄ちゃんたちとお話してたいよ!」


「試験に遅れたら、転入は取り消し、そうなると、宇佐見くんと一緒に遊べないですよ、それでもいいですか?」


「え! それは嫌だよ! 先生、早く行こう! 早く早く!」


明凛朱は慌てて、外へと飛び出して行った。


「お兄ちゃーん! 明凛朱、ちゃんと試験受けて、ちゃんと転入するから待っててねー!」


外から大声で勝手に宣言している。


「あらあら、明凛朱さんは元気ですね。それじゃあ二人共、失礼しますね、南の島から帰ってきたばかりで疲れてると思いますので、ゆっくり休んで下さい。夏休み明けに、元気に登校して下さいね」


三栖先生は、そう言って、外へ出ようと荷物を持つ。


「先生、はやくー!」


「はい、今行きますよ!」


そうして、まるで嵐かのように、あっという間に二人は出ていった。


「あはは、なんだかすごい子だったね」


「久しぶりに会いましたが、全く変わってませんでした。これは夏休み明けから忙しくなりそうですね」


俺たちは、夏休み明けに待っているであろうドタバタを今から想像し、お互いに顔を合わせ、困った表情を浮かべるのだった。


(あれ、そういえば、三栖先生はなんで俺たちが南の島に行ったことを知ってたんだろう? 如月会長が伝えていたのだろうか? うーん、まぁいいか)


カナカナカナカナ、と心地良い音が辺りを包む。

外では、ひぐらしの鳴き声が響いていた。




番外編 完




To Be Continued…




みなさんこんにちは、トウミです。

番外編、終わりました。

次回からは新章が始まります。

これからもよろしくお願いします。

では、また次回!

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