番外編 夏休みの思い出 その1
番外編 夏休みの思い出 その1
「夏だ! 水着だ! 青い空だ! そして、青い海だぁ! いやっほー!」
「海だぁー! やっほー!」
晃に続き、赤いビキニ姿の朋が走っていく。
晃と朋は大はしゃぎだった。
「中森! 早瀬! しっかり準備運動しないと危ないぞ! こらっ、待てぇ!」
鈴原先輩が晃と朋を追いかける。
注意する鈴原先輩も、ゴーグルを着けて準備万端だったり。
師範を見送った俺たちは、朝ご飯を食べ、午前中は夏休みの宿題に取り掛かり、そして、昼ご飯を食べた後、息抜きという名目で海水浴に来ていた。
場所はもちろん別荘裏のプライベートビーチだ。
「ハハ、みんな楽しそうですね」
俺はビーチパラソルを立てながら、近くにいた如月会長に話しかける。
「あら、宇佐見くんは行かないのかしら?」
「いや、なんだか乗り遅れてしまって。それにしても、似合ってますね、如月会長」
如月会長は、下にパレオを巻いた黒のビキニの水着を着ていた。正直、とても似合っている。
「ふふ、お世辞でも嬉しいわ♪ さてと、わたしも泳いでくるわね」
そう言うと、如月会長はパレオを外し、海へと向かっていった。
「みんなお待たせー! あ、あれ? 宇佐見くんだけ?」
「あ、楽々浦先輩! はい、もうみんな海に入っていきましたよ、ほら」
波打ち際で何やら水をかけ合って遊んでいる三人を指差す。あ、鈴原先輩が思いっきり顔に水をかけられた。
一番最後にここに来たのは、楽々浦先輩だった。金髪ツインテールはそのままに、黄色のワンピースタイプの水着を着ていた。
「普段からツインテールなので見慣れてましたが、水着姿だと新鮮ですね。可愛いですよ」
「えっ、そ、そうかな? えへへ、嬉しいな♪ ありがとう、宇佐見くん♪」
楽々浦先輩ははにかみながらも、満面の笑みをこちらに向けてくれた。
それはとても楽々浦先輩らしく、そしていつも以上に可愛く見えた。
と、俺が用意したビーチパラソル下の椅子に座り始める楽々浦先輩。
「あれ、楽々浦先輩は泳がないんですか?」
「うん、その、泳ぐのがあまり得意じゃなくて。わたしは大丈夫だから、宇佐見くんは行ってきて。ここで見てるよ」
「それなら俺が、教えますよ。せっかくの海ですから、楽しみましょう!」
俺は楽々浦先輩の手を握り、立たせる。
「え、ちょっと待って、宇佐見くん!」
「ほら、行きましょう!」
俺は、楽々浦先輩を連れて、二人で海へと向かった。
「おーい! 銀! こっちこっち!」
「あ、来た来た! 楽々浦先輩もいるね♪ おーい!」
「宇佐見と楽々浦は本当に仲がいいな」
「ふふふ、お似合いの二人ね♪」
海の中では、みんなが俺たちを待っていた。
「楽々浦先輩、ほら、みんなが待ってますよ」
「あれは、きっと宇佐見くんを待ってるんだよ」
「違います、俺たちを待ってるんですよ。さぁ、泳ぎましょう、みんなで!」
こうして俺たちは、みんなで目一杯海を楽しみ、気がつくと、いつの間にか日が暮れていた。
そして、夜。
俺たちは、鈴原先輩の提案で、浜辺でバーベキューをすることにした。
材料はもちろん別荘にあったもの。いろいろと用意されていたが、蟹や伊勢海老まであったのは流石に驚いた。
今まで行ったバーベキューで一番美味しかった気がする。
それは、みんなで食べたからだろうか? それとも、鈴原先輩が仕切りながら作ったからだろうか? 鈴原先輩には悪いが、ここは間違いなく前者だろう。
そして、その後は、みんなで花火を楽しんだ。
「なんだか夏の楽しみを一気にやってる感じがしますね」
「たまにはいいんじゃないかな?」
「そうですね」
晃と朋は、火の勢いが強い花火を複数本持ちながら、走り回っている。危険なので、良い子は絶対に真似しないように。
「ふふ、子どもみたいにはしゃいでるわねぇ♪」
如月会長は楽しそうに二人を眺めている。
「明日はしっかり勉強しなければ」
「鈴原先輩、急に現実に戻さないで下さいよ」
鈴原先輩は既に明日の勉強会のことを考えているようだった。
「そういえば、宇佐見は、明後日実家に戻るんだったな?」
ふと、思い出したように鈴原先輩が尋ねてくる。
「はい、少しやっておきたいことがあるので」
「ふむ? 何か分からないが、宿題はしっかりな?」
「それは、あそこの二人に言ってくださいよ」
「それも、そうだな」
俺と鈴原先輩は、二人して笑い始めた。
と、横にいる楽々浦先輩が何か言いたそうにしているのが見えた。
「どうしました、楽々浦先輩?」
「うん、その、宇佐見くん。わたしも宇佐見くんの実家に行っちゃ駄目かな?」
俺は楽々浦先輩の急な申し出に少し驚き、少し考えた。
「う〜ん、特に何もないですけど、それでも良ければ」
「ありがとう、宇佐見くん。それじゃあ、わたしも行くよ」
そう言う楽々浦先輩は、何か決心した表情をしていた。
と、気づいたら、残った花火は線香花火だけになっていた。
「楽々浦先輩、一緒にやりましょうか」
「うん!」
俺たちは最後に、線香花火をやって、花火を終えた。
花火を終えた時には、既に寝る時間となり、俺たちはそれぞれの部屋に行き、ゆっくりと眠るのだった。
こうして、長かったような短かったような、楽しい楽しい夏休みの一日が終わった。
今日から番外編です。
番外編はそこまで続きません。
夏休み中の出来事がメインになりますが、楽しんで頂ければと思います♪
よろしくお願いします♪




